ADATAは、コストパフォーマンスに優れるメインストリーム向けSSDの新モデル「SU800」を発売した。同社初となる3D NANDを採用しており、優れた性能と高い信頼性、そして安価な価格を実現している。そこで、実際にSU800の性能をチェックしていこう。
優れた性能と長期間の信頼性を両立
SU800は、売れ筋価格帯に位置する、メインストリーム向けSSDの新モデル。その他のメインストリーム向けSSDと同じように、1セルあたり3bitのデータを保存する、いわゆるTLC仕様のNANDフラッシュメモリーを搭載しているが、このNANDフラッシュメモリーはADATA製SSDとして初となる、3D NANDを採用している。
通常NANDフラッシュメモリーは、製造プロセスを微細化することで単位面積あたりの容量を増やしてきたが、製造プロセスを微細化すればするほど信頼性が低下するという問題がある。
しかし3D NANDは、メモリーセルを立体的に重ねる構造を採用することで、比較的大きな製造プロセスを採用しつつ単位面積あたりの容量を大幅に増やせる。
3D NANDには高い製造技術が求められることもあり、従来は価格的なメリットも大きくなかったようだが、製造技術の向上に伴い、メインストリーム向けのSSDでも3D NAND採用製品が増えつつある。SU800は、そういった製品のひとつというわけだ。なおSU800では、Micron製のTLC 3D NANDを採用している。
ただ、3D NANDの採用とはいっても、TLC NANDではどうしても書き込み時の性能が低下するとともに、そもそも書き換え寿命自体も短くなる。そこでSU800では、搭載するNANDフラッシュメモリーの一部をSLCキャッシュとして確保し、書き込み時には一度SLCキャッシュに書き込んだ後にTLC領域へと移す仕組みを採用する。
これにより、書き込み時の速度低下を隠蔽しつつ、TLC領域の書き換えサイクルも最適化し、速度と信頼性を両立しているという。実際にSU800では、耐久性を示すMTBF(平均故障間隔)が200万時間と、メインストリーム向けの製品としてはかなりの長期間となっている。
また、総書き込みバイト数(TBW)も類似モデルを上回るとしている(具体的なTBWの数値は非公開)。そして、速度に関しては、SLCキャッシュだけでなくDRAMキャッシュも搭載しているので、大容量データの書き込み時にも速度低下が起きにくいとのこと。
その他、低密度パリティー検査誤り訂正符号(LDPC ECC)エンジンを搭載することによって、データ整合性も高められているという。こういった特徴によって、優れた性能と長期間にわたる高い信頼性を確保している。
SU800の主な仕様は下表にまとめた通りで、容量128GB、256GB、512GB、1TBの4モデルをラインナップ。128GBモデルではシーケンシャルライトや4Kランダムアクセス速度がやや遅いものの、インターフェースがSATA 6GbpsのSSDとして申し分ないものとなっている。
SSDコントローラーには、Silicon MotionのSM2258を採用。厚さ7mmの2.5インチサイズで、ノートPCからデスクトップPCまで、幅広く活用できる。
SU800の主な仕様 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
容量 | 128GB | 256GB | 512GB | 1TB | ||
フォームファクター | 2.5インチ/7mm厚 | |||||
インターフェース | SATA 6Gbps | |||||
コントローラー | Silicon Motion SM2258 | |||||
NANDフラッシュメモリー | Micron 3D NAND TLC | |||||
シーケンシャルリード | 560MB/Sec | |||||
シーケンシャルライト | 300MB/Sec | 520MB/Sec | ||||
4Kランダムリード | 50000IOPS | 80000IOPS | 85000IOPS | 80000IOPS | ||
4Kランダムライト | 75000IOPS | 85000IOPS | 80000IOPS | |||
耐久性(MTBF) | 200万時間 | |||||
保証期間 | 3年保証 |
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