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最強のウォークマン、ヘッドフォン、アンプを実機レビュー! 第1回

30万円ウォークマンは据置プレーヤー並みの高音質だった!

2016年09月12日 10時00分更新

文● 鳥居一豊

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いよいよ試聴! NW-WM1Aはこれまでのウォークマンの集大成

NW-WM1Aを試聴してみる

NW-WM1Aを試聴してみる

 最後に、それぞれの音質を聴いてみることにする。試聴では、ヘッドフォンに次回紹介する「MDR-Z1R」(予想実売価格 21万円前後)を使用し、アンバランス接続とバランス接続で聴いている。

 まずはNW-WM1Aをアンバランス接続で聴いた。音の粒立ちの良さがよくわかる、見晴らしのいい再現で、個々の音も実にクリアだ。

 オーケストラの音数の多い曲でも、個々の楽器の音を明瞭に鳴らし分ける。それでいて、ひとつひとつの音もくっきりとして力強い。

 音の立ち上がりの勢いの良さや余韻の再現もしっかりとしている。これまでのウォークマンの音を全体的に質を高めて磨き上げた音という印象だ。

 女性ボーカルを聴くと、声をなめらかに、ニュアンス豊かに再現する。ボーカルがきれいにセンターに定位し、バックにいる伴奏が周囲に広がるようで、空間感の再現も見事だ。

 これをバランス接続にすると、空間の広がりや音の粒立ちの良さがさらに際立つ。ボーカルの立体的な定位はさらに豊かになるし、オーケストラではホールの見晴らしの良さに加えて、特に低音域の力感が増しさらに躍動感のある再現になる。

 高性能なヘッドフォンを使っているユーザーならばバランス接続に関心が高いと思うが、接続のためのケーブルの購入をしてでも、バランス接続をぜひとも試してみてほしいと思う。

もはや据置プレーヤーと勝負できそうなNW-WM1Z

NW-WM1Zを試聴してみる

NW-WM1Zを試聴してみる

 今度はNW-WM1Z。これはかなり凄い! 全体に音が引き締まったような印象で、定位はさらにシャープになるし、音場の見通しの良さも一段と優れる。

 極めて解像度の高い再現なのだが、それでいて音色は柔らかく、なめらかだ。値段の差を考えれば当然とも言えるのだが、基本的な作りがかなり近いことを考えるとちょっと驚くほどに質の高さが高まっている。

 クラシックは音色はあくまでも自然ながら、雄大な力感と生き生きとした躍動感がある。携帯オーディオのレベルを超えた再現と言っていい。ボーカルはふっくらと暖かみのある再現と細部まで露らわになるような解像感の高さが同居している。

 オーディオ的な音質の良さと、存在感やリアリティーを感じる生で聴く音の良さが見事にバランスしているかのような再現で、このあたりの音楽のリアリティーは見事なもの。

 バランス接続にすると、その音場感や個々の音の力感がさらに豊かになり、より生き生きとした表情が得られる。強いて言うならば、アンバランスとバランスでの音質向上はNW-WM1Aの方が明らか。NW-WM1Zとなるとアンバランスでもかなりレベルが高いので、バランスによる音質向上は確かに感じるがNW-WM1Aほどの驚くような変化は少なかった。

 NW-WM1Aでも満足度はかなり高いと思うが、NW-WM1Zとなると次元の異なる再現の世界に迫ると思う。

 具体的に言えば、NW-WM1Aが携帯オーディオの範ちゅうの中での高音質とするならば、NW-WM1Zは据置きのオーディオプレーヤーと肩を並べる領域まで到達したと思う。

 新しいWM1シリーズでUSB DACと接続できるUSBオーディオ機能を採用したのも、NW-WM1Zの実力を考えると、据置きのUSB DACと接続して、ヘッドフォンだけでなくスピーカー再生をするときのプレーヤーとして使えるレベルにあるという自信を示しているとさえ思ってしまう。

 ちなみに、当然ながらこの音質はハイレゾ音源のみで体験できるものではないことも付け加えておく。CD品質の音源もいくつか試してみたが、DSEE HX(スタンダード)をオンにして再生すると、絶対的な情報量や質には差があるものの、音色の自然さや躍動感のある音の再現などはかなりのレベルで楽しめた。

 DSEE HXの本来の実力がこんなに優れていたのかと驚かされたが、基本的な音の実力の高さがあって、CD品質でもこれだけの音が楽しめるのだろう。

次回は最上級ヘッドフォンをレビュー

 NW-WM1AとNW-WM1Zの機器自体の実力の差はあるものの、CD品質の再生も驚くほど優秀だったという点では同じだ。

 NW-WM1Zは30万円という価格からして、気軽に持ち歩いて使うには少々抵抗も感じるが、屋外だけでなく屋内でもメインのプレーヤーとして使える実力があると考えると、決して高すぎるとは言えないと思う。

 携帯プレーヤーの音もこのレベルになったと感じたのは本機が初めてではないが、ソニーもついにこのクラスの製品を投入してきたことを考えると、ハイエンドなオーディオの世界が着実にポータブルオーディオの世界でも広まってきたことを実感する。

 なかなか誰にでも購入できるモデルではないが、この音はぜひとも一度体験してみるといい。ポータブルオーディオの世界が凄いことになっていると、体で実感できるはずだ。

 次回は前述したとおり、同時発表の最上位ヘッドフォンを紹介する。

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