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IoT&H/W BIZ DAY 2 by ASCII STARTUP第30回

Qrio・Moff・BONX、クラウドファンディングや量産化の時どうだった?

「量産はぶっちゃけタフ」IoTハードウェアスタートアップに赤裸々話を聞いてみる

2016年09月14日 07時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

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 8月26日に開催された「IoT&H/W BIZ DAY 2 by ASCII STARTUP」では5コマのセッションが実施され、熱く盛り上がった。今回は、その中から「IoTハードウェアスタートアップ 気になる量産化の裏側」の様子を紹介する。

Qrio、Moff、BONXの代表が勢揃い!

 14時からスタートした「IoTハードウェアスタートアップ 気になる量産化の裏側」のセッションCでは、Qrio株式会社の西條晋一氏、株式会社Moffの高萩昭範氏、株式会社BONXの宮坂貴大氏が登壇。モデレーターはASCIIの北島幹雄。

 セッションのテーマは、ハードウェアスタートアップの量産化について。大きなリソースを自由に使えるわけではないスタートアップの場合、量産はとても大きなリスクにもなりうる。そのチャレンジを成功させ、日本にとどまらず世界での活躍を目指す気鋭の3社に、当時の世相から裏話までを絡めてトークしてもらった。

 最初に確認したのは3社の直近展開について。

 まずは、Qrioの西條氏から。Qrioは2014年12月に設立され、2015年にスマートロック「Qrio Smart Lock」をリリース。2016年5月にはスマートタグ「Qrio Smart Tag」を発表し、クラウドファンディングを実施した。本イベント直前では、Qrio Smart Lockを遠隔地から操作できる「Qrio Smart Hub」の今冬発売を発表したばかりだった。

 「IoT、主にBluetoothビーコンを使おうとすると、アメリカだとBLEに限らずいろんな通信規格のIoTゲートウェイトやハブがあります。しかし、日本では数が少ないうえに、それが結構高いんです。センサーが動いたことをインターネットにただアップする、シンプルに土管のようなものがあれば、いろいろなことができます。ないなら、自分で作ってしまおうと。ビーコン周りでプロダクトを持っておくと、新しい事業プランを思いついた時にすぐ実行に移せると言うメリットもあります」(西條氏)

 続くMoffの高萩氏は、元々メルセデス・ベンツの日本法人で商品企画部にいた。どちらかというと大企業ハードウェアの世界から来た人と言える。

 「メルセデス・ベンツを出た後アプリの業界に入ったのですが、やっぱりハードウェアがインターネットにつながったら面白いな、ということで始めたのがMoffのバックグラウンドです」(高萩氏)

 現在は「Moff Band」という3Dモーションを取るセンサーデバイスを作っており、Bluetoothでスマホと連携し、アプリ側でいろいろなことをできるようにしている。たとえば、目と耳だけでなく体全体を使って学ぶ多感覚教育に向けたICT教育や、モーションデータを使って高齢者の運動能力とか認知能力を測るという高齢者ヘルスケアサービスを作ったりしている。フィットネスの場合は、コンテンツを持っている事業者と一緒にゲーム感覚で楽しめるコンテンツを手がけているそうだ。

 BONXの宮坂氏は「僕は、この場にいるのが申し訳ないくらい、ハードウェアとかエンジニアリングのバックグラウンドがなくて」と苦笑しながらスタート。

 宮坂氏は大学にいるよりは山にいる方が長い生活を送るような大学生だったらしい。そんな中、子供にスノーボードを教えるNPOに参加して理事として運営に関わったいたが、滑っている時に仲間としゃべったり子供に教えるのがすごく大変だと感じた。せっかくスマホがあって、電波も入っているのに意外と使えない。そこで、作ったのが「BONX」だ。

 「BONX Gripという名前で、モノとしてはBluetoothヘッドセットみたいなハードウェアとスカイプみたいなソフトウェアをフルスクラッチで作って連動させています。どんな瞬間でもハンズフリーで話すことができるのが特徴です。去年末に僕らもクラウドファンディングを成功させ、11月からは一般販売が開始されます」(宮坂氏)

