このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

Adobe Sumit 2016基調講演

ビジネスの主流は「顧客体験」へ、Adobeが考える新時代とは?

2016年03月24日 12時00分更新

文● 末岡洋子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 米Adobe Systemsのデジタルマーケティングの年次イベント「Adobe Summit 2016」が3月22日、米ラスベガスで開幕した。テーマは体験(エクスペリエンス)を中心としたビジネス”エクスペリエンスビジネス”で、それを実現するためのデータ活用技術を「Adobe Marketing Cloud」に加える。デバイスではなく人をターゲットにマーケティング施作を展開できるネットワークサービス「Device Co-op」も展開する。

エクスペリエンスの時代へ、Narayen CEO

 Adobe SummitはAdobeのマーケティング事業のイベント(クリエイティブ事業の年次イベントは「MAX」)。Adobeは2009年、Omniture買収によりこの分野に参入しており、「Adobe Marketing Cloud」として提供している、これまでSummitはOmnitureの本拠地だったソルトレイクシティで開催されてきたが、規模が大きくなったことから今年はラスベガスに移った。参加者は1万人以上と過去最大規模に、日本からは約160人のパートナーや顧客がラスベガスに集まった。

 最初に登壇したAdobeのCEO兼プレジデントのShantanu Narayen氏は、「エクスペリエンスの時代」と宣言する。「顧客はすばらしい体験が、適切なタイミングで得られることを当然と思っており、企業は顧客とどのようにやりとりするのかを新しく想像しなければならない」とNarayen氏。逆に言うと、すばらしい体験を提供できない企業は新規参入や競合に崩壊されてしまうことになる。

Shantanu Narayen氏

 Narayen氏は同社の主力事業であるクリエイティブ事業を示唆しながら、「すばらしいエクスペリエンスは、すばらしいコンテンツでスタートする」と述べる。「コンテンツ作成、動画、モバイルアプリ、体験の設計はかつてないほど複雑になっており、コンテンツの回転率も加速している」とするが、課題はそれだけではない。コンテンツを「適切な人、適切なところで、適切なタイミングで届けるには、データが必要」として、データサイエンスやインテリジェンスも重要になっていると指摘する。

 「人間の直感が置き換わることはないが、マシンの力を借りることで、より高速に、よりスマートになれる」とNarayen氏。

 Adobeの戦略は、人々のエンパワーメントだ。コンテンツは中核となるAdobeのDNAであり、そこを受け持つ「Creative Cloud」を用意する。これに加えて、AcrobatやPDFなどビジネスプロセス自動化やコラボレーションの「Document Cloud」、「Marketing Cloud」の3つの柱で、エクスペリエンス中心のビジネスを支えるとした。

AdobeはCreative Cloud、Marketing Cloud、Document Cloudでエクスペリエンスビジネス実現を支援する。

ERP、CRMに続く第3の波が「エクスペリエンスビジネス」

 続いて登壇したのは、Omniture買収によりAdobeに入社したBrad Rencher氏。エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーとしてデジタルマーケティング事業を率いる人物だ。基調講演のメインとなり、McDonald'sのCMO、Deborah Wahl氏をはじめとした顧客企業の幹部を招いたり、最新の技術のデモを交えて2時間のスピーチを行った。

Brad Rencher氏

 Rencher氏は、「第3の波」がエンタープライズを襲っていると表現する。「最初の波はERPに代表されるバックオフィスで、第2の波はCRMなどのフロントオフィスだ。そして第3の波が『エクスペリエンスビジネス』だが、これまでの2つとは大きく異なる点がある。最初の2つがわれわれ、つまり企業を支援するものであり、浸透すると単なるお膳立てとなり差別化を得るものではなくなったが、3つ目のエクスペリエンスビジネスはコンシューマーのためのものとなる。人とその人がやりたいことを結びつけることであり、企業はエクスペリエンスを提供する”スチュワード”になる」と説明。エクスペリエンスとは実態のないものであり、期待通りであればコンシューマーは気がつかないことだってある、という。「顧客がすべてのタッチポイントで驚き、喜ばせるエクスペリエンスが重要」と続けた。

このように、エクスペリエンスビジネスとは、顧客体験が主導するビジネスとなるが、具体的には以下の4つの面で測定できるという。

  • 顧客を知っており、(プライバシーなどで)顧客を尊重する。
  • 営業、サポートチームなどすべてが同じ文脈で話す。
  • 技術が透明になり、アプリや端末の利用を強要しない。
  • すべての行動や局面で常に顧客を喜ばせる。

 Rencher氏はエクスペリエンスビジネスを支援するための新機能をいくつか発表した。多くはデータサイエンスに関連したもので、ユーザーやほかのユーザーが何を入力しているのかから学習し、データの変化に優先順位をつけて重要な洞察を知らせてくれる予測エンジン「Adobe Analytics Virtual Analyst」、顧客との関係全体から分析してオファーをリアルタイムで行う「Adobe Target」の新機能「生涯価値判断」などがある。また、「Adobe Campaign」には、開封率分析により魅力的な電子メールの件名を推奨する機能も発表された。Creative Cloudとの連携としては、Marketing Cloudの「Adobe Experience Manager」に、Creative Cloudにある写真やビデオなどのデジタル資産を容易に検索できるようになった。

電子メールマーケティングで重要となる件名、表示されたキーワードクラウドの中から件名を作成すると開封率を予測する。

前へ 1 2 次へ

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

ピックアップ