筆者は音楽マニアでもないのに、3万数千円のヘッドホンを愛用しています。今回で3台目。
恥ずかしながら、iPhoneのミュージックライブラリはゼロ…。なのに、そんな値段のヘッドホンを使っているのは、タイトルでネタバレかもしれませんが、周囲のノイズを遮断するためです。
10年ほど前に初めて買ったノイズキャンセリングヘッドホンはBOSE社のものでした。途中ちょっとだけロゴマークに惹かれてAKGに浮気。今はまたBOSEに戻り、QuietComfort25を使っています。
量販店大好きな筆者も、最近はすっかりネットショッピングの割合が増えてきました。しかし、ヘッドホンは装着感が重要。というわけで、試着や試用をするために音響フロアが充実している大型量販店に足を運ぶことにしました。
正直に言いますと、今回はSONYでも良かったし、スタイリッシュなBang&Olufsenのイヤホンタイプも少し憧れてました。ただし、こうしたウエアラブルなアイテムはスペックを超えた相性みたいなものがあります。つまり、頭や耳の形も人それぞれなわけで…。いくらカッコ良くてもつけ心地が良くないとダメ。後述しますが、僕の場合は10時間以上装着し続けることもあるわけで…。
店の音響フロアに到着して、あまりの品数にあっけにとられ、店員さんに声をかけることにしました。とは言っても、こちらも音楽や音質に詳しくありません。そんな理由からか、店員さんとの会話のキャッチボールもままなりませんが、僕は欲しいノイズキャンセリングのついた高価なヘッドホンはガラスケースの中にあるので、勝手に試着もできず…、少し店員さんを困らせたかもしれません。
モロモロがイヤ
ヘッドホンが苦手という方の中には、「圧迫感が嫌い」とか「見た目が大げさ」「耳の周りが痛くなる」など、いろいろな意見があるの思うのです。僕が嫌いなのは、使っていくとイヤーパッドの部分がモロモロになっていくこと。黒い粉が耳の周りにつくようになってきます。
それで、店員さんに「モロモロにならないヘッドホンありますか?」とたずねても、即答で「ナイです!」と断言されました。でも、それって商品としてどうなのよという疑問がわかないでもありません。
後日、ネットで検索してみたら、モロモロになったらイヤーパッドだけを自分で交換するのがヘッドホンマニアの皆さまの常識のようす。すいません、知りませんでした…。もし、これをお読みの方で、ヘッドホンマニアではなく、耳周辺のモロモロでお嘆きの方がいたら、ぜひパッド交換をお試しいただければ幸いです。
航空機に乗る時は必須
もともと、ノイズキャンセリングのヘッドホンを使うようになったのは、飛行機や新幹線の移動の疲れを軽減させるため。移動がほとんどの仕事柄、僕にとっては、今はもう必須アイテムにすらなっています。忘れた時は、空港で買っちゃうくらいの依存症です(笑)。
ちょっと信じられませんが、ヨーロッパの人口の2%の人々が騒音による睡眠障害に苦しみ、年間20万人が騒音によって死亡しているそう(Julian Treasure氏によるTEDスピーチより https://www.ted.com/talks/julian_treasure_shh_sound_health_in_8_steps/transcript?language=ja)。
まぁ、過度のノイズが人の健康や生活に少なからず影響を及ぼすのは、多くの人が実感していることだと思います。
役に立ったネットのレビュー(クチコミ)
現状、さまざまなメーカーやブランドがノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンを販売しているのはご存知の通りです。ただ、ヘッドホンマニアでない筆者が今回のプロダクトを選んだのには2つ理由がありました。
1つは、ユーザーによるネットレビュー(クチコミ)で評判が良かったこと。とくに、遮音性や装着感、バッテリーの持ちなど、多角的で客観的な評価が参考になりました。実際、比較的高価な商品であるにもかかわらず、売り上げランキングでも上位に入っていたのも説得力がありました。
ネットのレビューでは、コストパフォーマンスなど、さまざまな要素を星の数で評価するなど、新規購入者にとって見やすく利便性も高くなっています。一つの商品のレビュー数が多くなるほど、評価の信頼性や客観性が高まる構造になっているのもネットレビューならではです。
技術の歴史
2つめの理由は、BOSE社はもともと、航空機、とくに米軍などにノイズキャンセリング技術を提供していて、1995年にAOPA(米国航空機所有者・パイロット協会)より『プロダクト・オブ・ザ・イヤー』を受賞。2003年には米空軍の全てのAWACS(早期警戒管制機)に同社のヘッドホンの搭載が決定されています。
つまり、ずーっとノイズキャンセリング技術に打ち込んでる姿勢に好感が持てたこと。僕はずーっとマジック一筋だったので、もしかしたら、それは共感に近いのかもしれませんが…。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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