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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第158回

唯一無二の音、日本人製作家の最高ギターを販売店はどう見る?

2016年11月12日 12時00分更新

文● 四本淑三

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試奏するなら強い覚悟が必要

 ならば、まずはいろんな人に見て触ってもらうのが先決。というわけで、Kz Guitar Worksは、11月4日から6日まで東京ビッグサイトで開催された「楽器フェア2016」に初めて出展。Kz One Standardを多くの人が試せる、国内では初の機会となった。初参加のブースとしてはなかなかの盛況で、ブース前には試奏待ちの来場者が並ぶほど。

ブースで来場者の対応に当たっていた伊集院氏とギタリストの清水 一雄氏

清水氏のデモ演奏が始まると、老若男女国内外のさまざまな人が足を止め、周囲にいるスタッフに質問をしていた

セミホロウのボディー構造がよくわかるモデル。そんなところにまで穴が空いていたのかという部分も

さまざまなカラーバリエーション。一番手前はレフティー(左利き)仕様

現在のKz One Standardの基本仕様

 おもしろいのは、試奏のために恐る恐るギターを手にした人も、試奏が終わると「気持ちがいい」「弾きやすい」「Great Sound!」と笑顔で口にしていたこと。実際に良くできた楽器なので、触って音を聴くだけで説得されるものがあるのだ。かく言う私も、このブースで数分間試奏して、ずっと抑圧してきたなにかが、プチッと切れてしまった。

 ネックの手に当たる部分が綺麗に加工されていて、スライドやフィンガリングになんのストレスもない。フェンダーとギブソンの中間という独自のスケール、指板の幅、グリップのカーブ、弦のテンション感もすべてが絶妙で心地良い。このギターを持っただけで普段の3割増しくらいうまく弾けるような気がする(もちろん気がするだけ)。

 そして、やっぱり音がおもしろい。全体的にシングルコイルとしては太いサウンドで、全部オンにすればウーマントーン、リアだけでもジャキーンというロックっぽい音が出る。音のバリエーションも幅広いが、それぞれの音がユニークで使いでがある。

 ただ、私はストラトキャスターを弾き慣れているので、どうしてもセンターピックアップにピックが当たってしまう。これは弾き方の工夫でどうにかなりそう。というか、しなければならない。このギター、ボヘミアン・ラプソディのソロのような、あのフェイズアウトサウンドがいとも簡単に出てしまうのだが、それはセンターピックアップのセッティングに負うところが大きく、高さを下げたり、外したりしては意味がないからだ。

清水氏のピッキングポジション。やっぱりセンターピックアップのちょっと後ろを弾いている

 おかげで、楽器フェアが終わった翌日には「一見すると黒っぽいけど、光を当てるとシースルーの濃紺みたいな塗装できますか?」と伊集院氏にカスタムオーダーのメッセージを投げていた。現在、細かい仕様を詰めているところ。みなさんにも、ぜひ楽器店に行って試していただきたいが、その際はそれなりの強い意志と覚悟で臨むことをオススメする。

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著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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