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「VSPEX BLUE」の後継機、オールフラッシュなど豊富なハードウェア構成が選択可能に

EMC、より柔軟なハイパーコンバージド製品「VCE VxRail」発売

2016年03月16日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 EMCジャパンは3月15日、VMwareベースのハイパーコンバージドインフラ(HCI)環境を提供するアプライアンス新製品、「VCE VxRail Appliance」ファミリーの提供を開始した。従来の同社HCI製品と比較して、用途に応じた柔軟なハードウェア(CPU/メモリ/内蔵ストレージ)構成ができる点が特徴。

2Uサイズに4サーバーノードとストレージを内蔵する「VCE VxRail Appliance」

発表会に出席した、VCEテクノロジー・ソリューションズ カントリーマネージャーの西村哲也氏

米EMCコーポレーション コンバージドプラットフォーム事業部 VxRail担当ヴァイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのギル・シュナーソン(Gil Shneorson)氏

VSPEX BLUEの後継機、柔軟なハードウェア構成とスケール性が特徴

 VCE VxRailは、EMCとヴイエムウェアが共同開発した、2Uサイズに4台のサーバーノードと大容量ドライブを内蔵するHCIアプライアンス。仮想化ソフトウェアとして「VMware vSphere」と「vCenter Server」、Software-Defined Storage(SDS)ソフトウェアの「Virtual SAN(VSAN)」を採用しており、VMware環境を迅速かつ容易に導入できる。

VxRailはVMwareベースのHCIアプライアンス。導入が容易で「電源投入後15分で本番稼働できる」

 EMCでは2015年より、VMwareのリファレンス構成(EVO:RAIL)に基づき開発したHCIアプライアンス「EMC VSPEX BLUE」を提供してきたが、VxRailは事実上、その後継機種に当たる。

 VSPEX BLUEにはないVxRailの特徴の1つは、ハードウェア構成の柔軟さだ。サーバーノードのCPUコア数(Xeon E5 2600 v3ファミリー、6~28コア)やメモリ容量(64~512GB)、ネットワークインタフェースの異なるモデルがあり、内蔵ストレージもハイブリッド(SSD+HDD、3.6~10TB)とオールフラッシュ(SSDのみ、7.6~19TB)から選ぶことができる(オールフラッシュモデルは2016年第2四半期より提供)。

ストレージ構成は「ハイブリッド」「オールフラッシュ」の2種類が用意されており、それぞれCPU/メモリ/ストレージ容量/ネットワークの異なる多彩なモデルを用意

 さらに、VxRailは高いスケールアウト性能も備えている。VSPEX BLUEでは最大4台までだったが、VxRailでは最大16台のアプライアンス(64ノード)を10ギガビットEthernet経由でクラスタ化することができる。なお、クラスタ台数を増やす場合は、自動ディスカバリ機能によって、ネットワークに新しいアプライアンスを接続するだけで簡単に増設が可能。vMotionでワークロードが自動的に、サービス無停止で新しいアプライアンスに移動する。

VxRailはアプライアンス1台から16台まで段階的なスケールアウトが可能。単一のクラスタとして統合管理/運用が可能

 さらに、「EMC RecoverPoint for Virtual Machines」や重複排除/圧縮やレプリケーション、バックアップといったエンタープライズ向けの各種データサービスを提供するほか、「EMC CloudArray」によってVMware vCloud AirやAWS、Azureなどのパブリッククラウドを活用した階層化ストレージが実現する。

 なお、より大規模な環境向けの垂直統合インフラ製品である「Vblock」や「VxBlock」「VxRack」との間でのシームレスな運用やレプリケーションも可能。本社データセンターにVxBlockなどを、リモートサイトにVxRailを配置して、統合運用することもできる。

 VCE VxRail Applianceの販売価格(税抜)は、最小構成モデルのVxRail 60(1CPU/6コア、64GBメモリ)で750万円から。EMCパートナーであるネットワールドおよびネットワンシステムズが販売する。

「VMwareのノウハウが生かせる」「用途に応じた柔軟な構成」を強調

 発表会に出席したVCEテクノロジー・ソリューションズ カントリーマネージャーの西村哲也氏は、「VxRailはまさに“QUANTUM LEAP”、日本語で言えば“飛躍的な跳躍”だ」と述べ、VxRailの高いパフォーマンスと効率性を強調した。

 米EMC コンバージドプラットフォーム事業部 VxRail担当VP&GMのギル・シュナーソン氏は、VxRailの開発背景を説明。「これまで多くの顧客がVMwareに投資してきた」ことに触れ、VxRailでは顧客がこれまで培ってきたVMwareの管理スキルや運用ノウハウがそのまま生かせること、柔軟なノード構成やスケールアップ性による無駄の少ない段階的な投資ができることをアピールした。

 「(幅広いモデルを揃えた)VxRailは、あらゆる仮想化環境、VDI、分散型のエッジコンピューティングに適している。さらに、VxRailと(管理製品の)VMware vRealizeを連携させることで、真のプライベートクラウドも実現できる」(シュナーソン氏)

 またシュナーソン氏は、ハードウェア構成の多様化でHCI製品の“シンプルさ”が失われるのではないかという記者の質問に対し、VSPEX BLUEは1モデルのみだったことで顧客からの批判もあったと述べ、「顧客は柔軟性を求めているとわかった」と答えた。

 ゲストとして登壇したヴイエムウェア チーフエバンジェリストの桂島航氏は、VMwareのHCI向けソフトウェアスイートを搭載したHCI製品はすでにグローバルで3000社以上が導入しており、特にVSANが中心となって管理性やパフォーマンス、コスト効率の面で競合に対する優位性を高めていることを説明した。

vSphere環境にVSANが統合されているため、管理やパフォーマンスの面で優位性があると桂島氏は説明した

 そのほか、同発表会ではネットワールドとネットワンシステムズの代表者もゲストとして登壇し、これまでVSPEX BLUEなどの販売で培ってきた国内のHCI市場をさらに盛り上げていく姿勢を見せた。

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