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タフなだけじゃない、現場業務をしっかりこなせる「ZERO SHOCKタブレット」

製造/建設/流通…現場の声で作った!ロジテックの業務タブレット

2016年09月29日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「堅牢」だけじゃない、現場業務をしっかり考えて開発されたタブレット

 エレコムグループのロジテックINAソリューションズが今年8月に発売した「ZERO SHOCKタブレット(LT-RT1090)」。耐衝撃/耐寒耐熱/防塵/防滴性能が特徴のWindowsタブレットPCだ。

ロジテックINAソリューションズが発売した「ZERO SHOCKタブレット(LT-RT1090)」

 だが、ZERO SHOCKタブレットは頑丈で壊れにくい、というだけではない。製造業や建設業、流通業などの現場において、日々の仕事にバリバリ使える「現場業務のためのタブレット」として企画/開発された製品だ。“堅牢”というのは、あくまでも特徴の1つにすぎない。

 ロジテックでは、これまでも数多くの業務用/産業用カスタマイズPC、そしてPOS/KIOSK/サイネージ端末向けのタッチパネルPCを開発、製造してきた。そんなロジテックには、数年前から「過酷な現場業務でも使えるタブレットを開発できないか」という相談や要望が寄せられていたという。

 そうしたさまざまな「現場の声」を集約し、ロジテックの持つアイデアとノウハウ、技術力を盛り込んで完成させたのが、今回のZERO SHOCKタブレットというわけだ。

 では、実際にどんな現場の声がロジテックに届き、ZERO SHOCKタブレットに盛り込まれたのだろうか。今回は、そんな疑問をロジテックの企画開発陣にぶつけてみた。

ZERO SHOCKタブレット(LT-RT1090)基本スペック
画面サイズ 9.7インチ(1024×768 pixel)
タッチパネル 静電容量方式(10ポイントマルチタッチ)
CPU インテルCerelonプロセッサ N2930 クアッドコア 1.83GHz
内蔵メモリ 4GB
ストレージ 64GB mSATA SSD(別途micro SDスロットあり)
その他 無線LAN 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0、500万画素カメラ、USB/Micro USBポート、mini-HDMIポート
バッテリ リチウムイオンバッテリ(2270mAh、約4時間連続稼働)
本体重量 1.1kg
OS Windows 7 Professional for Embedded System 32bit/64bit、Windows Embedded 8.1 Industry Pro 64bit

USB、mini-HDMIなど充実した本体内蔵ポート、および500万画素の背面カメラ

製造業の声――落としてもぶつけても、水洗いしても平気な業務タブレットを

 まずは工場でのタブレット利用ニーズが高い、製造業の声から紹介しよう。

 組み立て製造業の某社では、バーコードリーダーを接続して工場の部品ピッキング作業に使うためのデバイス、さらに製造ラインで電子マニュアルを閲覧するためのデバイスとして、タブレットPCの導入を検討していた。だが、工場内の現場を忙しく移動しながら使うため、どうしてもタブレットをぶつけたり、落としたりすることがある。コンシューマー向けの一般的なタブレットでは、すぐに壊れてしまうおそれがあった。

 また、ある食品製造業の企業では、タブレットを作業ラインに取り付けて、従業員に作業手順を指示するためのデバイスとして利用したいと考えていた。ただし、食品を扱う工場のため、作業ラインは毎日水で洗浄(丸洗い)する必要があった。タブレットが水に弱ければ、そのうち故障してしまいかねない。

 製造業に限らず、多くの現場では、一般的なタブレットでは解消できないこうした悩みを抱えている。そこでZERO SHOCKタブレットでは、高い耐衝撃性と防滴性能を備える設計がなされた。

 見た目にもがっしりとした本体の耐衝撃性は、米国防省の軍用規格(MIL-STD-810G、いわゆる“MILスペック”)に準拠した落下テスト(非動作)をクリアしている。1.2メートルの高さから、各面/辺/角の計26方向を床にぶつけるかたちで落下させるテストだ。作業中にぶつけたり、手を滑らせて落としたりする事故が起きることを考えると、堅牢な本体の安心度は高い。

ZERO SHOCKタブレットは米軍規格の落下テストをクリアしている(写真はテスト風景)

