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GMO4社が共同開催した「GMO HosCon」基調講演レポート

開発運用現場をいかに変えたか?GMOの豪腕マネージャが語る

2016年04月18日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4月14日、GMOグループ4社がホスティングサービスの舞台裏を語る「GMO HosCon(Hosting Conference)」が開催された。基調講演では、GMOインターネットでシステム本部を率いる山下浩史氏が7年間の組織改革について振り返った。

拡大を続けるサービスに対応する組織作りとは?

 今回のイベントは、GMOインターネット、GMOクラウド、GMOデジロック、GMOペパボのGMOグループ4社が集まり、組織運営、技術、ビジネスなどさまざまなトピックを語らうというもの。冒頭、挨拶に立ったGMOインターネット 取締役 事業本部 児玉公宏氏は、「結局GMOグループでしょとよく言われるのですが、4社は個性にあふれています。4社がいっしょに情報発信することで、ホスティング業界を盛り上げたい」とイベントの趣旨を説明した。

GMOインターネット 取締役 事業本部 児玉公宏氏

 そんな児玉氏から「GMOきっての豪腕」と紹介されたGMOインターネット 専務取締役グループシステム部門統括 兼 システム本部長の山下浩史氏は、その豪腕でいかにして弊社のエンジニア部隊(システム本部)を率いてきたかを披露した。

GMOインターネット 専務取締役グループシステム部門統括 兼 システム本部長 山下浩史氏

 約30年のキャリアを持つ山下氏は日本IBMの出身で、長らくメガバンクのプロジェクトを率いていたが、2007年にGMOインターネットにジョインした経緯を持つ。「僕にはテクノロジーがない」(山下氏)ということで、マネジメント畑を歩んできた同氏は、システム本部の舵取りを任され、7年で大きな組織改革を実現してきた。

 山下氏はGMOインターネットのサービスの歴史をまず振り返る。ジョイン当初、GMOインターネットが提供していたのは共有サーバーのみだったが、2009年には「お名前サーバーVPS」を立ち上げ、2010年にはゲームバブルの勃興と共に「アプリクラウド」を開始する。2012年以降は各種VPSサービスを拡充しつつ、「ConoHa」や「Z.com」などのクラウドサービスをスタートさせ、現在に至っている。

GMOインターネットのサービスの歩みと成長指標

システム本部の歩み

 この7年間、ラック数はほぼ倍となる500ラックに拡大。トラフィックも2009年に比べて約12倍になり、登録数も約4倍強に膨れあがったという。しかし、サービスの裏側は順風満帆というわけではなかった。そのため、大きく3つのフェーズで組織改革を実施してきた。

タコツボ組織、障害対応に追われる日々、開発者のうぬぼれ

 着任後の2009年から開始したのは「見える化」だ。当時のシステム本部について山下氏は、「よく言えば専門集団。でも、他の部門からなにやっているかわからない組織だった。基本的には自分のことしか興味がない縦割り、タコツボの組織なので、なにをやっても進まない、決まらない」と振り返る。これに対して、山下氏はまずはツールを導入し、プロジェクトやトラブル、顧客対応、他チーム依頼、メンテ管理などを見える化。指標化することで、課題の明確化を図った。同時に3つあった部を1つに統合し、山下氏の直下に配置。迅速な意思決定と情報の共有化を進めたという。

タコツボ組織の問題点

第1フェーズでは見える化を推進

 見える化の次に進めたのが「筋肉質な組織作り」だ。見える化は実現し、課題は抽出できるようになったものの、現場は障害対応に追われ、イベントドリブンな仕事しかできてなかったという。また、売り上げに貢献しなかったこともあり、新規投資がないという諦め感もただよっていた。そのため「障害対応、運用業務、空いた時間に開発業務という優先順位でみんなが動いていた」(山下氏)という。

 そこで、まずは障害件数自体を減らすことに注力した。「障害対応が仕事じゃない。障害を起こさないことが仕事」(山下氏)ということで、障害の原因究明を徹底的に行ない、対策を立案。全体会議で情報共有し、対策を徹底した。同時に老朽化したシステムへの対策も図った。「メーカーの出身だったので、僕の後輩がサーバーを売っているんです。なので、リプレースにあわせて調達コストの最適化をしました」(山下氏)とのことで、コスト意識を醸成したという。

障害対応に追われ続ける毎日

障害自体を減らし、老朽化システム対策を強化

 一方、予定通りに進まない開発プロジェクトに関しては、事業部門と優先順位を共有するようにした。「今までは事業部門のいいなりの開発をしてきた。そこで、事業部門とシステム部門の要求を付き合わせて、優先度を付けた」と語る。また、成果物を明確化するための定義書の作成や、進捗を確認するプロジェクト会議の習慣化、品質を満たしたサービスだけリリースするためのリリース判定委員会などの施策を進めた。さらに、「開発者ってうぬぼれが強い。自分が作ったモノは絶対にトラブらないと思っているので、テストしない」(山下氏)ということで、テスト部隊を組成。開発者ではなく、運用部隊がテストを行なうことで、実利用に耐えるかどうかをきちんと見極めるという。

予定通りに進まない開発プロジェクト

プロジェクト体制の強化を推進

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