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Lightning直結でiPhone 7とも相性抜群

OPPO、美しい手帳型USB DAC「HA-2SE」

2016年09月27日 12時00分更新

文● きゅう

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 OPPO Digital Japan株式会社は9月27日、ポータブルUSB DAC「HA-2SE」を発表した。昨年2月に発表した「HA-2」の後継機種。価格はオープンプライスで、予想実売価格はHA-2と同程度になる見込み。

見た目は従来機とほぼ同じだが、内部は一新している。

見た目は同じでも内部は一新

 HA-2SEのHA-2からの進化ポイントは、内蔵するDACチップを最新世代の「ES9028Q2M」に変更したこと、アンプ回路を新規に設計したことが挙げられる。付属品として、L字型のLightning-USB変換ケーブルと両端L字のMicro-USBケーブルを用意したのも変更点だ。ちなみにOPPO Digitalは9月に両端L字のOTGケーブルを販売開始しているが、これとは別製品で、USBケーブルのコネクターの向きなどが異なる。

DACチップは一新

 音質面では、最新DACの採用で、従来(ES9018K2M搭載のHA-2)と比較してダイナミックレンジが拡大した。スペック上は129dBと2dBほどの改善だが、「スペック以上に音の質感が変わっているので、DACチップの違いによるキャラクターの違いも楽しめる」(OPPO Digital Japanの島幸太郎氏)とする。ESS独自技術の32bit HyperStreamやTime Domain Jitter Eliminatorといった特徴は継承。64bitのアキュムレーターを持ち、内部処理は32bitだ。

 新規設計のアンプ回路は、AB級のアナログアンプで出力段はディスクリート構成。日本のユーザーから受けたフィードバックも反映して改善した。「聴き比べるとノイズ量などが一聴にして分かる」(島氏)。また、(切り替えで選べる)ローゲイン時の利得を調整して、ShureのSE846など高感度なイヤフォンでも安心して使えるようにしているそうだ。

アンプ部分はオーディオメーカーのノウハウが生きる部分。今回はフィードバックを反映してゲイン調整の部分に注力した。

 具体的には無音部などで「サー」と聞こえるノイズを低減。ローゲイン時の出力を下げることで、インピーダンスの低いイヤフォンでも、音量つまみを高い位置に設定できる。アナログボリュームだけでもギャングエラーが少ない実用的な範囲での音量調節となるため、使いやすい。ちなみにDAC変更により、チップからの出力が高くなったとのことで、単純な置き換えでは対応できないことも、アンプ変更の理由になっているようだ。

 ノイズレベルはHA-2と比較して5dB改善。これは聴感補正フィルターをかけた結果での比較だが、周波数ごとの計測値で見ると、HA-2の120~125dBに対して、HA-2SEは130~135dBの範囲で推移。全域にわたって10dB程度の改善がなされているという。

ノイズレベル。赤が従来品、青が今回。全体的に下がっているのが分かる。

 同様に全高調波歪率(THD+N 1kHz)の結果に対しても、5~10dBの改善がある。グラフを見ると1kHzの入力に対して、いくつかスパイク状の歪みが発生しているが、そのレベル(振幅)も下がっており、聴感上でも歪み感が少なくなっている。歪は音色感に関係している部分であり、音質面での改善を感じる一因となるそうだ。

1kHzの信号を入力しており、中央がパルス状に盛り上がっているがよく見ると、その右側に2つほどパルス状の歪が発生しているのが分かる。

 周波数特性(音圧)もわずかだが、HA-2よりフラットになった。HA-2では100Hz~500Hzぐらいのところにわずかなピークがあり、そこから徐々に音圧が下がっていく特性だった。そのため聴感上、ピラミッドバランスに近く聞こえる面もあった。一方HA-2SEでは500Hz~50kHzまでの信号の減衰が少なくフラットな特性となる。

周波数特性。よく見ないと分からないが、赤のHA-2は中域から先が緩やかに減衰している。

 「HA-2のキャラクターが好きという人もいるだろうが、ほとんどの人がHA-2SEのほうがいいとなると個人的には期待している」(島氏)

 加えて「9028Q2Mの採用で音数がさらに増えたので、より抑揚がつけられるようになった。一方で高性能DACにありがちな、神経質でつまらない音にならないよう配慮している。HA-2とHA-2SEを比較試聴すると、低域の解像度に違いが出るのではないか。聴き比べると、HA-2は少し膨らんでいる。一方HA-2SEでは、音の骨格が見えるような音作りで、階調表現がより正確に聞こえる音作りになった」とも語った。

