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業界人の《ことば》から第214回

パナソニック、東京オリンピック関連の商談をすでにはじめている

2016年09月27日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「東京オリンピックに向けた商談はすでにスタート。パナソニック全体では1500億円規模を見込む。リオとはまったく規模が異なる商談が発生する」(パナソニック AVCネットワークス社の榎戸康二社長)

 ブラジル・リオデジャネイロを舞台としたリオオリンピック/パラリンピックでは、日本人選手の活躍が目立った。感動の多いオリンピック/パラリンピックであったことは、多くの日本人に共通したものであったといえよう。

 その感動のリオオリンピック/パラリンピックを下支えした企業の1社がパナソニックである。

 オリンピックにおける最高レベルのスポンサー活動であるTOP(The Olympic Partner)に名を連ねる同社は、オリンピック会場に72面の大型LED映像表示装置を納入したほか、プロ用音響システムを41会場に納入。さらにシステムカメラを約40台、放送用スイッチャーを約70台導入して国際放送をサポート。また、開会式用に約110台のプロジェクターを導入したのに加えて、そのほかの会場でも約210台のプロジェクターを導入。開会式/閉会式の映像演出も元請けとなって対応し、リオオリンピック/パラリンピックの感動を世界に発信する役割を果たした。

 パナソニック AVCネットワークス社の榎戸康二社長は「それぞれの機器が、ロンドンオリンピックの2~4倍の規模になっている。リオオリンピックでの実績をきっかけに、米国、欧州、日本における、エンターテインメントソリューションにもっと力を注ぐきっかけができている」とする。

開会式や閉会式で、プロジェクションマッピング技術を世界に見せた

 特に、開会式や閉会式でみせたプロジェクションマッピング技術は、イベント演出における事例のひとつとして世界各国から注目を集めているという。

 パナソニック AVCネットワークス社では、こうした事業を「エンターテイメント」に区分。「スタジアム」「テーマパーク」「IR(統合型リゾート)/MICE(会議、研修旅行、国際会議、展示会・イベント)」の3つの市場をターゲットに事業を展開していくという。

 特にオリンピックの成果が期待できるのが、「スタジアム」の領域である。

 たとえば宮城県仙台市の東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地である楽天Koboスタジアム宮城では、縦10.24m/横25.088mの大型LEDビジョンによるスコアボードを導入。コントロールルームにスタジアム統合演出マネジメントシステムを導入するといった実績があがっている。ここでは、リモートコントロールカメラを活用して、試合の状況を録画し、チームの戦略分析に活用したりモバイルオーダーシステムを導入することで、観客が座席から食べ物などを注文し、イニングの間にこれを受け取れるような仕組みも受注している。

楽天Koboスタジアム宮城コントロールルーム

 また、北海道日本ハムファイターズの本拠地である札幌ドームでは、バルーンカムによる上空からの映像撮影のほか、特別席に380型相当のガラス部分にプロジェクターで情報を投影し、新たな楽しみ方を提案するなど、高い臨場感を持ったプレミアム演出を実現している。

 さらに海外では、2017年完成予定の米大リーグのアトランタ・ブレーブスの本拠地であるサントラストパークで、LEDビデオディプレー&メッセージボードを14面、55型の2面デジタルサイネージシステムを13台導入。AVシステム/サウンド、放送カメラ、セキュリティーカメラなども受注している。また、米アメリカンフットボールのフィラデルフィア・イーグルスの本拠地であるリンカーンフィナンシャルフィールドでは、LEDボードおよびリボンLEDを39面、フラットパネルディスプレーを1185台、統合グラフィックヘッドエンドシステムおよびウルトラワイドカメラシステムなどを導入。「米国で最大規模の導入案件になっている」という。

リンカーンフィナンシャルフィールド

 「集客力向上、客単価向上、来場者の満足度向上、体験価値の最大化、ファンやリピーターとの関係強化といった明確なメリットをパナソニックは提供できると考えている。世界ナンバーワンシェアを持つ高輝度プロジェクターや、放送業務用カムコーダー、サイネージやディスプレイパネルといったコア商材を活用したソリューション提供を価値として差別化を図る」と語る。

 そして、この勢いをもって同社が展開しているのが、2020年の東京オリンピック/パラリンピックの商談。まだ4年後の開催とはいえ、すでにその商談は始まっているという。

 実は、東京オリンピックは地元開催ということもあり、これまでのオリンピックと比べて様相がまったく異なるという。

 たとえばリオオリンピックでは、商談時期が開催直前に集中したりスタジアムを中心とした案件に集中していたが、東京オリンピックではスタジアムだけでなく関連する施設やビルにも商談が広がり、しかもそれが早い段階からスタートしている。

 「お役立ちできる範囲が広がり、規模感はまったく異なるものになる」と語る。

 リオオリンピック/パラリンピックでは、AVCネットワークス社のオリンピック関連商談は、「3桁の億には届いていない」という規模だったというが、「東京オリンピックでは桁が変わってくる。映像や放送ソリューションだけに留まらず、カメラや画像認識技術などのセキュリティー分野にも範囲が広がる」と期待する。

 パナソニック全体では、映像、放送、セキュリティーのほか、ライティング、空調などをふくめて、オリンピック関連商談として2020年までに1500億円規模の事業を想定しているという。

 これは、AVCネットワークス社のほかにも、エコソリューションズ社を含めた数字になるが、いずれにしろ、これまでのオリンピックの関連商談と比べてもまさに「桁違い」の規模になる。

 榎戸社長は、「東京オリンピックに向けては、いまから予定通りにパイプラインができている。リオオリンピックでは目に触れるところへの納入は進んだが、セキュリティーカメラなどの目に見えない部分での商談がまとまらなかった経緯があった。東京オリンピックでは、そうした案件も積極的に取り込む」と意欲をみせる。

 2020年の東京オリンピックに向けた商談の号砲はすでに鳴っている。パナソニックは、オリンピック関連ビジネスでスタートダッシュには成功しているようだ。

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