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スピーディー末岡のドライビングプレジャー! 第2回

【動画掲載】速さと快適性を両立させたベンツの頂点! Mercedes-AMG GT Sがスゴイ!

2016年09月03日 15時00分更新

文● スピーディー末岡/ASCII 車両協力●メルセデス・ベンツ日本

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4種類の走行モードでステージに合った走りができる!
でも街中でレースモードはヤバイ!

 Mercedes-AMG GT Sで一番驚いたというか、感動した部分は4種類の走行モード。コンフォート、スポーツ、スポーツ+、インディビデュアル、そしてGT Sだけのレースモードがある。それぞれエンジンやサスペンション、シフトタイミングなどがコンピューター制御で瞬時に切り替わる。走行中でも切り替えられるが、一般道や高速道路を流すだけならフラットな乗り心地で懐の広いコンフォートモードで十分。しかし、この手のクルマに乗るのならスポーティーに走ってみたいという願望が出てくるのは当たり前。そんなときにはクリっとモードチェンジだ。

このように、足回りの硬さや変速タイミングだけでなく、エンジン特性まで変わるモードも用意されている

 スポーツにするだけでも乗り味はだいぶ変わる。顕著に表れるのがシフトタイミング。コンフォートだと燃費走行のため低回転ですぐに上のギアに切り替わるが、スポーツモードではかなり回転数を引っ張る。スポーツプラスはさらに走りに振ったモードで、エキゾースト音が明らかに変化する。一度、スポーツプラスで街中を走ってみたのだが、ある程度の速度から減速したときに「パン!」とアフターファイヤーが起きたので、これは街中で使うモードではないなと封印した。

 GT Sだけのレースモードはパドルシフトを使ってMTのように自由にギアを切り替えられる。減速のときは自動でギアを下げてくれるのでとても便利なのだが、全体的にスパルタンすぎて恐ろしくなった。サスペンションはガチガチに締め上げられ、エンジンもレース仕様に、ハンドルの操作感も遊びがなくなり、スパスパと切れるようになる。高速道路でこのモードにしても、持てあましている感があった。やはり、GT Sの主戦場はサーキットなのだ。インディビデュアルは、ほかのモードの設定を個々に変更できるというもの。車両の特性をよく理解していないと、使いこなせないだろう。

手元のスイッチで切り替えれば、このように様々な情報を表示できる。ナビは視線の移動が少ないので、こっちのほうがいいかも

 この超高性能車の走りを支えているのはトランスミッションではなかろうか。7速のデュアルクラッチ「AMGスピードシフトDCT」を搭載するGT Sは、走りがとにかく賢い。コンフォートモードでは頻繁にギアのアップダウンをして、速度に最適で燃費のいいギアを使って走ってくれる。ターボのブーストをかけず、常に負圧のままギアチェンジしている印象だ。

 燃費のカタログ値は9.6km/Lで、平成17年度基準の低排出ガス車の認定も受けており、さらにアイドリングストップまで付いている、ある意味エコカーなわけだが、渋滞にはまらずに一定の速度で走った場合、なんとリッター10kmを越えたのは驚いた。ただし、街中や高速の渋滞などでは7~8km/Lくらいまで落ちてしまうが。当然、スポーツやレースモードで気持ちよく高回転までエンジンをまわしていれば5~6km/L近くまで落ちると思われる。それでも、レースカーのベース車にしては燃費がいいほうだ。筆者が昔乗ってたRX-7(FC3S)なんて、街中で5~6km/L、高速でも頑張って8km/Lくらいしかいかなかった(もちろん、クルマの技術の進歩も大きいので一概には比べられないが)。

 燃料タンクは75リッターなので、警告灯がつくまでガソリンを減らしてしまうと、ハイオク満タンにしたときに財布が軽くなってダメージが大きい。まあ、このクルマのオーナーになれる人は、気にしないだろう。また、コンフォートモードでは、停車するとアイドリングストップするのだが、これ必要ある? と思ってしまった。燃費を気にして乗るクルマでもないし……。そういえば、前回のポルシェにもアイドリングストップがあったのだが、欧州の厳しい排ガス規制もあって、こういうクルマでも排ガスに気をつかってますよ~という姿勢なのだろう。

 ちなみに筆者は、速いクルマで街中をゆっくり走ることと、そういうクルマでいかに燃費を良くできるかを気にしているので、今後とも燃費テストは行なう予定だ。

宮野編集長もレビュー!
AMG GTSは狼の皮をかぶったピカチューか


 自分の場合、メルセデスを運転するのは欧州でのレンタカーが多い。それ以外でメルセデスに会うのはドイツのタクシーや、日本でヒトの所有するクルマにお客として乗る時となる。いずれにしても、メルセデスの印象は、「かっちりきっちりがっちり」な「作りと乗り心地と運転感」である。

運転席に乗っているのは動画班のフジ君、その隣が宮野編集長、そしてスピーディー末岡

 今回試乗したMercedes-AMG GT Sは、エンジンをかけたとたんにただものではない音が鳴り響く。シートがほぼ後輪の手前にあるスタイルからして、運転するまでちょっとビビッていたのだが、これは30分で慣れる。アクセルもブレーキも、そしてかなり太いハンドルも、コンフォートモードで普通に操作しているぶんにはまったく安心。外観デザインからくるピーキーなところはみじんもない。都内から第三京浜~横浜新道というおなじみの道を走ったのだが、普通に運転しているぶんには、まさにメルセデスな安心の走りだ。

 んがしかーし、である。アクセルをベタ踏みしたとたん、ぶん回る4Lツインターボと鳴り響くエンジン音、そして加速は永遠に背中がバケットシートに強く押しつけられるかのようだ。やはりこれはメルセデスではない。

 通常のAMGモデルはメルセデスの通常車種に「元」(ベースモデル)があった。しかしこのGT Sは、AMGマーク入りのこのモデルがオリジナルであり、AMGがつかないメルセデスのモデルはない。だから(?)、GT Sは、いわゆるメルセデスの基準からちょっとはみ出した、お楽しみモデルなような気がするのだ。

 広大なボンネットを眺めながらドライブするのは、米国のスポーツカーの気分(今回のボディーカラーもそれを増幅していると思うが)。できれば右ハンドルのもうすこし落ち着いた色のGT Sで、もっと長距離をクルーズしてみたいと思った。


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