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IoT&H/W BIZ DAY by ASCII STARTUP 第16回

アスキー主催のイベントで発表されたIoTスカラーシップの中身

あとは作るだけ!さくらとインテルがIoT開発のすべてを揃える

2016年03月29日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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IoTを作る人を増やすスカラーシップをインテルと!

 そして「とにかく作っていく人を増やす」という意図で、今回リリース前に発表されたのが、さくらとインテルとの協業によるスカラーシップの実施だ。伊藤は特別ゲストとしてインテルの三津江敏之氏を壇上に招聘し、スカラーシップの詳細を説明する。

いよいよさくらとインテルのスカラーシップについて説明

 今回発表されたスカラーシップでは、インテルのEdisonとさくらのIoT Platformを活用したIoTデバイス開発をプロトタイピングから支援し、センサーデータの収集のみならず、ビジネス化までを目指すというもの。インテル データセンター&IoT事業開発部 シニアスペシャリストの田口栄治氏やさくらインターネット代表取締役の田中邦裕氏、そして小笠原氏の審査委員を迎え、2016年5月中旬~8月末までの第1期のスカラーシップ期間で、約2週間に1回の割合でメンタリングを実施する。「技術的なフォローもあるし、サービス面での提案もある。なんとか8月中くらいまでに作って行ければいいなあと」(小笠原氏)。

 さらに米インテル チーフストラテジストで、OpenFogのプレジデントをやっているジェフ・フェダース氏を招いたピッチイベントを6月に開催するという。「OpenFogのプレジデントなので、世界中でIoTをどのようにするか考えている方が来るということ。グローバル企業のヘッドクオーターの人間が、プロトライピングを見て、指導してくれることはあまりないので、非常におもしろいと思う」と小笠原氏は語る。

豪華メンバーでメンタリングが受けられるスカラーシップの内容

 気になる支援内容だが、さくらインターネットからさくらのIoT Platform αと通信モジュールが提供されるほか、インテルからはAtomプロセッサー搭載のIoTモジュール「Edisonキット For Arduino」が用意され、「すでに100台近くは確保してある」(三津江氏)とのこと。また、スイッチサイエンスの協力のもと、5種類のセンサーやLED、ボタンなどを簡単に使える「GROVE スターターキット」も用意される。このほか、前述のメンタリングや、開発スペースのDMM.make AKIBA、インテルが支援しているビッグデータプラットフォーム「TAP:Trueted Analytics Platform」のテクニカルトレーニングまで。まさにIoT開発に必要な資材や技術、スペースまで「幕の内弁当化」されたパッケージになる。

さくらのIoT Platformや通信モジュールはもちろん、EdisonキットやGROVEスターターキットまで用意

 小笠原氏は、「Web系の人に来て欲しい。ソシャゲとか作っていた人が来たら、ハードウェアにも課金ポイントがあることがわかる。課金ポイントがちゃんとできたら、モノはほぼ無料になる」とアピールする。

切手サイズのEdisonの1/10を誇るIntel Curieモジュールとは?

 スカラーシップではEdisonが採用されるが、三津江氏はEdisonの次にあたる開発用ボードである「Genuino 101 Powered by Intel」についても紹介した。先日、日本でも発売開始されたGenuino 101はIntel Curieモジュールを搭載した開発用ボードで、商標の関係で米国でArduino 101として発売されているものと同じだ。

Edisonの次にあたる開発用ボードである「Genuino 101 Powered by Intel」は3月24日から発売開始

 Intel Curieモジュールは、Galireo、Edisonに次ぐイノベーターの名前(キューリー婦人)を冠したインテル3代目のIoTモジュール。特徴的なのは、その大きさで、Edisonは切手サイズと言われているが、CurieはEdisonの1/10のボタンサイズ。「まさにウェアラブルをターゲットにしており、スマートグラスやペットの首輪や靴など、いろいろな用途に使える」と三津江氏は説明する。

インテル アジア・パシフィック・ジャパン 製品マーケティング事業統括部 プロダクト・マーケティング・マネージャー 三津江敏之氏

 CPUとして32ビットの「Intel Quark」、OSとしてOSSのリアルタイムOSである「Zepher」を採用。WLANとBLE搭載のEdisonに対して、CurieはBLEのみ対応する。開発はArduino UNOと同じ開発環境を用いることができる。ただ、Arduino UNOと異なり、加速度とジャイロの6軸センサーも搭載されているほか、パターンマッチングの機能を有する。「たとえば、Curieモジュールを搭載したデバイスを身につけて、歩いているのか、走っているのか、全速で走っているのか、パターンマッチングを使えば、エッジデバイス側で見分けられる」と三津江氏はアピールする。今後、このパターンマッチングツールを用意でき次第、Intel Curieモジュールもスカラーシップでも投入していきたいという。

 「国内でも技適を通して販売しているので、安心してお使いいただける」(三津江氏)とのことで、国内では3月24日から発売を開始。4000円後半から入手できるという。

IoTが成功するための最後の要素は熱量の高い人

 今回のスカラーシップへの意気込みについて聞かれた三津江氏は、「IoTが成功するには5つの要素がある。デバイス、センサー、通信環境、クラウドと解析環境は今回のスカラーシップで提供できる。最後に欠けたピースは、やはりMakersの方。尖ったビジネスモデルと4つの要素をまとめていただき、ビジネスを成功に導いてくれる熱意を持った方に来て欲しい」とアピール。さくらインターネットの言い方では「熱量の高い人」に来て欲しいというわけだ。

 江草氏は「これまでモノを作るところにチャレンジしてこなかった人に来て欲しいと思っている。今までソフトウェアで便利なものを作ってきた人が、普段の行動や現象をとれるともっと便利なモノが作れる。こういうことを実感できるといいなと」と語る。スマホに依存せずに、普段の生活が楽になり、楽しくなる世界をここから始めてもらいたいというのが、江草氏の想いだ。

かなりフリーダムでサービス開発を進めている様子なさくらの2人

 その後、小笠原氏と三津江氏が会場のブースを案内して、セッションは終了した。スカラーシップのWebでの申し込みは3月29日の朝の予定。記事を読んだ方はすぐにチェックしてもらいたい。

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