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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第361回

年内に1080 Tiと1060が発売か? NVIDIA GPUアップデート

2016年06月20日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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1080の製造原価は980Tiの8割弱

 GP104コアのダイサイズはおおむね314mm2とされる。GeForce GTX 1080はGeForce GTX 980 TiあるいはGeForce GTX Titan Xの後継という位置付けにある。つまりGM200コアの代替で、GM200コアの601mm2に比べると3分の2程度のダイサイズで納まっている。

 もっとも原価という観点で言えば、GP204で利用した16FinFET+というプロセスは、GM200の28HPに比べるとだいぶ製造コストが高い。

 製造コストとは、設計コストやマスクコストを含まない、純粋にウェハーを処理するのに必要なコストのことで、正確な数字をTSMCが公開していないので推察でしかないのだが、300mmウェハー1枚あたりの製造コストで言うと、16FF+を利用する場合は28HMに比べて50~70%増しになると聞いたことがある。

 ちなみに、これをもう少し低コストで、という要望が多く、TSMCは新たに16FFCという低コスト・低消費電力のプロセスを昨年ラインナップに加えており、こちらだと30%増し程度で収まるらしい。

 そうするとGP104の製造原価は、GM200の8割~9割という計算になる。実際にはGM200はさすがに歩留まりがそうは高くないはずで、一方GP104は大きいとは言え300mm2なので、GM200よりは歩留まりが高いと期待できる。

 このあたりまで加味すれば製造原価は8割弱程度で収まると思うが、7割を切るのは難しいだろう。つまり案外に高コストなのである。

GeForce GTX 1080の基板

 加えてGeForce GTX 1080ではMicronのGDDR5Xを利用しているが、こちらのチップはGDDR5と比べて割高である。

 特にGDDR5Xの場合、内部でインターリーブ数をGDDR5の倍にしている関係で、容量も大きくなっているため、チップ1個あたりの価格をGDDR5と比較すると3倍弱程度の価格になるとみられている。

 このあたりを加味すると、米国価格の599ドル(Founder Editionは699ドル)というのはかなりバーゲンプライスと考えていい。国内価格が円高にも関わらず10万円台というのも無理ないところである。

ビデオメモリーは新たにGDDR5Xを採用。GP104のメモリーコントローラーの設計はもちろんだが、基板の回路設計にも細心の注意を払うことで、10Gbps動作という超高クロック動作が可能になった

 余談であるが、GeForce GTX 1080に関してはリファレンス基板そのままの製品が当面は主流で、オリジナル基板の製品が出てくるのは少し遅れそうだ。理由はこれまたGDDR5Xである。

 筆者が推定した14Gbps品ではなく10Gbps品でのスタートとなったが、それでもなにしろ信号速度が10Gbps、それもシングルエンドのパラレルバスである。信号の引き回しに起因するほんのちょっとした波形の乱れが簡単に深刻な問題になりかねない速度である。

 PCI Express Gen3が、Gen1/Gen2のエンコード方法(8b10b符号を利用)を捨てて信号速度を8GT/sに抑えたのは、やはり10Gbpsは非常に厳しいからという理由であった。ディファレンシャルのシリアルバスですら10Gbpsは厳しいと言ってるレベルなので、GDDR5Xではさらに厳しくなる。

 なんでも、現時点でまともに動作するGDDR5XはNVIDIAのリファレンスデザインのみで、独自デザインにすると、いろいろと問題が出まくっているらしい。

 それだけNVIDIAのリファレンスデザインが優秀ということでもあるのだが、当面は基板そのものはNVIDIAのものそのままで、クーラーや外装のみを変えたものが出てくることになると思われる。

 さらに余談であるが、ある種の機器では10Gbpsという信号は十分ハンドリングできる範囲なので、技術的に難しいわけではない。問題は、こうした機器は基板そのものが誘電率の低い材質を利用していることだ。GPUカードで利用されているFR4ベースの基板と比較すると、一桁コスト以上コストが上がる場合すらある。

 例えばFR4に変えてテフロン系にすれば、GDDR5Xの14Gbpsあたりまで問題なく利用できる基板を作ることは可能だ。ただし基板コストが大雑把に5倍ほど跳ね上がるので、将来はオーバークロックのハイエンドモデル限定などで、手を出すメーカーも出てくるかもしれない。

GeForce GTX 1080の内部的な構成図。128SPで1SM構成というところまでは従来と同じだが、SMが5基集まってGPCを構成する部分が第2世代Maxwellとの相違点となる。メモリーコントローラー数も8基に増設。GTX980では4基、GTX980Tiでは6基だった

 一方のGeForce GTX 1070は、GeForce GTX 980~970あたりの後継という位置付けにある。Pascal世代ではGPC(Graphics Processing Clusters:SMを10個まとめたもの)。単位での増減となる関係でか、GeForce GTX 1070はGPCが3つという構成になっている。ただダイそのものはGP104なので、単にGPCを1つ無効化しただけという形になる。

 メモリーはGDDR5を引き続き利用する形になっており、このあたりでGeForce GTX 1080に比べると原価を抑えることに成功している。通常版で379ドル、Founder Editionで449ドルというのはわりと妥当な範囲の金額で、国内販売価格が6万前後というのも、これも初物と考えればやはり妥当な範疇だろう。

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