Arctic Islandsこと
「Radeon R400」シリーズ
続いてがArctic Islandsの話である。もともと今年のCESでPolarisアーキテクチャーの存在が発表されたが、これに関してもう少しだけアップデートがあったので、それを解説したい。
まずはアーキテクチャーロードマップである。下の画像が今回公開されたもので、28nm GPUが従来のGCNベースのもので、これに続きPolaris/Vega/Naviの3つの新アーキテクチャーが明らかにされた。
ここでわかったのはHBM2が入るのは、2017年に予定されているVegaだということ。ということで、2016年のPolarisに関してはGDDR5とHBM1というのが事実上確定した形だ。
技術的にはGDDR5Xを採用する可能性もあるが、このスライドにそれをうかがわせるものがないので、個人的には可能性は低いと思っている。
2種類ある
Polarisアーキテクチャー
さて、CapsaicinのイベントそのものではPolarisやVegaへの言及はほとんどなく、あとは主にDirectX 12とVRに関する話題を、DirectX 12/VRに対応したゲームタイトルの紹介とからめて行なった程度なので、ここからはこれに付随して現れた話を紹介したい。
まずはPolaris。PolarisにはPolaris 10とPolaris 11があることはすでに広く知られており、Polaris 10がメインストリーム向け、Polaris 11がハイエンド向けという位置付けになる。直接的な関係はないのかもしれないが、下の画像で言えば赤を狙うのがPolaris 10、緑がPolaris 11ということになるだろう。
さて、新世代のミドルレンジが前世代のハイエンドとほぼ同等、というGPU業界ではおなじみの経験則をそのまま当てはめると、Polaris 10のコアはGrenada、というよりオリジナルはHawaiiコアになるわけだが、これと同等のシェーダー数を搭載していると考えて良いと思う。
微妙なのは、特にハイエンドのメモリーがどうなっているかである。例えばRadeon R9 390Xは6GHz/512bitのGDDR5という構成である。
これをそのまま継承すると、どうしてもチップやボードが高くつくので、できれば256bitにしたいところだが、帯域を同じままに保つと12GHz/256bitとなり、これはGDDR5Xを採用しないと間に合わない。
ただしGDDR5Xを採用するためにはプリフェッチ数増加への対応(8n→16n)が必要なほか、そもそも転送速度が大幅に上がる関係でメモリーコントローラーも新しいものが必要になるなど、いろいろ変更点が多い。
加えて消費電力が下がるかどうか怪しい(同じ容量であればGDDR5と比較してほぼ倍増する)ので、性能/消費電力比を2.5倍に引き上げるというPolarisにはあまり適さない気がする。
前回も紹介したデモでは、Polaris 10の競合にGeForce GTX 950(メモリーバスは6.6GHz/128bit GDDR5)だったことを考えると、そうそう高速なメモリーは不要だろうと思われる。
一応現状ではGDDR5も8GHzまでの製品が出ていることを考えると、Polaris 10のハイエンド品はこの程度で落ち着くのではないかと思われる。
あともう1つ不明なのが、EllesmereとBaffinの2種類の製品ラインナップがあるが、これが同一のコアかどうかである。一応図では別々のコアとして記述したが、少なくとも当初は同一のコアで、用途によって適当にシェーダー数を無効化するなどして作り分けする可能性も捨てきれない。
これは主に、利用するGlobalfoundriesの14LPPプロセスの歩留まりに依存する。経済的に考えれば、EllesmereとBaffinはほぼ倍近いダイサイズの差があるので、別々のダイを作り分けたほうがお徳である。
しかし、もしEllesmereの歩留まりが十分高くない場合、Radeon R9 480/480Xグレードでは売れないダイをRadeon R9 470Xとして売るという可能性は十分ありえるし、将来歩留まりが上がったらダイを分けるという対応をしても十分間に合うだろう。
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