150以上の日本企業から引き合いがある
米国では、30以上のAPIが用意されているのに対して、日本では6つのAPIに留まっており、その整備にはまだ遅れが感じられる。だが、日本アイ・ビー・エムのポール・与那嶺社長は、こんな風にも語る。
「Watsonの原点は、30年前に、日本アイ・ビー・エムの大和研究所において研究開発を始めたテキストマイニングが発端。それが米国に渡り、5年前に、米国の人気クイズ番組のJeopardy!で大活躍をした。米国では、その後、様々な業種においても、実績が出ており、そうしたなかで、いよいよ今回の日本語版の提供となった。いわば、日本に里帰りしたともいえる」
「Watson開発の原点が日本にある」というコメントは、日本のパートナーやユーザーにとっても、Watsonに対して、親近感が湧くきっかけになるといっていいだろう。
実際、日本において、Watsonに対する期待は高い。ソフトバンクによると、すでに日本においては大企業を中心に、150社以上からの引き合いがあり、出足は好調だ。
すでに欧米の拠点でWatsonを活用している第一三共では、新薬開発にWatsonを活用。フォーラムエンジニアリングでは、Watsonにより、企業と人材の最適なマッチングが提案できるとする。そして、三菱東京UFJ銀行では、LINEによる応答サービスにWatsonを利用。eファイナンシャルプランナーサービスでも、質問に対する回答はWatsonが行なうという。
さらに、ソフトバンクでは、社内で6つのプロジェクトを進めており、3月からは営業支援にWatsonを利用するほか、日本アイ・ビー・エムでは、Watsonへの対応が可能な人員を3倍に増やす計画を打ち出す。そのうえ、社内ハッカソン制度を通じて、Watsonを活用した社内ユースケースを100個作る考えだという。
また、ソフトバンクでは、Watsonに関して30社の販売パートナーと契約。さらに、約200社のPepperの販売パートナーを通じた展開も行なうことになるという。
そして、日本アイ・ビー・エムとソフトバンクが共同で開催している「IBM Watson日本語版ハッカソン」はすでに2回開催。1回目は38チーム、2回目は44チームが参加。3月10日に行なわれた第2回決勝戦には約300人の来場者が見守るなか、熱い戦いが繰り広げられた。
Watsonは、全世界36ヵ国で展開。8万人の開発者によってアプリが開発され、29の業界で採用されているという。世界的にWatsonの動きが加速するなかで、日本におけるWatsonの盛り上がりは、これから一気に加速しそうだ。
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