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高橋幸治のデジタルカルチャー斜め読み 第18回

なぜSNS上で動物の動画が人気なのか

2016年04月05日 09時00分更新

文● 高橋幸治、編集●ASCII.jp

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Photo by Raffaele Esposito

私たちはいつからこんなに写真を撮るようになったのか?

 もはや7割に近い人々がスマートフォンを所有し、20代にいたっては9割を超える若者たちが日々スマートフォンで友人/知人とコミュニケーションをとっている現在の情報環境の中で、私たちは3つの異なる言語を使い分けていると言っていい。

 言語=言葉と、写真、そして動画である。従ってそれぞれに特化したSNSが存在し、あるいは、3つのメディアが融合したかたちで私たちの周囲にはさまざまな情報共有サービスが展開されている。

 特にハードウェアとしてのスマートフォンの劇的な性能向上とあいまって、写真と動画のシェアはごくごく当たり前の日常的な振る舞いになりつつある。フランスの映画批評家であり「恋ざんげ」の監督としても知られるアレクサンドル・アストリュックは、かつて「カメラ=万年筆」という理論を提唱したが、現代はまさに「スマホ=万年筆」状態である。私たちは四六時中、スマホを用いて自らの人生の瞬間や断片を言語や写真や動画で綴り続けている。

※ 2015年7月7日付:博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所発表資料より

 「iPhone SE」のカメラの画素数は12メガピクセル(1200万画素)であり、動画に関しても4Kビデオ撮影および720p/240fps、1080p/120fpsのスローモーション撮影が可能だ。

 1995年に発売された民生用コンパクトデジタルカメラの記念碑的製品ともいえるカシオ計算機の「QV-10」が25万画素だったことを思うと、まさに隔世の感である。ちなみに同製品が装備していたカラー液晶は1.8インチであった。あれから20年……。

 私たちは特別なときにしか撮影しなかった写真を毎日のように撮り溜め、極めてプライベートなものであった写真を不特定多数の人々にインターネット経由で公開し、ときには動画ですらコミュニケーションの手段として活用している。

カシオ計算機株式会社が1995年に発売した世界初の液晶モニター付きデジタルカメラ「QV-10」。価格は6万5000円。コンシューマー向けコンパクトデジタルカメラの元祖とも言える製品。現在では当たり前のことだが撮影した写真はパソコンに取り込むことができ、インターネットの普及とあいまって当時大流行した

 当然ハードウェアメーカーだけでなく写真や動画の共有サービスを提供する企業もそうしたユーザーのライフスタイルの変化と同調しつつ仕様を変更しており、3月28日には全世界で4億人以上のユーザー数を誇る「Instagram」が最大15秒だった動画の制限を最大60秒にまで拡張した。

 では、なぜこれほどまでに私たちは日常的に写真や動画を撮影するようになったのか? 「スマートフォンに最初からそういう機能が付いてるんだから当たり前だよ」とか「写真や動画のほうが文字より直感的だし情報量が多いんだからさ」と言ってしまえばそれまでなのだが、なにか別のところにも写真や動画がSNSの重要なコンテンツとなる理由が隠れているのではないだろうか?

 今回はそのあたりを考えてみたいと思う。

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