新製品がことごとく販売不振
すさまじい勢いで凋落し、ブランドが消滅
ただ、このあたりから同社の方針はだんだんぶれ始めていく。たとえば1997年にはGateway Destinationという、PC一体型TV(いや、TV一体型PCだろうか?)を発売するが、32インチTVで、重量は136kg以上、価格は7500ドルという凄まじいもので、やはりほとんど売れなかった。
また、1999年頃に沸き起こった1000ドルPCのマーケットに向けてGateway Astroをリリースしたが、やはり売れなかった。
画像の出典は“Gatewayのサポートページ”
あるいは自社製品の購買者向けにインターネットプロバイダサービス(gateway.net)を開始するもののトラブル続きで、結局自社での運用をあきらめてMCI Worldcomと契約するなど、迷走している感じがありありと見えた。
前述のとおりAmigaのブランドを買収するものの、結局それを活用することなく終わっているのもその一例だろう。それでも1999年の売上高は96億ドル、利益は4億2790万ドルに達したが、これが同社のピークであった。
同年、Waitt氏はCEOの職を辞し(取締役会議長には残留)、後任には1998年から社長兼COOを勤めていたJeff Weitzen氏が就いたが、2000年に入ってドットコムバブルが崩壊する。
悪いことにWeitzen氏はこの年、Office Maxや、QVC home shopping Networkといった代理店経由での拡販の契約を結んでおり、さらに前年からは全米に100以上のGateway Country Shopという直販店までオープンしていたため、売上に比して経費が膨大なものになっていた。
2000年の損失は第4四半期だけで9430万ドルに達しており、2001年の売上は59.4億ドルまで下がっている。これを受けて再びWaitt氏がCEOに復帰するとともに、当然リストラをかけたわけだが、このための特別費用は2001年だけで11億ドルに達し、2001年通年では10.3億ドルの損失を計上することになった。
一度弾みがつくと止まらない、というのはどんな業界にでも共通の話であるが、Gatewayも同じである。2002年の売上は41.7億ドルに減り、出荷台数も前年の340万台から275万台に減少、マーケットシェアも1999年末の9.3%から6.1%に後退する。
2000~2001年のリストラで従業員は24600人から14000人とほぼ半減したが、2002年にはさらに2500人の追加リストラと19店舗の閉鎖、2003年はさらに1900人と76店舗の追加リストラという具合に、急速に会社規模を縮小してゆく。
もちろん再起の試みがなかったわけではなく、2003年にはDVDプレイヤーやLCD TV、プロジェクターなど22のカテゴリー合計で118もの新製品を投入しており、こうした非PC製品の売上比率は2002年の19%から2003年には28%まで高まった。
とはいえ、最終的な2003年の売上は34億ドル、営業損失は5億1060万ドル。PCのマーケットシェアは3.7%まで落ちてしまった。
この状況を打開すべく取った策が、eMachinesの買収という名前の、被買収である。eMachinesは2003年の時点で、Gatewayを上回る市場シェア(台数ベース)を握っており、特にBestBuyやCompuUSA/FRY'sといった量販電気店、さらにはCostcoやWal-Martといった大型量販店におけるシェアを25%ほど占めており、この販路を活用することで売上を復活させようという目論見であった。
当時eMachinesは非上場企業であったが、同社の株を保有するファンドにGatewayの株5000万株+現金3000万ドル(総額でおおよそ3億ドル相当)を支払うことでeMachinesを買収する。GatewayのCEOやExectiveにはeMachinesのメンバーがそのまま就いた。この買収は2004年4月に完了したが、その結果起きたことはGatewayの資産の売却である。
Gatewayの直販店は、Gateway/eMachines以外の製品も扱う一般的な量販店に鞍替えし、サウスダゴダを初めとする製造設備はすべて操業を停止、勤めていた従業員はすべて解雇された。
社内の組織もeMachinesの方式に改められ、結果としてeMachinesがGatewayというブランドを活用する形になり、これは最終的に同社がAcerに買収される2007年まで続くことになった。Waitt氏はeMachinesの買収の際に再びCEOを辞任、取締役会議長も2005年5月に辞している。
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