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ページが開けないほど傷んだ古代の文献など、各種応用が期待される

マサチューセッツ工科大学、ページを開かずに本を読む技術を開発

2016年09月12日 17時41分更新

文● 行正和義 編集/ASCII.jp

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まだ数ページながらテラヘルツ波イメージングの将来を期待させられる

 マサチューセッツ工科大学(MIT)は9月9日、本を閉じたまま文字を読む技術を開発したと発表した。

 これは「テラヘルツ波」と呼ばれる光(赤外線)と電波(ミリ波)の間の周波数を持つ電磁波を用いたイメージング技術。テラヘルツ波の発振・受信には特殊なアンテナなど新技術を必要とするが、光よりも透過性が高く、また電波よりも高い分解能が得られる。

 テラヘルツ波イメージングは、短パルスの反射を捉えて映像化するレーダーのような技術だが、紙とインクによって電磁波の吸収比率が異なるため、反射波を解析すれば上にある紙を通して印刷された文字が読めることになる。とはいえ紙の厚みの変化や歪みにより、あるページの文字と次のページの文字を区別するのは難しく、これを補正するために文字認識的な技術を含む新たなアルゴリズムを組んだという。

あるページの文字と次のページの文字が明確に区別できる

 現在のところ読み出せるのは9ページまでで、それ以上はノイズが増えて映像化するのは難しいという。とはいえ、発振出力や検出装置精度の向上によってより深部まで映像化できる可能性もある。いずれにせよ、テラヘルツ波イメージングは非破壊検査、バイオ・医療などさまざまな用途への応用研究が進められており、期待される分野と言えよう。

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