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チーム作りや投資の引き出し方、結局儲るの?まで

ソラコムの気になること、さくら田中社長が10分で聞いてくれた

2016年06月20日 10時30分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月8日~10日に開催された「Interop Tokyo 2016」の基調講演には、さくらインターネット社長の田中邦裕氏とソラコム社長の玉川憲氏が登壇。最後の10分の公開インタビュー、ソラコムに関しての素朴な疑問を田中氏が玉川氏にズバズバ聞いてくれた。(以下、敬称略)

2年前から書き始めてたんじゃないんですか?

田中:2年前にInteropにはAWSの人として玉川さんが登壇していましたね。その頃にはこうなることは考えてなかったんですか?

玉川:2年前、シアトルに出張していた時に、現CTOの安川と今のソラコムのようなもの作ったら面白いよねという話はしていました。

田中:2年前には書き始めてたんじゃないですか?

ソラコムの素朴な疑問についてズバズバと切り込むさくらインターネット社長の田中邦裕氏

玉川:Amazonの文化でサービス立ち上げ前にプレスリリースを書くというのがあったので、シアトルで呑んだ後に眠れなかったので、仮想のプレスリリースは書きましたね。次の朝起きたら、これいけるんじゃないかと思ったのは事実。

チーム作りはどうやっているんですか?

田中:私はソラコムのチーム作りが素晴らしいと思っているのですけど、どのようにやっているんですか?

玉川:AWSのときも大事だと思っていたのはカルチャー。同一のカルチャーを持つ小さいチームを作るのが重要。だから、会社を作る時も、こういうふるまいはうちの会社では素晴らしいというリーダーズプリンシパルを14個作って、それに同調してくれる人にうちの会社に入ってもらっています。

田中:具体的にはどういった内容なんですか?

玉川:半分くらいしか外には公開していないのですが、たとえば顧客至上主義とか、Just Do Itみたいにつべこべ言わずにまずやって、失敗したらそれでいいとか、オペレーションの改善とか。

田中:こう聞くと、普通のように聞こえますが、普通の会社ってそれできてないですよね。

玉川:どうなんでしょうね。ただ、一般的に大きな組織になると、リスクを嫌う。うちの会社はまだ小さいので、それが実現できていますが、これから大きくなっても、新機能や新サービスを立ち上げる際に、このカルチャーは徹底させたいです。たとえば、Just Do Itでも、やって失敗して、いろいろ言われたらやらない。だから、僕らは失敗してもいやみを言う人がいたら注意してますね。こういう会社のカルチャーは大事にしたい。

田中:スタートアップで失敗したら、えらいことですよねえ。

玉川:でも、それがスタートアップですよね。シリコンバレー的なスタートアップは大きなビジネスを描いて、そこに至るまでのスピードを得るために、多額の資金を調達するモデル。腰を据えてじっくりやるというのと、スピード重視で事業を立ち上げるのは、どちらがいい、悪いではなく、考え方のスタイル。僕たちはシリコンバレー型のスタートアップのスタイルなので、そこに同意していただける投資家に資金を入れていただけてるので、今のところはスムースです。

どうやって投資家を口説いたんですか?

田中:私はプログラムを書くんですけど、みなさんに知って欲しいのは、IoTって言うけど、やっていない人が多いこと。(企画書に)IoTって書かないと上司に怒られるとか、IoTの講演だけ聞いて満足している人多いけど、ソラコムは2年前に考えて作り始めて、ここまで来たという事実をみなさんに知って欲しい。最後に聞きたかったのは、投資家をどうやって口説いて、20ウン億円も出してもらったんですか?

玉川:まあ、簡単に話せることではないですが(笑)、ポイントとしては3つ。1つはチームが強いこと。優秀な人が多くて、このチームだったら、やってくれるだろうなと。2つ目は固有の技術を持っていることが評価された。われわれはクラウド上に複雑な分散型システムを作るに長けているので。最後はやっぱり大きな市場を狙っていること。市場がどれくらいになるか、具体的にはわかりませんが、大きいのは間違いない。チーム、技術、市場の3つが評価されたので、資金が調達できたんだと思います。

田中さんの鋭い質問にもスマートに対応するソラコム社長の玉川憲氏

田中:逆に言えば、儲りそうだから出したわけではないんですね。

玉川:儲りそうにもいろいろニュアンスがあって、「確実に儲る」というのと、「当たったらでかい」というのがあります。シリコンバレー系だと、「当たったらでかい」という方なのかなと。

ぶっちゃけ儲るんですか?

田中:利益が出るのは何年後くらいを見込んでいるんですか?

玉川:どれくらい投資をするかにも寄るのですが、まず前提としてわれわれの料金プランは赤字にならないようになっている。Webサービス系のフリーミアムモデルではないので、SIMの1枚単位でお金をいただく。だけど安いし、きちんと利益が出るようになっている。

田中:あれできちんと利益が出るんですね。

玉川:初期投資をなるべく抑えて作っていますし、利益を出しつつも、投資のペースを考えながらやっています。

田中:最後にソラコムの目指すIoTの世界を教えてください。

玉川:IoTって、ものづくりの得意な日本の企業にチャンスがあると思っている。一方で、インターネットテクノロジーを取り込むのが苦手という声も聞いている。われわれもクラウドの時代からそうかなと感じていて、ソラコムではモバイル通信とインターネットテクノロジーをすぐ使えるようにしている。これを使ってIoTという分野で日本の会社や個人の方に躍動していただきたいと思っています。エンジニア気質持っている人だったら、今までできなかったことできるんじゃないかワクワクするはず。クラウドもあるし、ソラコムもあるし、さくらもあるし、初期投資もほとんどいらない。だから手を動かして欲しい。手を動かす人が1人でも増えると、日本はまた元気になると思います。

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