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2016年の新展開が明らかに

女性の活躍を考える、Googleが始めた「Women Will」の軌跡

2016年03月16日 07時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 女性の社会進出をみんなで考えよう。広くアイデアを募って実践してみよう――。

 そんな目的で、2014年10月にGoogleが立ち上げた「Women Will」プロジェクト。様々な立場の人から働く女性を応援するアイデアを募集し、賛同するサポーター企業とともに実践する「#HappyBackToWork」という活動をはじめ、女性の活躍推進に挑んでいる。

 でも、なんでGoogleが――? その狙いや活動内容を紹介する説明会が3月14日、開催された。

Googleが女性の活躍推進に取り組む理由

 Women Willは、女性のテクノロジー活用を促進することで、各国の女性が直面する問題の解決を目指す取り組みで、Googleがアジア太平洋地域全体で進めている。

 その活動の意図について、グーグル 専務執行役員 CMO アジア太平洋地域 マネージングディレクター 岩村水樹氏は「テクノロジーによるイノベーションが生活や社会を変える可能性があると信じているから。そして、イノベーションのためには、多様な人材の能力を発揮する必要があると考えて、ダイバーシティ推進に取り組んでいる」と語る。

グーグル 専務執行役員 CMO アジア太平洋地域 マネージングディレクター 岩村水樹氏

 日本では、出産・育児を機に、女性の労働力率が一時的に凹む「M字カーブ」の問題にフォーカス。「中には働きたいのに働けないという人も多く、この問題を解消できれば、303万人の雇用が創出できるともされる。そこでテクノロジーの出番。テクノロジーを有効活用し、“スマートワーク”を実現できれば、この問題も解消できるはず。スマートワークとは、必要に応じて、いつでもどこでも個人作業も共同作業もできる、そんな働き方。まだまだそうしたテクノロジーを活用しきれていない企業もあり、社会の文化も阻害要因になっているので、そこも含めて変革しようと取り組んでいる」(岩村氏)としている。

M字カーブ解消は303万人の雇用を創出する

 これまでの取り組みとしては、日産、KDDI、広島県と協力し、働き方改革について行った実証実験の結果を、企業の参考となるよう「未来の働き方プレイブック」として公開。

「働く女性を応援するアイデア」をみんなで実践

 また、一般人・企業から「働く女性を応援するアイデア」を集め、そのアイデアをサポーター企業が実践する「#HappyBackToWork」という活動も推進。世の中への意識の醸成を進めてきた。

 日本は残念ながら「女性が家庭の外でも役割を持つことは大切だと思う」という人が71%もいる一方、「母親になってからも仕事を続ける女性を支援する社会だと思う」という回答はわずか38%という社会だ。「このギャップが大きくて、サポートされていないんだという気持ちが最終的に離職に繋がってしまう」と岩村氏。こうした状況を変えるべく、働く女性が本当にほしいサポートや、家族・同僚ができることは何かの理解を深めるための取り組みとして、2015年3月以来、5000件のアイデアを集めた。

「母親になってからも仕事を続ける女性を支援する社会だと思う」という回答はわずか38%

 アイデアそのものは、「家庭の事情で早く退社するのに後ろめたさがあるのなら、帰社時に『すみません』というのを禁止にしよう」など些細なものだ。逆に言えば、だからこそ、どの企業も明日からでも実践できるものが多い。「アイデアの内容とともに、「誰ができるアイデア(パパ・ママ、同僚・上司、会社・人事など)なのか?」も投稿してもらっているため、主語が明確になっているのが特徴という。

アイデアそのものは「帰社時のすみません禁止」など些細なもの

 このほかにも、「男性には2週間の育休より1年間の定時あがりを」「18時以降の会議は禁止」「男性が早く帰って子供をお風呂に入れる曜日を決める」「在宅勤務が普通にできる社会に」「子連れ出勤できる職場に」「親にヘルプを頼んだ時の費用は税金控除」など、多彩なアイデアが集まり、この1年間で、700社のサポーター企業にて1600件のアイデアが実践されているという。

社内託児所、はじめてます by 楽天

在宅勤務を当たり前に by ポピンズ

歓送迎会は、夜ではなくランチ会に!

月に1度は、パパ子旅!

2016年さらに取り組みは深化

 「こういう活動ができたのは、ひとえにサポーター企業の協力と、心の声をアイデアとして出してくださった皆さんのおかげ。Googleはこの活動を通じて、技術で女性の活躍を支援する。それと同時に、多様なバックグラウンドを持つ人が多様な働き方、多様な生き方ができる真のダイバーシティが実現できたらうれしい」と語る岩村氏。2016年は、さらに2種類の取り組みを始める。

 1つ目が「企業の働き方トライアル」。サポーター企業に協力してもらい、柔軟に働くための働き方改革アクションを実施し、その前後でアンケート調査を行うというもの。「第1回:在宅勤務」「第2回:会議効率化」「第3回:定時に帰る」とテーマを定め、3月14日から5月末までに約15社が、まずは「第1回:在宅勤務」に挑戦する。

企業の働き方トライアルを実施

 2つ目が、集まったアイデアを参考に、52社のサポーター企業がサービス展開する「#HappyBackToWork WEEKS」。3月14日から4月末にかけて、復職ママを応援すべく、52社がそれぞれの立場から考えた「復職ママやその周りの人たちを応援する取り組みやサービス」を提供する。

 例えば、国内135店舗を展開する料理教室「ABC Cooking Studio」では、「家事育児は手伝うものではなく一緒にするもの」というアイデアを参考に、オイシックスとともに「パパのための料理教室」を開催する。同社のヒューマンリソース部長 桑原晶子氏は「これをきっかけに、家事を手伝うのではなく、一緒に楽しめるようになってほしい」と思いを語っている。

52社のサポーター企業がサービス展開

パパのための料理教室

 育休や保育園問題など、さまざまな事柄をきっかけに、少しずつ世の中が動き始めている。Googleも女性がいきいきと働ける社会を目指し、「Women Will」活動を加速させる考えだ。

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