このページの本文へ

超低消費電力で高速かつ高精度な演算を行なう脳に似せたチップ

IBMのニューロチップTrueNorth、ディープラーニングで最高性能を発揮

2016年09月28日 17時06分更新

文● 行正和義 編集/ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ディープラーニングに用いるデータセット

 IBM Researchは9月21日、脳のようなニューロコンピューティングを行なうチップ「TrueNorth」でのディープラーニングが最高レベルの性能を発揮したと発表した。

 TrueNorthはIBM Researchが2014年に開発した半導体チップで、ニューロチップ「SyNAPS」としては第二世代にあたる。入力256/出力256のラインを2次元メッシュで構成された4096個のコアを内蔵、これらのネットワークが脳のシナプス接続を模倣し、プログラム可能なニューロンの数は100万個、シナプスの数は2億5600万個。

一般的なプロセッサーと異なり、一部のシナプスは必要なときのみ発火するという非ノイマンアーキテクチャと言える

 TrueNorth(1チップ)を用いてディープラーニングのプログラムを実行したところ、課題において最高精度の演算性能を出したという。その性能は1秒あたり1200~2600枚の画像解析し、しかも25~275mWしか電力を消費しない。テストに実施した画像解像度は32×32ドットという荒いものであるが、この性能は100台のカメラからの映像をリアルタイムにパターン認識できるほどだという。

畳み込みニューラルネットの2次元メッシュのネット構造をTrueNorthのシナプスネットワークに適用したようだ(doi: 10.1073/pnas.1604850113)

 ディープラーニングの際には畳み込みニューラルネットという手法を用いており、これは画像を部分に分けて数値化、複数の階層を重ね合わせるもので、従来から画像解析分野では多用されている。TrueNorthのようなニューロチップに適した手法と言える。IBM ResearchではTrueNorthの16チップアレイからなるボードMS16eなどを開発し、さまざまな研究機関や大学、企業などとともに大規模なニューラルネットの開発を進めている。

カテゴリートップへ

灯油タンクで残量検知を実現!北海道の生活を守るIoTとは【熱量IoT】#3

動画一覧はこちら!