 また、防滴性能としては全方向からの噴流水に耐えられる「IP65」に準拠している。雨に打たれる屋外での作業だけでなく、たとえば前述した食品製造ラインのように、ホースの水がかかってしまうような現場でも問題なく利用できる。

ZERO SHOCKタブレットにシャワーの水をかけるデモ。全方向からの噴流水に耐えられる

 ちなみに、本体の背面にはVESA規格(VESA75)準拠のねじ穴も付いている。たとえば工場の壁や製造ラインに取り付けたい場合、特別な取付器具を作成する必要はなく、市販の壁掛け金具やディスプレイアームをそのまま使うことができる。これもまた、現場の声を生かしたアイデアだ。

本体背面にはVESA準拠のねじ穴。汎用の金具やディスプレイアームにそのまま取り付け可能

建設業の声――屋外の建設現場でも事務所でも便利に使える業務タブレットを

 続いては、屋外での現場作業も多い建設業の声を見てみよう。

 ある建設業の企業では、建設現場で施工スケジュールや電子図面を参照したり、作業の進捗状況を写真撮影してレポートする報告書を作成する目的で、タブレットの導入を考えていた。建設現場の雨や砂ぼこり、落下などに耐えられる堅牢さに加えて、現場事務所での報告書作成時にはキーボードやマウスを使いたいというニーズがあった。

 また別の企業では、ショベルカーなどの建設重機にタブレットを取り付け、作業指示に使うことを検討していた。だが、夜間の建設現場は無人になってしまう。そのため、昼間の作業中はしっかりとタブレットを固定しつつ、作業後はタブレットを取り外し、盗難を防止しなければならなかった。

 前述したとおり、ZERO SHOCKタブレットはMILスペックの耐衝撃性能、IP65の防塵防滴性能を備えるので、雨や砂ぼこりが発生する建設現場の環境にも耐えうる。屋外を歩き回りながら業務を進めるうえでは、オプションのハンドストラップやネックストラップも便利だろう。

 さらに、2種類のクレードルもオプションとして用意されている。

 たとえば、タブレットを持ち出して内蔵カメラで現場を撮影し、現場事務所に戻って報告書を作成する際には「デスクトップクレードル」が役立つ。クレードル経由でUSBキーボード/マウスを接続すれば、デスクトップPCライクに操作できる。報告書に写真を貼り付けて文章を入力し、メールで送付する――といった一連の作業が楽になるわけだ。

デスクトップクレードルにUSBキーボード/マウスを取り付ければ、文書作成などの作業が楽になる

 一方、建物の壁や重機、製造装置などへの取り付け用途には「固定用クレードル」が適している。このクレードルは、ZERO SHOCKタブレットをしっかりと固定/取り外しできるもの。背面のねじ穴(VESA75準拠)を使ってクレードルを重機や壁などに取り付ければ、使用時だけタブレットをしっかり固定し、夜間は取り外すといったことも可能になる。

固定用クレードルにタブレットを据え付け、ラッチでしっかりと固定。さらに盗難防止用の鍵も付属する

 なお、いずれのクレードルも、タブレット充電用のAC電源ポートのほかに、複数のUSBポート、有線LANポート、そしてシリアルポート(RS-232C)を備えている。たとえば建築現場の測量機器や工場の製造機器など、シリアルインタフェースしか備えていない機器を接続し、データを吸い上げるようなアプリケーションも利用できる。

流通業の声――「-20℃」のチルド倉庫でも使える業務タブレットを

 流通業でも、倉庫などの現場作業でタブレットを活用したいという声は強くある。その中では、耐寒性能に対するニーズの声があったという。

 生鮮食品などを保管する冷蔵倉庫は、その庫内温度によって幾つかの等級が定められており、-20℃~10℃のものは「チルド(C級)倉庫」と呼ばれる。だがこれまで、コンシューマー向けタブレットは環境温度0℃以上、業務用タブレットでも-10℃以上が動作温度となっているケースがほとんどで、-20℃前後のチルド倉庫で業務に使えるタブレットがなかった。そこでZERO SHOCKタブレットでは、「-20℃~45℃」の温度環境下で動作するよう設計し、チルド倉庫における業務にも完全対応した。

