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クラウド事業は2018年までに200億ドルを目指す、「最も速い成長を遂げる計画」

MS幹部クルトワ氏、AI、HoloLens、デジタル変革までを語る

2016年12月02日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 「マイクロソフトがクラウドビジネスを加速しているという方向は間違っていない。マイクロソフトは、2018年までにクラウドビジネスで200億ドルの売上高を目指す計画を掲げている。これは、クラウド分野において最も速い成長を遂げるという計画だ」――。

 11月29日、米マイクロソフト(MS) グローバルセールス マーケティング & オペレーション エグゼクティブVP 兼 プレジデントのジャン フィリップ・クルトワ氏が来日し、記者会見を開催した。

記者会見に出席した、マイクロソフト グローバルセールス マーケティング & オペレーション エグゼクティブ バイスプレジデント兼プレジデントのジャン フィリップ・クルトワ(Jean-Philippe Courtois)氏

 今回のクルトワ氏の来日は、わずか1日間の滞在だったが、グローバルセールスおよびマーケティング、オペレーション担当幹部として、新たに米国とカナダも担当するすることになってからは初めての来日となる。ユーザー企業の訪問などに時間を割いた。

 記者会見では、マイクロソフトの最注力テーマである「デジタルトランスフォーメーション」などについての取り組みを説明したほか、「Microsoft HoloLens」を日本でも12月2日から販売開始することを発表した。以下、記者会見での発言概要をお届けする。

マイクロソフトにとってのデジタル変革、Mixed-Reality、人工知能

――マイクロソフトが最注力テーマに掲げている「デジタルトランスフォーメーション」の取り組みはどうなっているか。

クルトワ氏:マイクロソフトでは、「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること」をミッションに掲げている。顧客のビジネスを変革させるお手伝いをするのがマイクロソフトの役割であり、社員と会社との距離を縮め、企業と顧客との距離を縮めるお手伝いをする。これを実現するのがデジタルトランスフォーメーションである。

 デジタルトランスフォーメーションの事例は、日本でも出てきている。今年6月に富士通と発表したアライアンスでは、富士通グループの社員16万人がOffice 365を活用するだけに留まらず、導入および活用ノウハウを生かして、日本およびグローバル市場において、ワークスタイル変革を実現するグローバルコミュニケーション基盤の導入提案を行っていくものになる。

 また、今年4月に発表したトヨタとの提携では「Toyota Connected」という会社を設立し、Azureを活用して、先進的なインテリジェントサービスを提供し、コネクテッドカーの実現に貢献することになる。加えて、2017年FIA世界ラリー選手権に参加している「TOYOTA GAZOO Racing」のテクノロジー・パートナーとしてマイクロソフトが参画し、高速で走るラリーカーから発信されるデータを収集して、レースを支援することになる。このように、日本でもこうした取り組みが増えている。

――日本でもHoloLensの販売を開始するが。

クルトワ氏:VR市場は、2016年の52億ドルから、2020年には1620億ドルに拡大すると予測されている。これを牽引するのがHoloLensだ。日本のユーザーも、12月2日からマイクロソフトストア経由でHoloLensを手に入れることができるようになる。

 HoloLensは“Mixed-Reality(MR)”を体験できる新たなカテゴリーの製品である。これを基に、デベロッパーがアプリを開発し、働き方やライフスタイルを変えることができる。製造業、建設業、ヘルスケア、教育など、さまざまな事例が登場することを期待している。たとえば建設業界の会社ならば、HoloLensを使って、作業現場の人たちが、より正確な仕事をしたり、リモートで運用したりといったことができ、トラックやブルドーザーをより少ない人数で利用できるようになるわけだ。

 HoloLensにとって、日本は重要な国であり、ここから革新的なアプリケーションが生まれると信じている。日本ではJAL(日本航空)が、整備士とパイロットの研修に応用する形で、すでにPoCを開始しているが、ぜひ多くの人にHoloLensを体験してもらい、人が持つ能力を高めてほしいと考えている。

――マイクロソフトではAI(人工知能)をどう捉えているか。

クルトワ氏:人のポテンシャルを拡大するには、AIを活用すべきだ。AIによって、強いインフラ、強いアプリ、強いサービスを作ることができる。そしてスマートなエージェントを作り、人の能力を拡大することができる。ビジネスシーンにおいては、次になにが起こるのかを予測することもできる。

 AIは、人にとって代わるのではなく「人の能力を拡大する」ものであることが重要だ。ここで大きな役割を果たすのが、Azureの「Cognitive Services」である。Cognitive Servicesでは、音声認識や感情認識などの機能がAPIとして提供されている。日本社会は、人口減少や経済的な課題に直面している。たとえば建設業界でも、人口減少の影響で、熟練工がいなくなるという課題が出ている。機械学習やコグニティブサービスを活用して、工事の内容を理解して、それをもとに予兆することで、建設業界の生産性をあげることができる。

 ヘルスケア分野でも同じことが起こるだろう。個別化したヘルスケアの実現にも、コグニティブサービスとビッグデータ、Azureとの組み合わせが必要であり、これによってイノベーションの水準を高め、日本の生産性のレベルを高めることができる。日本の企業にとっては、AIの活用がますます重視されるだろう。ISVやSIerも、自らが持つノウハウを活用し、マイクロソフトのコグニティブサービスで提供されるAPIや、Azureプラットフォームと組み合わせることで、高度なシナリオをつくることができる。

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