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UCSベースでシンプルな導入/運用が可能、高度なデータ管理機能を備えた製品

シスコが「HyperFlex」でハイパーコンバージド市場に参入

2016年04月12日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 シスコシステムズは4月11日、同社初となるハイパーコンバージドインフラ製品「Cisco HyperFlexシステム」の国内提供を開始した。「Cisco UCS(Unified Computing System)」の技術をベースに開発されており、これまでシスコやパートナーが提供してきたコンバージドインフラ製品よりも、さらに小さな規模のシステムへの適用を狙う。

Cisco HyperFlexシステム(上段:UCS 6248UPファブリックインターコネクト×2、下段:HyperFlex HX220cノード×3)

発表会に出席したシスコ日本法人 データセンター/バーチャライゼーション事業 部長の石田浩之氏

米シスコ コンピューティングシステムプロダクトグループ プロダクトマネージャーのチャクリ・アヴァラ(Chakra Avala)氏

 今回発表されたHyperFlex製品は、1Uサイズの「HyperFlex HX220cノード」と2Uサイズの「HyperFlex HX240cノード」。ノード間はファブリックインターコネクト(FI)の「UCS Fabric Interconnect 6248/6296」を通じて接続し、各ノードの内蔵ドライブ(SSD/HDD)を分散ストレージとして利用する。

 1クラスタの最小構成はHXノード×3台とFI×2台(冗長化)で、現状では最大8ノードまで拡張が可能。シスコによれば今後16ノード、32ノードと拡張可能にしていく予定だが、1クラスタ中にHX220c/240cを混在させることはできない。またコンピューティングリソースだけを増強したい場合には、HXクラスタに「UCS B200 M4」ブレードサーバー(最大4ノードまで)を追加することも可能だ。

HyperFlexは3~8ノード構成で、ファブリックインターコネクトを介してクラスタ化される。コンピュート専用ノードとしてUCS B200ブレードを追加することも可能(図右)

 HXノード上のCPUやメモリ、ドライブ(SSD/HDD)を自由に構成することもできるが、顧客がより容易にモデルを選べるように、スターター向け基本構成をパッケージ化した「スマートパッケージ」も提供される。HX220c×3台+FI×2台のスマートパッケージの場合、参考構成価格は677万円から(税抜、VMware vSphere vCenterライセンスや保守は別途)。

 分散ストレージでは「HXデータプラットフォーム」ソフトウェアを採用しており、全ノードへのストライピング(同時書き込み)によるダイナミックなデータ分散や、エンタープライズストレージと同等の各種データ管理機能(インライン重複排除/圧縮、スナップショット、クローンなど)が利用できる。

HXデータプラットフォームの概要。パフォーマンス劣化を防ぐため、各VMのデータ書き込みは全ノードへストライピングされる。ノード間のVMマイグレーション時にもデータ移行が不要

 HyperFlex第一弾製品では、仮想化プラットフォームとして「VMware vSphere」に対応する。管理ツールはvSphere vCenterに統合されており、仮想マシンだけでなく、ネットワークやストレージの基本操作も実行できるため、「60分以内にセットアップをすべて完了し、容易に運用開始できる」としている。

 HyperFlexシステムの適用先について、シスコではVDIやリモート拠点、サーバー仮想化基盤、テスト/開発環境などを挙げている。これらは従来シスコが提供してきたUCS/コンバージドインフラ製品とも重なるマーケットだが、HyperFlexの場合はより小さな規模からシンプルに環境構築が可能だ。

 なおシスコでは同時に、新しい世代の「Cisco Nexus 9000」スイッチも発表している。従来の10Gスイッチと同等の価格帯で25Gを、また40Gスイッチと同等の価格帯で100Gネットワーク環境を実現できるとしている。

「HyperFlexは“次世代の”ハイパーコンバージドインフラ」

 シスコ データセンター/バーチャライゼーション事業 部長の石田浩之氏は、現在の顧客企業はITインフラの「コスト」「スピード」「運用管理」の3側面で課題を抱えていると指摘。シスコでは「ポリシーベースのインフラ」を実現することでその課題を解決しようとしており、今回のHyperFlexはUCSやACI(Application Centric Infrastructure)と並んで、そのためのデータセンターコンポーネントの1つとして提供する製品だと説明した。

HyperFlexの特徴。シスコでは“次世代の”ハイパーコンバージドインフラ製品と呼んでいる

 シスコでは、UCSの提供を通じてEMCやネットアップ、IBMなど、多数のストレージパートナーと多様なコンバージドインフラ製品を展開してきたが、これらも大規模システム領域を中心に引き続き販売していく。石田氏は「ケースバイケースで、コンバージドとハイパーコンバージドの両方に力を入れていく」と強調した。

 また米シスコのコンピューティングシステムプロダクトグループ プロダクトマネージャーのチャクリ・アヴァラ氏は、すでに多くのベンダーがハイパーコンバージド市場に参入している中で、ネットワークも含めたSoftware-Defined化を実現し、エンタープライズデータ管理機能、ACI連携可能なアーキテクチャを備えるHyperFlexは「“次世代の”ハイパーコンバージドインフラ」であると競合優位性を説明。vCenterやUCSマネージャーを通じて管理サイロを排除したシンプルな運用が可能になること、必要に応じてノードを追加するだけで性能拡張ができることなどの利点を語った。

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