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JAWS-UG九州勉強会レポート 第3回

中級者でも楽しめた全年齢対応イベントをレポート!

なぜクラウド?からサーバーレスまで「はじめて」づくしのJAWS-UG大分

2016年09月20日 10時30分更新

文● 重森大 編集●大谷イビサ

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JAWS-UG大分熊本ツアーとして、連休の土日を使って開催されたJAWS-UG大分、JAWS-UG熊本連携イベント。アスキーからはJAWS-UG on ASCIIの看板である大谷と、地方巡業担当 重森の2人体制で取材に臨んだ。出生地でもある大分の勉強会を重森が、熊本の勉強会を大谷が担当にするリレー形式でレポートする。

初心者向けの内容でも中堅エンジニアを飽きさせない勉強会

 「どげもこげも、おもしれーちわかっちょんに、もうレポートちゃあすもつくれんことしちょらんで、CLI開いて手え動かしちょん方がいんやねんな。しんけんおもしれーに、なしみんな来んかったんな」っち書いて出したらいかんのかなあ(編集部注:編集不可です)。そんな思いでいっぱいの重森です。JAWS-UG大分、いい意味で内容がゆるくてよかった。

大分駅から近いコワーキングスペース「azito」で行なわれたJAWS-UG大分の勉強会

 濃い勉強会は必要だ。向学心を持つエンジニアの集まりとして、最新技術へのキャッチアップの場としてJAWS-UGは機能している。しかしそこに新しく入ってくる後輩たちを育てるためにも、ぜひ定期的に初心者向け勉強会を開催してもらいたいとも思っている。今回JAWS-UG大分で開催した勉強会は、どちらかといえば初心者向け勉強会だった。クラウドを使うメリットって何なのか? サーバーレスってよく聞くけどどういうものなのか? CLIを使うメリットはどこにあるのか?

 初心者向けの内容ばかりにすると、「そんなことはもう知ってるよ」と中堅以降のエンジニアを飽きさせてしまう恐れがある。ところが今回のJAWS-UG大分勉強会はそんな心配をふっとばす面白さがあった。初心者向けでもこういう切り口ってあるんだなと、地方勉強会を巡ってきた重森も楽しく聴講してきた。さあ、それはどんな内容だったのか。生まれ故郷へのひいき目をあからさまに込めたレポートをお届けしよう。

クラウドって何が便利なのを非エンジニアに説明すべき(平野さん)

 最初に「初めてのクラウド」というタイトルで登壇したのは、JAWS-UG大分支部長のイジゲンの平野 文雄さん。初心者向け勉強会の口火を切るのにこれほどわかりやすいものはないという講演タイトルだ。

等身大目線ではじめてのクラウドを語るイジゲンの平野 文雄さん

 よく聞く話だが、「クラウドにすると安くなるんでしょ?」という疑問に、まっすぐ「安くなりません」と答えてしまう平野さん。読者にはそれこそ釈迦に説法かもしれないが、低コストでアベイラビリティを確保できること、需要に応じてシステムをスケーリングできること、データの保護が容易といったメリットこそクラウドを採用する大きな魅力だという。

 「システム開発を受注している企業でも、オンプレミスとクラウドの特性の違い、クラウドのメリットをわかっていなかったりします。それに売り込むためには、決裁権を持つ経営層にクラウドのメリットを伝えなくてはなりません。ですから、非エンジニアにもクラウドの魅力を伝えられるようにならないといけないと思っています」(平野さん)

 社内でも非エンジニア向け勉強会を開催するという平野さんは、クラウドの魅力をどうわかりやすく説明するかを重視し続ける。

GUIに飽きたらCUIもね! (CLI専門支部中山プロ)

 AWSを使うエンジニアの多くは、WebブラウザのManagement Consoleを使っていることと思う。では、あえてCLIで運用する意味はどこにあるのか、その回答のひとつを示してくれたのは、JAWS-UG CLI支部から参加した中山 順博さんだ。

CLIはなぜ使うのかを語るCLI専門支部の中山プロこと中山順博さん

「AWSのManagement Console画面は、けっこう頻繁に変わります。各機能もアップデートにより設定画面が更新されるのが珍しくありません。これは、運用者に渡す手順書を作る際に大きなカベになります」(中山さん)

 手順書作成は本来、刺身のツマのようなもの。本丸の作業である刺身を作ったら、それに運用手順書を添える。しかし、その「ツマ」づくりにはあまりにも多くの手間がかかる。そう、鬼のような画面キャプチャ地獄だ。筆者も初心者向けムックなどで画面キャプチャ地獄は何度も味わっている。ムックは売り切りだからいいけれど、アプリの運用手順書は運用が続く限り更新しなければならない。

AWS CLIの手順書であればキャプチャ地獄にならないでOK

 しかし、運用をCLIに変えればこうしたツマづくりがぐっと簡単になり、「作業負担の観点でも刺身のツマ」になるという。機能アップデートがあり、新しいパラメータが追加されることはあっても、これまで支えていた機能やパラメータが使えなくなることはほとんどない。そのため、運用手順書をCLIで作成しておけば、機能アップデートに伴って手順書 アップデートしなければならない事態もほとんどない。

「CLIを使うための準備として認証情報とリージョンを設定画面しなければならないのが慣れるまでは少し面倒くさく感じるかもしれませんが、慣れれば得られるメリットの方が大きく感じるはずです」(中山さん)

 実際の設定画面手順書を紹介し、CLIで新しい環境をデプロイするデモンストレーションも行なってみせた。手順書づくりのポイントは、変数を多用することのようだ。サーバー名、IPアドレスなどシステムごとに異なる情報は変数としてまとめて設定画面させる。そうすれば、手順書のその後のステップで共通化できる部分が多くなる。

「変数をうまく使うことで、情報を管理する部分と、その情報を使う部分を分離することができます。手順書も見やすくなるし、手順書を作る際のミスも減らせます」(中山さん)

 中山さん曰く、CLIを使いこなすポイントは、とにかくたくさん吐き出されるJSONデータの扱いに慣れること。そのために役立つJp.pyやjsonlintなどのツールも紹介してくれた。

「CLI支部では勉強会で発表された手順書をすべて公開しています。ぜひ一度のぞいてみてください。そして東京に来る機会があれば、ぜひCLI支部にも顔を出してみてください」(中山さん)

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