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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第165回

NokiaのAndroidスマホはブランド以外の何でユーザーに訴求する?

2016年12月07日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII編集部

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 NokiaブランドのAndroidスマートフォンが、2017年に登場する。設計とマーケティングを手がけるのはNokiaからブランドライセンスを受けたフィンランドのHMD Global。Nokia出身者が固めるベンチャー企業だ。「Nokiaブランド」以外のアイデンティティーを出せるのだろうか。

2017年に本当にNokiaブランドの
Androidスマホがリリースされる

 12月1日、NokiaはHMD GlobalがFoxconnの子会社FIH Mobile、Microsoftとの間の合意を完了し、Nokiaブランドの携帯電話の発売に向けた素地を整えたことを発表した。HMD Globalは2016年5月、Nokiaブランド端末の展開のために設立された企業である。Nokiaの本拠地フィンランドをベースとし、Microsoftが54億ユーロをはたいて2014年に取得したNokiaの端末部門のうち、フィーチャーフォン事業をFIH Mobileと共同で買収した。

HMD Globalの公式サイトから。Nokiaからライセンスを受けて、AndroidベースのNokiaスマートフォンをリリースする

 この買収により、今でもMicrosoftに残っているのはLumiaブランドのWindowsスマートフォンであり、おそらくはLumiaブランドも消えて、Surfaceブランドになると予想できる。Microsoft側にNokiaの痕跡が薄くなったところで、買収時に交わした契約(向こう2年は競合する製品分野に参入しない)も期限を迎える。いよいよNokiaが動きだす……のだろうか。

 そのNokiaによると、Nokiaブランドのフィーチャーフォンは世界の多くの市場で今でも人気で、HMDはフィーチャーフォン、そしてスマートフォンとタブレットを含むポートフォリオを構築するという。NokiaはHMDと10年間の独占的ブランドライセンス契約を結んでいる。

存在感を出し始めたHMD Global

 そのHMD Globalだが、ほぼNokiaの人材で固められている。経営陣を見ると、CEOのArto Nummela氏はNokiaのベテランだ。プレジデントを務めるのは1ヵ月前にHMDに入社したFlorian Seiche氏だ。HTCの欧州でのブランド戦略に寄与したと言われている(その後Nokiaを経ての入社となる)。HMDのオフィスはNokiaのエスポー(フィンランド南部の都市)の本社の前にあるという話もある。

人材面ではNokiaとの繋がりが深いが、サイト上では独立した企業であることをアピールしている

 CMOのPekka Rantala氏、Nokia全盛期にマーケティング職を担当しており、その後は「Angry Birds」で知られるRobio EnterteinmentのCEOを務めたこともある(なお、Rovioの本社もエスポーだ)。これだけ密接な関わりがあるが、NokiaとHMD Globalの間に財務的なつながりはなく、HMD Globalは投資会社のSmart Connectの子会社で、Nokiaの出資は受けていない。

 これはつまり、慣れ親しんだ仲間で固めたといったところだろうか。だが、モバイル業界は大きく変わっている。彼らが活躍していた時代のNokiaはSymbianをOSとして採用していた。だが、HMDはAndroidを開発するGoogleと付き合わなければならない。Symbianのような”手の内を知った”関係とは違うはずだ。

 HMDはNokiaブランドの端末が2017年前半に登場するとしており、2月末のMobile World Congressが発表の場になると予想できる。

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