 モデレーターの北島は、「こういうカンファレンスイベントでも使えるのではないか。アスキーとしても次のタイミングでは是非導入したいと思う」と盛り上げた。

数年前まではハードウェアをやるのは変わった人しかいなかった

 この3社は、スタート時期が少しずつ異なる。1年で大きく変わる業界の変遷を、当時の周辺状況などをもとに聞いてみることに。まずは、2014年に販売を開始したMoffの高萩氏から。Moffは2014年4月にクラウドファンディングのKickstarterに出したが、試作品を手がけはじめたのは2013年くらいとのことだった。

 「その時は、ハードウェアスタートアップをやるのは、変わった人しかいませんでした。リスキーじゃないのか、と皆に言われましたが、Cerevoの岩佐さんだけが『絶対やったほうがいいですよ』と言ってくれたんです。当時は、ハードウェアのデザインをやってくる人が見つからなかったし、工場もなかなかスタートアップのもの作るなんて、みたいな感じだったし、クラウドファンディングも今みたいにメジャーではなかった」(高萩氏)

 手探りのスタートだったようだが、メルセデス・ベンツで商品企画や量産、アフターケアなどを体験しており、モノを作る際の感覚はあったという。また、Moffはエンジェル投資家の鎌田富久氏に投資してもらっており、いろいろなアドバイスを受けたのも大きかった。2014年は、まだ環境的にハードウェアスタートアップが浸透していない時期だったが、高萩氏はクラウドファンディングにチャレンジする。

 「おかげさまでKickstarterに出したら、2日間で目標を達成できました。そのころのKickstarterは人が滞留していた感じだったので、プロモーションしなくても集まる感じで、ラッキーな環境。あとは、いろんな国の人とやりとりして、すごい楽しかったですね。たとえば、発送を1週間ずらしたときに、品質面で自分たちとして納得がいかないと正直に伝えたところ、『おまえは正直者だ。おまえはサムライだ』と(笑)。あれは嬉しかったですね」(高萩氏)

 Qrioの西條氏は2015年。ハードウェアスタートアップはやめた方がいいんじゃないのか、という空気感は薄れていたそうだが、それでも「やった方がいいよ」という意見もほとんどなかったという。

 「考え方的には、解決したい課題があって、それを解決するためにデバイスが必要なので開発するという感じ。物を研究していて、商品化したいからどうしよう、という発想ではありませんでいた」(西條氏)

 スマートロックの場合、鍵の保管コストが課題だった。物理的な鍵はきちんと管理しないと盗まれるし、受け渡しにも移動が必要。誰が開け閉めたのかという履歴も残らない。これらを解決するためには、スマートロックが必要だと考えたのだ。西條氏はサイバーエージェント出身。同社出身でモノ作りをしている人はあまり見かけないが……。

 「あまりいないですね。サイバーエージェントはほとんどの事業領域を手がけていると思いますが、昔からeコマースが苦手で(モノは)あまりやってないですね」(西條氏)

 Qrioも2015年初頭、クラウドファンディングにチャレンジしている。「Makuake」を使い、結果的には2700万円以上を集めて大成功した。

 「資金調達というよりは、PRやマーケティングが目的でクラウドファンディングを利用しました。価格の際に参考にしたのは、KickstarterやINDIEGOGOなどに出ている類似商品です。海外のスマートロックが集めている5分の1~10分の1くらいの金額はいけるかなという感じで。一番集めていたのが3~4億円だったので、3000万円くらいは、なんとか行きたいなと思いました」(西條氏)

 BONXは2015年秋。クラウドファンディングは、「GREENN FUNDING」を利用し、成功している。

 「当初は、クラウドファンディングを使う気はありませんでした。達成しなかったらどうしよう、とびびりまくっていたんです。そんなとき、たまたま共同創業者の先輩がGREENN FUNDINGさんの社長さんで、うちでやりましょうよという話になって(笑)。一番よかったのは、コミュニティができたことです。製品を出荷した後、すごく長いフィードバックのメールをくれたり、何回も電話してきてくれて、ここがこうなんじゃないかと言ってくれる方がいて。そういうのは開発陣営としてはありがたいんです」(宮坂氏)

 ハードウェアにかかわりがない状況からのスタートで、開発メンバーはどう集めたのだろうか。すると「結構怒られました」と宮坂氏。

 「イベントに行って『誰かイケてるエンジニアいないですかね』という話をしたら、『そういうやつは本当に嫌われるんだよ』と説教されたりしました。そこで、自分でプログラミングを勉強したり、いろいろなところに行って紹介してもらったりして、少しずつ集めました」(宮坂氏)

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