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「ポケモンGO」で問題の歩きロゴ注意喚起を企業ロゴに併記へ

ドコモ2016年度Q1決算発表、増収増益で収益構造が改善

2016年07月29日 22時00分更新

文● 小山安博 編集●南田ゴウ

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 NTTドコモは7月29日、2016年度第1四半期の決算を発表した。売上高を示す営業収益は、前年同期比3.0%増の1兆1086億7000万円、営業利益は同27.1%増の2992億9100万円で増収増益。減価償却方法変更などによる影響(+250億円)、「ずっとくりこし」などによる影響(+180億円)という増益に関する特殊要因はあったものの、それを除いても増収増益となり、収益構造は改善している。

 社長就任以来初めての決算会見となった吉澤和弘社長は「通信事業の回復、スマートライフ領域の利益成長」という点を強調し、年間目標の達成に向けて自信を見せる。

就任後初の決算発表に臨んだ吉澤和弘社長

決算概況

 本業の携帯を含む通信事業は、売上が同1.9%増の8949億円、利益が同27.3%増の2704億円だった。タブレットの2台目需要拡大、新料金プランである「カケホーダイ&パケあえる」利用者のパケット利用拡大、「ドコモ光」の契約者増などが貢献して売り上げを伸ばし、コスト削減などに加えて減価償却方法の変更による減価償却費の減少が利益を拡大した。

主な財務数値。フリーキャッシュフローは法人税の支払いなどで減少した

セグメント別の実績。いずれも順調

 さらに、前年同期は「ずっとくりこし」サービスなどにともなう減収要因があり、それが今期はなくなったことも利益に貢献しており、減価償却方法の変更と「ずっとくりこし」の影響を除くと営業利益は2563億円となり、吉澤社長はそれでも増益である点を強調する。

主な増減要因。モバイル通信サービスの収入や光通信サービスが増収となり、コスト削減効果もあって増益に繋がった。特殊要因はあったものの、それを除いても増益を達成

 契約数は7161万契約で同6%増。解約率は同0.03ポイント増の0.62%。「ドコモ光」は41万契約から5倍の増加となる207万契約まで伸び、「カケホーダイ&パケあえる」契約数は1.5倍の3159万契約に達し、利益を伸ばした。

解約率は多少上がったが、いずれも順調

「ドコモ光」が大幅に増加。これまでは転用が主な契約者だったが、新規に光回線を導入する世帯の増加を狙う。「カケホーダイ&パケあえる」は、一定の契約数を超えたことで、減収要因から増収要因に転じている

 総務省による低料金プランの創設などの要請を受けて提供されている料金プランに関しては、「シェアパック5」の選択率が約2割、「カケホーダイライト」の選択率が約6割と、低利用者向けのプラン選択率が拡大。長期利用者向け施策である「ずっとドコモ割」は、適用範囲を5年以降から4年以降に拡大したことで利用率が約1割増加し、約7割が利用するようになった。吉澤社長は「要望は常に聞いているが、さらなる料金サービスの充実を検討して顧客サービスの向上に努める」と話す。

低利用者や長期利用者向けの施策

 ARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)は「月々サポート」の影響を含んで4330円。音声ARPUは下げ止まり、パケットARPUが上昇したことに加え「ドコモ光」のARPUが追加されたことで増加。その「ドコモ光」は、ドコモひかり電話などのオプションサービス利用者が増加したことで利用料が約2割増加した。

ARPUの回復基調は継続

「ドコモ光」サービスの月額利用料が増加

 設備投資は同40億円増の971億円で、LTE基地局は14万3500局まで拡大した。“PREMIUIM 4G”は全国1203都市で利用可能になり、基地局数も3万900局になった。5月には一部エリアで国内最速となる下り最大375Mbpsサービスを開始。6月からは3.5GHz帯のネットワークを使ったキャリアアグリゲーション(CA)による下り最大370Mbpsサービスを開始。全国49都市で利用可能になっている。

LTEネットワークも拡大している

東京五輪に向けたネットワークの高度化も継続する

 年度内には、4×4 MIMOを使った500Mbps以上の通信サービスを提供予定で、2020年に向けて5Gによる1Gbpsの通信サービスの提供を目指していく。

 コスト効率化の進捗も順調で、250億円の削減を実施。年度内800億円削減に向けて予想通りの進捗となった。

コスト削減の状況

 コンテンツサービスなどのスマートライフ領域は、同25.7%増の289億円と大幅な利益増。スマートライフ領域にはコンテンツサービス、金融・決済サービス、グループ会社、法人ソリューション、あんしん系サポートといったサービスが含まれており、グループ会社の成長が停滞したものの、それ以外ではコンテンツが3割、あんしん系サポートで4割、金融・決済で1割、法人ソリューションで2割程度の利益貢献となった。

スマートライフ領域は着実に進展した

コンテンツサービスの契約数も拡大

 コンテンツサービスでは、「dマーケット」の会員数は213万増の1448万契約。「おすすめパック」は25万増の517万契約、「あんしんパック」は416万増の1501万契約に拡大。金融・決済サービスは「dカード」の契約数が71万増の1668万契約。「dカードGOLD」は130万契約を突破した。

「dカード」の拡大に加え「dカードGOLD」も増加

 ドコモの資産とパートナーとの協業によって新サービス創出などを狙う「+d」では、パートナー企業を順調に拡大。AIを活用したタクシー利用需要予測、自動運転サービスといった取り組みを開始した。

「+d」はパートナーを拡大し、さらなるサービス創出に向けて継続する

AIを活用した事例

 吉澤社長は、「年間計画の達成に向けて順調な滑り出し」と話す。特殊要因による増益があったため第2四半期以降は増益幅は減少するとみており、年間計画は変更しない。

 会見の最後に吉澤社長は、「ポケモンGO」のリリースで“歩きスマホ”の問題が脚光を浴びていることから、改めて「思わぬ事故が拡大することを懸念している」とコメント。歩きスマホをしない、車や自転車を運転しながら操作しないことといった注意を促し、「さまざまな機会を捉えてPRしていきたい」と話した。

企業ロゴに歩きスマホの注意を併記し、アピールする


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