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ASCII STARTUP 今週のイチオシ!第18回

地味ながら現場に役立つスモールビジネス向け業務ソフトの決定版

見積からキャッシュフロー!経営者が作った「board」のすごみ

2016年04月08日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

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「会計システムもSFA/CRMにも手を出さない」

 経理部門の事務の省力化のみならず、経営者視点でお金の流れがわかるboardは、田向氏が自身で見たいものを作ったという背景で生まれた。「もともとExcelでやってたんですけど、さすがに請求書が20枚を超えてくると、発行大変だし、ミスも出てくる。そもそも請求書と販売管理で二重管理じゃないですか」と考えた田向氏は、他の書類作成サービスを一通りあたったが、満足行かなかった。「結局、集計だけはExcelに残ってしまうんです。会社を経営するのにここが見られないのは今までよりレベルが落ちてしまうことになるので、きついなあと思って同業者にも聞いたら、IT系の会社ほどみんなExcelだったんです」と田向氏は指摘する。

ToDoも一望できるboardのダッシュボード

 当然、「会計ソフトではダメなのか?」という疑問も沸くが、田向氏は「会計は過去の集計だけど、経営は未来が見えてないとできない。だから会計で経営はできないと言っています」と語る。黒字倒産が起こるのは、未来が見えてないから。「FinTechや機械学習の前に、解決するべき業務の課題はまだまだ山積みだと思う。だから、回収代行もやらないし、会計システムにも手を出さない」と田向氏は語る。

 一方で、クラウド会計 freeeとはAPIで連携しているし、他の会計ソフトのデータもCSVデータでやりとりできるようにしていく。「オンラインバンクとの接続はあまり要望がないので、クラウド会計側でやってもらえばいいのかなと」と田向氏は語る。同じ理由でSFAやCRM的な機能も強化ポイントではないという。

 2016年4月時点でのユーザー数は約320社。boardにはログインユーザーごとの有料版しかないので、これだけのユーザー数が日々の業務で使っているということだ。現在の利用料金は個人ユーザーでの利用は月額980円(税込)、15名ほどのスタートアップで使えるようなStandardプランで月額3980円(税込)となっている。「どこか記事に取り上げられて、ユーザーが一気に伸びたということはなく、1年くらい同じペースでユーザーが増えて、今に至っています。しかも継続率が99%で、ほぼ辞める人がいないんです。すごくありがたいです」と田向氏は語る。アンケートを見ている限りでは、半分以上がIT企業だが、業種はどんどん増えているという。

「地味です。業務システムをまじめに作ってます」

 ヴェルクのサービスではあるが、受託開発が本業なので、現状はほぼ田向氏の個人プロジェクト。開発はもちろん、営業、マーケティングまで田向氏が1人でやっている。ユーザー増えて大丈夫かと心配になるが、田向氏は、「『経営者だからこのソフト作れるよね。普通のエンジニアではこれは作れない』とよく言われます。boardの評価の高さや居心地のよさは、そういうところもあるのかもしれません。だから当面は自分がやると思う」と意に介さない。そして、50人以上のユーザー向けのカスタマイズ案件や中規模案件で多いワークフローの開発も基本的にやらない方針だという。

 個人プロジェクトらしい情報公開や運営もユニーク。まずは開発のロードマップを公開しており、それはそのまま田向氏のTo Doリストになっているという。メールで行なっているサポートの実績も、初回応答時間の平均値をグラフとしてWebに掲出している。「私が在席しているとサポートもすぐできるんですが、今日みたいに取材対応しちゃうと、自ずと遅れます(笑)」ということで、完全に属人化している。こうした「ぼっち運営」をさらけ出したところが、マーケティングにも貢献している。「boardの運営がおもしろいって、結果的にファン作りになったんですよ。労務系のクラウドをやっているSmart HRさんからも、『完全にboardの運営を参考にしています』と言っていただいてます」と業界内でもリスペクトを受けているようだ。

 一方で、業務ソフトということで、過剰なまでにセキュリティにはこだわっている。「スタートアップのサービス、セキュリティが不十分なところが多いので、そういったところへの警鐘も兼ねて」とのことで、データの暗号化や二段階認証はもちろん、トレンドマイクロのIDS・IPSやウイルス検知サービス、クラウドWAFで高い実績を誇るScutumなどを導入。セキュリティテストも定期的に行なっており、鉄壁のセキュリティを誇る。

 今後は見積のバージョン管理や案件ごとにファイルを添付する機能などを実装する予定で、ニーズの高い部分に手を入れていく。「地味なんです。業務システムをまじめに作っている感じです」と田向氏は語る。決してイノベーティブなものではないが、現場の労苦や経営者の課題を確実に解消してくれる。ここにboardの人気の秘密がある。実際にユーザーからも「いぶし銀」「開発者がユーザサポートしていることは大きい」「スタートアップやSOHOはみんな使うべし」などの喜びの声があふれている。

●ヴェルク株式会社
フューチャーアーキテクトで業務システムに携わってきた田向祐介氏や津久井浩太郎氏が立ち上げた受託開発会社。2010年12月28日創業の6年目。
現在6人のメンバーで業務システムやWebサイト、スマホアプリなどのシステム開発を幅広く手がけるほか、創業当初から自社サービスも並行展開。その1つであるboardもヴェルクのサービスではあるが、受託開発が本業のため田向氏の個人プロジェクトとなっている。

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