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盛田 諒の「アスキー家電部」第24回

ルンバがすごいのは「掃除」ではない

2016年08月05日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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「5年後に訪れる将来」について野心を語るアイロボット コリン・アングルCEO

 アイロボット「ルンバ」はロボット掃除機の代名詞。ボタンを押すだけで自動的に掃除するのがルンバの役割だが、掃除は機能であって主要技術ではない。アイロボット最大の武器は、室内のすみずみまでセンサーで認識・把握できる画像認識技術(マッピング技術)。将来的にはロボットに家具や家電のありかを把握させ、スマートホームを管理・運営させて、ロボットを“家長”にするのが彼らの狙いだ。

 「5年後に訪れる将来の話をしたい」

 8月4日、アイロボットが東京・表参道で開催した新製品発表会。コリン・アングルCEOはステージに立ち、スライドのイメージヴィジュアルを背に家庭用ロボットのビジョンを話しはじめた。さまざまな家具や家電がインターネットに接続している家、スマートホームにまつわる絵物語だ。

 少女と両親が2階の寝室で眠っている。朝が近づくとエアコンが自動的に室温を調整し、少しずつ気温を上げていく。照明もゆっくり明るくなり、カーテンは自動的に開く。両親はベッドの中で、室内に流れるニュースを聞いている。隣の部屋からは、少女がロボットに「テディベアがどこかに行ってしまった」と話しかける声が聞こえてくる。両親と少女は1階のダイニングで朝食をとる。少女はバックパックがどこにあるかロボットにたずね、ロボットは「リビングです」と答える。

 朝食をすませた両親と少女が出かけてしまったあと、家の中で数台のロボットが動きはじめる。床を掃除し、芝刈りをして、セキュリティロボットが巡回し、家庭内の地図を更新する。家具がどう配置されているか、インターネットに接続している家電がどこにあるかを把握し、地図に追加していく。少女が帰ってくる。ロボットはペットの犬がどんな顔をしていたか面白い写真をダイジェストにして見せたあと、迷子になっていたテディベアがどこにあったか少女に教える。

 コリン・アングルCEOは絵本を読み聞かせるような口調で話したあと、「一回も携帯電話(スマートフォン)を取り出さない。それが大事だ」と語気を強めた。

 アクセンチュアの調査によれば、インターネットに接続する家電(コネクテッド・デバイス)利用者は83%が不満を抱えている。スマートフォンで操作するのは手間がかかり、センサーつきの家電は設定(プログラミング)も面倒だ。その点ロボットなら照明、空調、情報家電、あらゆるコネクテッド・デバイスのありかを把握し、部屋を正しく定義した上で、自動的に管理・運用ができる。結果、自動的に構成・メンテナンスを実施して、住む人の好みに対応する新世代スマートホームが実現できるというのがコリン・アングルCEOの考えだ。

 アイロボットのロボット掃除機がここ10ヵ月でマッピングした家庭の総面積は東京ドームおよそ1000個分にあたる4650万平方メートルにのぼるそうだ。まだインターネットにアップロードすることなくメモリーに保存している状態だが、このマップを使った情報技術こそルンバの真骨頂。利用者にとってルンバは掃除道具だが、ルンバにとって掃除をするのはマップをつくるための予備動作でしかない。野望はマップの先にある。

ルンバがセンサーで室内の様子を把握
室内の正確なマップを更新していく
家のどこにデバイスがあるか把握・管理する

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盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、記者自由型。戦う人が好き。一緒にいいことしましょう。Facebookでおたより募集中

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