 なお、BASS BOOST機能のかかり方は一緒だが、もともとの違いを反映して、低域はよりスマートというか、解像度が上がった感じで聞こえるという。不自然に膨らんだ感じに聞こえにくいため、BASS BOOSTが使える場面が増えるのではないかともコメントしていた。

 ボディーについてはアルミ合金削り出し、天然皮革利用のブックカバーデザインなど従来機の特徴を踏襲している。重量も同じでシルクにSEが追加された以外、外観からの区別は難しい。デザインの人気がある製品なので、中身で勝負するという方針とのこと。「SEの由来については聴いていないが、SpecialなのかSecondなのかはお客様の判断に委ねたい」(島氏)。

バッテリー駆動時間はUSB入力時で約7時間、ライン入力時で約13時間。30分で70%のバッテリー充電ができる“ラピッド・チャージ”やモバイルバッテリーとしてスマホに電源供給できる機能などは踏襲している。

iPhone 7とも相性のいい、4万円クラスのUSB DAC

 HA-2は国内での評価が高く、3~5万円の価格帯では競合がいないといってもいいほどの状態。「性能はもちろんだが利便性やデザインが三位一体となって評価されているのではないか」とOPPO Digital Japanの島幸太郎氏は話す。

 イヤフォン・ヘッドフォン市場は高級化傾向が進んでいる。数量は横ばいであるものの単価は10%程度上がり、従来の量販店で一番安いものを探して「使い捨てる」スタイルから趣味のアイテムへと、マスマーケットの中での位置付けも変わってきている。こうした中、HA-2は“スマホの音をよくする”ことを第1に狙った製品だ。

 iPhone 7でイヤフォン端子が廃止されたため、その受け皿としての用途も想定している。国内のスマホ市場におけるiOSデバイスの市場占有率は、35~60%程度で推移しており、他国と比較しても高い状況だ。

 説明会ではこうしたHA-2の特徴を踏まえたうえで、HA-2SEで新たに重視するポイントが解説された。

 「聴きたいハイレゾ音源を、ごく普通の人でもフォーマットを意識せず聴けることが大事。自分のDACがどのサンプリングレートに対応しているか、DSDが再生できるかなどを考えなくて済むよう“フル対応する”ことに意味がある。同時にハイレゾ再生を見据えたアナログアンプの設計にオーディオ専業メーカーとしてのノウハウが生かせる。不可逆圧縮のストリーミングサービスやゲームでもいい音で再生できる点をアピールポイントとしていきたい」(島氏)

 HA-2SEは最大12.2MHzのDSDや最大384kHz/32bitのPCM(DXD)に対応。現在配信されている楽曲はほぼすべてカバーできる。同時にネットワーク接続ができるスマホの特徴を生かし、「Apple Music」や「Google Play Music」、さらには上陸予定の「Spotify」をはじめとした最新の定額制音楽サービスをより高音質に聞けるという点もアピールしていく。

 利便性の面では、本体バッテリーの容量をおすそ分けする機能も装備。USB DACを使用する際に「スマホの充電ができなくなる」といった問題も回避できる。このモバイルバッテリー機能や、急速充電、LightningやUSB端子にデジタルで直結できる点など、利便性にも優れた機器として販売していく計画だ。

 なおHA-2で展開したカラバリの計画は現時点でない。ただしHA-2のブラックはディスコンとなるが、ブルーとレッドについては継続販売する。カラーについてブラック以外の2色を選択するユーザーは全体の10~20%程度で、時期によって差はあるが、おそらくブルーよりもレッドのほうが売れているとのこと。

販売店の数は左のグラフにあるように、急速に伸びている。

 このところ好調なOPPO。国内での取り扱い販売店数も100店舗を超えたという。販売店はもちろん、映像の送り出しの機材として、Blu-ray Discプレーヤーなどを中心に放送局や制作スタジオ、大学などへの納入も進んでいる。ファイル再生を含めて多岐にわたるフォーマットやディスクに対応できる点に加えて、ポストプロダクションスタジオから、7.1chの出力があるため使い勝手がいいというフィードバックを受けたことがあるとのこと。

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