 また、手袋をはめたままでも操作しやすくしてほしいという現場の声に応え、ホームボタンやファンクションボタンを搭載している。4つのファンクションボタンには、カメラの起動や業務アプリの起動といったアクションをそれぞれ設定できる。手袋をはめたまま操作しやすいだけでなく、「まずはこのボタンを押してアプリを立ち上げる」といった具合に、現場作業員への操作説明も簡単になる。

ファンクションボタンに機能を割り当てれば、手袋をはめていても操作しやすい

IT部門の声――既存の業務アプリがこれからも長く使える業務タブレットを

 業種を問わず、企業のIT部門(情報システム部門)からは、「既存の業務アプリをそのまま使えるようにしてほしい」という要望が多く寄せられた。

 ここで問題となるのがWindowsのバージョンだ。Windows 7ベースで開発した業務アプリや、Windows 7向け周辺機器を利用している企業はまだまだ多い。これらは、Windows 8/8.1やWindows 10のタブレットでは不具合を起こす可能性がある。とはいえ、タブレットのためだけにアプリを改修したり、周辺機器を買い換えたりするのはコストがかかる。異なるバージョンのOSが混在すると、社内サポートやトラブルシューティングも面倒だ。

 そこでZERO SHOCKタブレットでは、3種類のOSを搭載したモデル(Windows 7 Professional for Embedded Systems 32bit、Windows 7 Professional for Embedded Systems 64bit、Windows Embedded 8.1 Industry Pro 64bit)を用意している。Windows 7ベースの既存業務アプリが、そのまま使えるわけだ。

 しかも、組み込みシステム向けのWindowsエディションを採用しているため、これらのZERO SHOCKタブレットは今後も長期間にわたって(2021年まで)供給可能だ。同一仕様のタブレットがこれからも入手できるというのは、業務用デバイスとしての安心材料になる。

Windows 7/8.1モデルとも、ZERO SHOCKタブレットは2021年まで供給が可能

 もう1つ、既存の業務アプリをそのまま使うために「画面サイズ」のリクエストも多かったという。4:3サイズの画面向けに開発されたアプリの場合、16:9タッチパネル(1067×600pixel)のタブレットでは縦サイズが足りず、ウィンドウ下部の表示やボタンが隠れてしまうケースがあるからだ。ZERO SHOCKタブレットは9.7インチ(1024×768pixel)のタッチパネルを搭載しているので、そうした心配はない。

 なお、Windows Embedded 8.1 Industry Proモデルの場合は、デバイス管理機能を強化する「ロックダウン機能」が利用できる。たとえば、タブレットの起動時に特定のアプリを起動させるApp Launcher機能、ドライブへの書き込みを禁止して再起動するだけで初期状態に戻せるUWF(Unified Write Filter)機能、特定のUSBデバイス以外の接続を禁止するUSB Filter機能などがある。特定業務専用のタブレットとしてセッティングすることで、セキュリティリスクを減らせると同時に、使用方法の説明も簡単になる。

Windows Embedded 8.1 Industry Proモデルでは、さまざまな「ロックダウン機能」でOSの機能を制限できる

* * *

 ここまで見てきたとおり、ZERO SHOCKタブレットには、さまざまな現場の声に基づいた機能と性能が盛り込まれている。そのすべてが紹介できたわけではないが、単なる“堅牢タブレット”とは一線を画する、現場業務での活用を真剣に考えたタブレットだということが理解いただけたなら幸いだ。

 ZERO SHOCKタブレットは、国内自社工場で生産し、出荷前に全数検査を行うという高い品質へのこだわりも特徴である。加えて、ロジテックでは、顧客のニーズに応じたきめ細かなキッティング、カスタマイズのサービスも行っている。たとえばセキュリティソフト等のインストール、ネットワーク設定、端末管理シールの貼付といった作業を、ロジテックに任せることができる。

 ロジテックでは、今後もZERO SHOCKタブレットのラインアップを拡充し、より幅広い業務シーンに対応するモデルを投入していく方針だという。「現場の声」をよく聞き、現場をよく知るからこそ作れるタブレット。今後もそんな製品開発が期待できそうだ。

(提供:エレコム)

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