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さくらの熱量チャレンジ ― 第9回

karakuri productsの松村さん、さくらフェローの小笠原さんと熱量対談

タチコマが実現する日、さくらはロボットのインフラを作っている

2016年11月22日 10時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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10月28日、クラウドコンピューティングEXPOのさくらインターネットブースにおいて、「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」で1/2タチコマを製作しているkarakuri productsの松村礼央さん、さくらインターネット フェローの小笠原治さんを迎えたニコニコ生放送が行なわれた。なぜタチコマを作ったのか?という話から、ロボットを支える通信やインフラまで含蓄の深いトークとなった。(以下、敬称略)

ニコ生中継の模様

タチコマのサイズが1/2なのはなぜか?

オオタニ:みなさん、こんにちは!アスキー編集部のオオタニです。さて、ここクラウドコンピューティングEXPOのさくらインターネットブースでは、「攻殻機動隊REALIZE PROJECT」で1/2タチコマを製作しているkarakuri productsの松村礼央さん、さくらインターネット フェローの小笠原治さんをゲストに迎え、「タチコマが実現する日 コミュニケーションロボットになにが必要か?」という題したセッションを行ないます。まずは登壇者の自己紹介と言うことで、karakuri productsの松村さん、お願いします。

松村:松村と申します。もともとロボットの研究開発用のプラットフォームを研究していたのですが、3年前に独立し、今はkarakuri productsという会社を立ち上げました。1/2タチコマのプロジェクトを通して、ロボットのためのインフラを作っています。よろしくお願いします。

オオタニ:会場にも1/2タチコマを展示してあるのですが、現状これはどんなフェーズなんですか?

松村:これはフェーズ1の機体で「外装検討モデル」と呼んでいます。攻殻機動隊のコンテンツを活用しているので、版権の権利者様に「このデザインで良いか」を確認して、意匠をフィックスさせるためのモデル。それがこちらです。現状でだいたいOKをいただいているので、今後はこのデータをもとに動く機体を作るというフェーズに移ります。

オオタニ:なぜ1/2なんですか?

松村:よく聞かれるんですけど、原寸大だと相当大きいんです(笑)。足1本で1400mmくらい、トップまでの高さで3mくらいになってしまいます。劇中では高齢者施設の中で動いてたりするんですが、まあ怖いですよね(笑)。人と接するロボットとしては、インパクトが強すぎると思い、1/2くらいが適当かなと。

オオタニ:攻殻機動隊 Stand Alone Complexの第2話で「暴走の証明」という話があって、あれ私すごい好きなんですけど、市街地の中に多脚戦車が入ってきて、人の前に来ると相当怖いですよね。それを考えると、小さすぎず、大きすぎずちょうどいいサイズが1/2だったという感じですね。

松村:1/1だと完全に重機ですね。

小笠原:というか、兵器ですよね。実際、兵器だし(笑)。

人とコミュニケーションできるのに人型じゃないタチコマ

オオタニ:なぜタチコマか?という話の前に、ここに来ている人にとっては今さらかと思うんですけど、攻殻機動隊の世界観のおさらいをしておきましょう。

舞台は2030年くらいの日本で、「ロボット技術を用いた義体化とマイクロマシン技術を用いた電脳化が普及している」「電脳によってインターネットと直接接続できるので、ほぼリアルタイムに情報が共有されている」「機械と人間の境界があいまいになっている世界で、ロボットと人間の区別がつきにくい」「電脳のハッキングなどセキュリティ問題などが深刻化している」といった世界観です。こうした攻殻機動隊の世界観を現在のテクノロジーで実現してみようというのが、昨年発表された「攻殻機動隊REALIZE PROJECT」。松村さんの1/2タチコマもこのプロジェクトに入っているわけです。プロジェクトの説明を松村さんにお願いしてよいですか?

松村:はい。今、お話しされたように攻殻機動隊では電脳がインターネットに接続されているという世界観の中で、人がどんどん機械化されていくというストーリーがまずベースにあります。そこで使われている技術を具現化していきましょうというのが、REALIZE PROJECT全体の趣旨です。ただ、その中でもタチコマはやや特殊で、実は日常生活の中でタチコマがガシャガシャ動いているシーンってあんまりないんですよね。

オオタニ:そう言えばそうですよね。基地みたいなところとか、あくまで事件現場ですよね。

松村:実際、攻殻機動隊に出てくる人型のロボットって、人より賢くないんですよ。たとえば、「正しいことしか言わない人が、自分を嘘つきだと言ってる。その人は嘘つきか、否か?」みたいなパラドックスが解けないとか……。

オオタニ:タチコマが人型のロボットに質問するシーンですね。ほかにも公安9課のオペレーターロボットとかは、検索とか、キー操作に特化した存在として描かれています。

松村:はい。人間の社会にいる存在として、インターフェイスとしては人になっているだけ。逆に人の能力を超えるロボットはそもそも人型をしていない。そういうルールの中にあって、タチコマはやや特殊な立ち位置。人並みにコミュニケーションができて、かつ自律的に動くロボットというのはそもそもタチコマしか存在していません。

でも、みなさんの頭の中ではタチコマが社会に溶け込んでいる未来を想像しますよね。だから、劇中を超えて、タチコマがいるような新しい未来を築くためにはどうしたよいかを考えるのが、タチコマにとってのREALIZE PROJECTですね。

オオタニ:松村さんは、なぜREALIZE PROJECTに参加しようと思ったんですか?

松村:もともと10年前の攻殻機動隊 Solid State Societyの頃に1/10タチコマを自腹で勝手に作って、ロボットクリエイターの高橋さんに当時見せていたら、当の高橋さんに仕事が来て。プロモーションとして高橋さんの名義で開発しました。

オオタニ:なるほど。すでに実績があったんですね。

松村:はい。そして今、ロボット用の精密鈑金を作っている海内工業という会社とおつきあいができて、なにかベンチマークみたいなものを作ってみることになったのですが、海内工業の方も僕も攻殻機動隊が好きだったので。それで私がすでに実績があったタチコマを作ろうという話になりました。1年半前くらいから、自主的にタチコマ作っていたら、攻殻機動隊REALIZE PROJECTが僕らとは関係ないところで始まって、お声がかかったんです。

オオタニ:さくらインターネットの小笠原さんは松村さんとどんな出会いだったんですか?

小笠原:DMM.makeをやっていたころに、REALIZE PROJECTに関わったのがきっかけですね。

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