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ReadyNAS最新モデルに10GbEポートを標準搭載、進む10ギガ化に先手を打つ

「今年は中小企業も10ギガNWの世界へ」ネットギアVPが語る

2016年09月28日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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中小企業も10ギガビットネットワークへと移行していく

 ネットギアが9月に発売した「ReadyNAS」新モデルでは、デスクトップ型の2モデル(526X、626X)、ラックマウント型の2モデル(4312X、4312S)が、いずれも10ギガビットEthernet(10GbE)に標準対応した。

デスクトップ型ReadyNASの新モデル「ReadyNAS 626X」。標準搭載する10GbEポート×2をリンクアグリゲーションすることで20Gbpsの帯域幅を実現できる

 また、8月には10GBASE-T×8ポートを搭載した10GbEスイッチ「XS708E-200AJS」も発売している。税抜16万円という低価格ながら、VLAN、QoS、リンクアグリゲーションの機能を備えたアンマネージプラススイッチだ。

 これらの製品は、いずれも250~500名規模のSMB企業(中堅中小企業)を主なターゲットとしている。ここからは、SMB市場においても今後、10GbEネットワークが急速に普及するというネットギアの考えが見て取れる。

 米ネットギアでSMBプロダクトマネジメント担当VPを務めるリチャード・ヨンカー氏も、「今年はSMB領域においても、10GbE市場が大きく動くだろう」と語る。そんなヨンカー氏に、SMB市場における10GbEネットワーク化への動向や、同市場におけるネットギアの強み、今後の戦略などを聞いた。

米ネットギア SMBプロダクトマネジメント担当VPのリチャード・ヨンカー(Richard Jonker)氏

「2016年は10GbEが『コモディティ化』する年だ」

 SMB領域においても10GbE市場が活性化する背景には、大きく2つの理由がある、とヨンカー氏は説明する。

 まずは「スピード」に対する強い需要だ。企業のネットワークは急速に“インテンシブ(集約的)”なものになっており、その結果、ネットワークトラフィックも「1年間に約2倍というペースで拡大している」と、ヨンカー氏は語る。

 ここで言うインテンシブとは、企業内のさまざまな業務やデータが、高速なネットワークを利用するかたちに変化しているという意味だ。

 従業員は、PCだけでなく、タブレットやスマートフォンも同時にネットワーク接続して業務を行う。従来からのWebブラウジングやメールだけではなく、電話(VoIP)や社内コミュニケーション(チャット)、会議(ビデオ会議)ですら、今では高速なネットワークを使って行われる。業務アプリケーションも、今ではネットワーク経由でクラウド上にあるSaaSを使うことが珍しくない。つまり、高速で安定したネットワークがあらゆる業務の前提となっているわけだ。

 さらに、企業無線LANの802.11ac化が徐々に進んでいる。「たとえばネットギアが提供する11acアクセスポイントには、1台あたり1.7Gbpsの容量を持つものもある。つまり、すでに1GbEネットワークでは足りなくなっている」。

 加えて、10GbEネットワーク構築にかかるコストが急速に低廉化していることも、SMB市場における10GbEの普及を後押しする。ヨンカー氏は「今年は10GbEが『コモディティ化』する年だ」と表現する。企業のアグリゲーションスイッチと、そこに直結するサーバーやNASなどから10GbEが導入されていくだろう。

 「たとえば、さまざまなITベンダーのサーバー製品を見てみると、昨年はまだ1GbEポート搭載のサーバーが半分以上を占めていた。しかし今年は、10GbE搭載サーバーが過半数となっている」「10GbE対応製品がロープライスで購入できるようになっている。市場の転換点(Tipping Point)を迎えたと言える」

 実際、ネットギアが欧州/米国でSMBの経営者/ITマネジャーを対象に実施した調査によると、SMB領域においてもすでに33%の企業は10GbEネットワークを導入済みであり、2017年末までには75%が導入する予定だという。「今現在、もしくは近い将来10GbEネットワークが必要になるか?という質問には、100%が『YES』と回答している」。

すでに33%のSMB企業が10GbEネットワークを導入済みで、2017年末までにはその割合が75%に達する見込みだ

SMB向け10GbEスイッチで85%のシェア、先行するネットギアの「強み」とは

 SMB領域の10GbEスイッチ市場において、ネットギアは85%のシェアを占めるという(Infonetics Research調べ)。すでに2013年から10GbEスイッチの製造、出荷を始めており、10GbEに関する技術、ソフトウェア、エンジニアリングノウハウは「競合他社よりも3年先を行っている」と、ヨンカー氏は自信を見せる。

 「SMB領域の10GbE市場が盛り上がり、他社がやっとネットギアの第1世代スイッチを“コピー”し始めたが、ネットギア自身はすでに第3世代、第4世代の製品を出荷している」

 そもそもネットギアは、1996年の創立時点からSMBをターゲットとして、最新のネットワーク技術を入手しやすい価格で製品化することに専念してきた。

 「20年前(1996年)にはSMB向けで初めてのEthernetハブを出荷した。同様に、15年前には1GbEスイッチを、3年前には10GbEスイッチを、それぞれSMBのために製品化してきた」「(エンタープライズ向け製品の)1ポートあたり400ドルもするような10GbEスイッチは、SMBには高価すぎて受け入れられない。SMBが求めているのは、1ポートあたり100ドル程度の10GbEスイッチだ」

 ネットワークストレージ(NAS)についても同様だ。ヨンカー氏は、SMB向けNASの競合が10GbEポート搭載の製品を開発しようとしても、一朝一夕にはネットギアに追いつけないだろうと語る。今回発表されたReadyNASのように、サーバー向けのマルチコアプロセッサやメモリ、ファームウェアといったコンポーネントも含めて再設計しなければ、10GbE化で期待される十分なパフォーマンス、さらにビジネスユースでも求められる信頼性が実現できないからだ。

 「単純に(既存のNASに)10GbEのネットワークカードを追加しても意味がない。それで10GbEネットワークに対応したと言うのはファンタジーだ」

 ヨンカー氏は、すでにスイッチで10GbEネットワークのノウハウを持っていること、シリコンバレーの本拠地でブロードコムやインテルといったチップベンダーと密に協業しながら製品開発を進めていることなども、ネットギアの強みであると語った。

 なお同社では、2.5GbE(NBASE-T)スイッチの販売も開始している。これは、1GbEでは容量が足りないアクセスポイントの接続などに活用されるという。

 日本のSMB市場における10GbEネットワークの浸透についてヨンカー氏は、他国よりも「少し速く進む」と予測している。日本のユーザーは“Tech-Savvy(技術に精通している人々)”であり、新しいテクノロジーの導入率も全般に高いからだ。

 「ローカルの(日本国内の)競合に対して、ネットギアはもっと使いやすく、もっとパフォーマンスが高く、そして『何かあたらしい価値』を提供できる製品をもって対抗していく」

(提供:ネットギア)

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