『マインクラフト』(略してマイクラ)にハマっています。最初はニコニコ動画やYouTubeでマイクラのゲーム実況動画をしばらく観て「みんなスゴいなぁ…」なんて思っていました。最後は自分でもやりたくなってしまいました(笑)。
筆者は建築誌にエッセイを連載するほどのリノベーション(改修工事)好き。リアルライフでは、自宅のキッチンとバスルームのリノベーションが終わり、「次はどこをやろうかなぁ…」なーんて考えていた矢先の出来事。マイクラの世界にはまらないわけがありません(笑)
じつは、ネットゲームやスマホゲームにハマるのは、これが初めてではありません。仕事柄、利用する新幹線のグリーン車で配布しているビジネス誌で紹介されていた『モンスターストライク』(以下モンスト)。記事の理解の参考に…、と試しに車中でダウンロードしたら見事にハマった経験もあります。
ゲームに詳しくない人のために説明すると、マイクラの世界では、ほとんどのオブジェクト(石、木材、ガラスなど)が1m×1m×1mのブロックで表現されます。プレイヤーはそのブロックを自由に破壊したり設置することでゲームを楽しみます。最終目的は特になく、ゾンビなどと戦う、洞窟などを探検して金やダイヤモンドなどを採掘する、土地を整備する、家や施設を建築をするなど、人それぞれ。ブロックには水や鉄鉱石、流れる溶岩などもあり、建築物も陸地だけでなく、山頂や崖、水中や空中にも作ることができます。
マイクラがサンドボックス・タイプのゲームと表現されるように、まるで砂場で自由に遊ぶことによく似ています。
なんとマイクラはPC版が2000万本(正式版)を売り上げ、スマホ対応のPE(Pocket Edition)版は3000万本、Xbox 360/Xbox One版も2000万本を売り上げ、世界中でメガヒットしています(他にもWii U版、PS3/VITA/PS4版もある。上記の数字は2015年7月時)。
実況ウォッチ、自分で遊ぶ、ネット検索というスパイラル
公園の砂場と違うところは、自分だけの世界であることや(マルチプレイも可)、プレイエリアが広大すぎること。家に戻れずにゲームオーバーになる(携行品や経験値が失われる)こともあります。
もう一つの違いは、自分の建築や探索を動画サイトやブログで披露できること。ゲーム実況は、もはや配信動画のコンテンツの一角を占めていますから、ユーチューバーやブロガーにとっても「マイクラ実況動画」はアクセスされやすいコンテンツでもあります。その動画を観た視聴者がさらにプレイヤーを増やす。そのスパイラルが現在も進行中で、筆者もそんなスパイラルに巻き込まれたひとりです。
有志による充実したWikiサイト
人気動画であっても「うあっ!この道具の作り方がわからない!?ちょっと、検索しますね…」なんてシーンによく遭遇します。すべてのプレイヤーがゲームに詳しいわけでありません。
マイクラでは、Wiki型の情報サイトがかなり充実しています。日本語だけでなく、ドイツ語、英語、スペイン語、フランス語、ハンガリー語、イタリア語など10カ国語以上で、マイクラの情報(操作法、素材の入手方法、道具の作り方、イベントなど)が詳しく記述されています。
知識人の参入者も多く、英国地質調査所がグレートブリテン島の地中データを含め、地形を完全再現したマインクラフトデータを2014年に公開したほど。
人間の夢を手軽に、リーズナブルに
じつは、こうしたスパイラルはマイクラが初めてではありません。例えば、車を買うケースで考えてみます。
「欲しい車を専門誌やネットで調べる(もしくは、詳しい友人に聞く)」→「購入する」→「ドライブして楽しむ」→「誰かに自慢する」というステップが、マイクラではPCの中だけで気軽にできてしまいます。
そうした人間の夢や欲求は、車だけではありません。ファッション、料理などでもほぼ同じ。しかし、マイクラでは「情報を集める(インターネット)」、「自分でやってみる(PCやスマホ)」、「友達など誰かと共有してコメントをもらう(ブログや動画共有サイト)」のプラットフォームがすでに無料で用意されている時代に登場。
さらに、有名になりたければ、自分のプレイ動画を編集して専用チャンネルで配信することもできます。時間と労力はかかりますが、タレント性とサービス精神、センスがあり、視聴者の興味をつかめば、それで有名人になり収入を得ることさえできます。
それがマイクラのメガヒットの要因だと、筆者は分析しています。
そうした人間の夢(もしくは、欲望でしょうか。笑)の費用は、マイクラのゲーム購入費用(26.95米ドル)とPCやスマホの電気代くらい。ただし、リアルな車や洋服などと違い、ゲームをやめてしまえば何も残りませんが…。
筆者のように、マイクラで遊んでは、それを自宅の片付けやリノベーションのモチベーションすれば、ゲームも生活を豊かにするのかもしれません。筆者に必要なのは、あとは睡眠時間くらいでしょうか…(笑)
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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