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美容業界のUberとなるか?ユーザー目線のわがまま予約に注目のrequpo

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学生起業を皮切りに未経験のIT業界へ

 株式会社リクポは2015年12月11日に創業し、実際には2016年の2月から本格稼働したスタートアップだ。代表の木崎氏は、学生時代から数度の起業を経験している。

 最初は、大学3年生のときに立ち上げたコミュニティー事業から。サッカーや英会話など各種サロンで人を集め、月額課金をしつつ数百人規模のイベント事業を行い、収益を出していた。社会人を中心としたクライアントに対して、事業黒字化は達成したものの、学生ベンチャーならではの仲間割れからの空中分解となる。

 大学卒業後、木崎氏はイベントの企画やファッションショーのプロデュースを行う会社を立ち上げ代表取締役として就任。ちょうどAKB48が流行り始めた時代。素人の女の子がプロのレッスンを受け、ファッションショーに出るまでの支援を事業とした。「まだ世の中にない新しいサービスを世の中に出していきたい気持ちがあったが、当時は自分やメンバーにITスキルを持った人材はおらず、イベントやファッションショーなど人を巻き込んだビジネスが発想の中心だった」(木崎氏)

 イベントやファッションショーを行う中で、「せっかく面白い企画を考えていろいろな人に興味を持ってもらえても、その日その場所に来れる人にしかサービスを届けることができない。時間と空間に縛られてしまうのがとても歯がゆかった」という木崎氏。そんなとき、新たにウェブサービスを立ち上げる友人の手伝いをすることになる。ローンチには至らなかったが、「ITなら、時間と空間に縛られず自分の頭の中を自由に表現できると思った。それまでOfficeすらろくにいじれなかったが、イベントをやっていた会社を休眠させて、一から学ぼうと思った」と興味を持つ。

 会社の休眠により収入がゼロになったため家を引き払い、漫画喫茶や友人宅を転々とする日々。知り合いのエンジニアに「HTMLって何ですか」というところから教わり、ようやく自分でウェブサイトを作れるようになったのが2012年ごろ。そこから、いろいろなWeb制作会社でアルバイトをこなし、現場での経験を積みながら、再度の企業を見据えていた。

 転機となったのは、2014年1月に立ち上げたウェブ制作とマーケティングを行う3社目のベンチャーだ。

 ある美容系チェーンのIT面サポートをきっかけに、美容室の現場の話を聞く機会が増えた。その中で美容業界ならではの「ずっとみんなが困り続けている問題」に気づく。中でも美容師たちが一番困っているのが、集客だった。

 「それまで、みんな大手美容室の予約サービスへの掲載を進んで行っていると思っていたが、『本当は広告掲載をやめたい』と口をそろえて言っていたので驚いた」(木崎氏)

凝り固まった市場にチャンスを見出す

 理由を聞くと、高額な掲載費用が割に合わず、結果的に赤字になってしまうケースがほとんどだという。広告掲載を行ってたとしても、予約以外の空き時間を効率的に埋めるためのプッシュ型の集客手段は存在しない。そのため、予約が入っていない美容師は路上で客引きやビラ配りをしなければならない。また、SNSでの発信などで、ピンポイントに美容室を利用したい層を狙ってプッシュ型の集客をするのは難しい。このような事情のため、大手美容質予約サービスへの広告掲載をやめたいが、広告をやめてお客さんが来なくなるのが怖いと言われたそうだ。

 「ディズニーランドではないが、顧客をガッチリ囲い込んでいるので、ここ数年でどんどん金額が上がっている。大手の美容室でも『本当は掲載したくない』と言っていた。逆に、零細の美容室はそもそも予算の関係などで掲載をしていないケース画多い。全国に美容室は約23万軒あるが、そのようなサービスに掲載しているのは約3万軒。残りの20万軒にも利用してもらえるのが『requpo』の強み」(木崎氏)

 美容業界は、独立する人がとても多い。お客さんが人、つまり美容師についているからだ。言うなれば、大手美容質予約サービスで新規客を獲得し、自分で囲えるとリピーターになり、リピーターが増えればそのまま独立ができ、独立するとまた同様のサービスを使うというエコシステムができあがっている。「美容は特殊な業界で、独立はしやすいが、生き残るのがかなり難しい。コンビニの4倍くらい店舗があると言われている。コンビニに毎日通う人はいるが、美容室を毎日利用する人はいない」

 美容業界を知れば知るほど凝り固まった市場であることに気づき、何か新しい仕掛けができるんじゃないか、なんとかしたいという気持ちから木崎氏が考えついたのが、『requpo』のサービスだった。

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