今回のことば
「2015年度には、ふるさと納税の返礼品として、1591台ものVAIOの申し込みがあった。2016年度は現時点で420台。安曇野で開発し、安曇野で生産し、市にも貢献している。ぜひ、VAIOには世界に羽ばたいてほしい」(安曇野市・宮澤宗弘市長)
VAIOの本社がある長野県安曇野市は、北アルプスの麓に広がる街である。
北アルプスの山々を流れる水を源流として、日量70万トンを誇る一大湧水地としても有名で、わさびの栽培でも名を馳せる。「川端康成、井上靖、東山魁夷の3人が、『残したい静けさ』と名句を残した地でもある」と、安曇野市・宮澤宗弘市長は胸を張る。
2005年10月に5つの町村が対等合併して安曇野市が誕生。それから10年を経過して、今年5月には、新たな市庁舎が完成。西山の間伐材の檜を外装に活用し、内装には長野県産のカラマツを使用。1階東側ロビーと4階会議室、展望デッキなどのスペースを市民に開放し、市民に親しまれる市庁舎を目指しているという。
人口は、9万8200人。「一時は9万9800人まで増加し、10万人が目前となった。世界のソニーが撤退すると聞いたときには、大変心配した。安曇野市は、将来の都市像として、『安曇野市まち・ひと・しごと創生総合戦略』を策定し、『田園産業都市 安曇野』を目指していているが、ソニーの撤退は、田園産業都市の実現に対する影響と雇用の確保という課題などが発生すると考えられた。だが、その場所をVAIOが引き受けてくれてホッとした」と本音を漏らす。
だが、製造品出荷額はソニーが好調なときには年間9000億円もの規模を誇り、長野県内では第1位だったこともある。これが現在は4000億円規模にまで縮小し、県内5位の位置づけにあるという。
しかし、それでも市内には約300社の製造業が進出し、田園産業都市を形成している。
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