自由にモノが言える雰囲気が必須
「技術力や品質力を含めて、多くの方々に寄せていただいた東芝への信頼が揺らいでいることを、大変残念に思っている。その一方で、取引先からは叱咤激励の暖かい声もいただいている。この背景には、東芝の従業員が現場で築き上げてきた信頼関係と、日頃の頑張りがある。従業員一人一人が自信を取り戻し、元気になり、エキサイトして仕事に取り組むという環境が実現できれば、喫緊の課題が解決できる。従業員の力を最大限発揮できるように、現場と経営との距離を近くすることが大切。そのためにはマネジメントチームと従業員全員が、厳しい現実と、現状の課題とともに、将来の事業の方向性を共有することが重要。経営陣だけでなく、従業員が危機感を持って、一枚岩となり、全力で再生に取り組み、難局を乗り切っていく」と述べた。
東芝は、2014年度末には21万7000人だった従業員を、2016年度末までに18万3000人へと削減する計画で、この2年間で3万4000人の人員削減されることになる。残った社員とともに新生東芝の実現に挑むことになるが、その前提となるのが企業風土の改革だ。
「自由にモノを言えない風土があった。自由にモノが言える雰囲気を取り戻すことが必須である。私自身、インテリグリティー(誠実性)に基づいた姿勢を自ら示したい」とする。
不適切会計処理問題によって、歴代3社長が辞任。急きょ、会長から社長登板となった室町正志氏は、東芝初の半導体部門出身社長であり、これまでの流れを断ち切るには重要な役割を務めたといえるが、ワンポイントリリーフであることは明らかであり、今年6月の社長退任の意向を周囲に漏らしていたともされる。
いわば、事業構造改革に一定の目処が立ったこのタイミングで、いよいよ本命となる綱川次期社長が登板するというわけだ。新生東芝の実現に向けて、本当の一歩を踏み出すことになる。
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