知られざる巨大クラウドSoftLayer/Bluemixの魅力を語るの巻

文●大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

2016年03月16日 07時00分

クラウド界隈の話題を飲み屋で楽しく語る飯田橋クラウドクラブ(略称:イイクラ)。今回はコミュニティ活動が盛んなIBMのSoftLayer/Bluemixのユーザー会の方々を集めてみました。知られざる巨大クラウドの魅力と実態について、飯田橋の沖縄料理屋で語り尽くします。

今回の登場人物(敬称略)

NI+C常田:日本情報通信 ソリューションビジネス本部 常田秀明。クラウドエバンジェリストとして、主にSoftLayer、Bluemixの普及活動をしながらコミュニティ活動に参加。







CTC原田:伊藤忠テクノソリューションズ クラウド・セキュリティ事業推進本部 クラウドイノベーションセンター 原⽥⼀樹。AWS、Azure、Bluemixを熟知したクラウドアーキテクト兼スクラムマスター。Bluemix/Watson系アプリケーションコンテストを3連覇。Bluemix UserGroup「BMXUG」のコミュニティリーダーとして活動しているが、AWS/Azureを愛しすぎてBluemixに厳しい一面も。




ブイキューブ原田:ブイキューブ 技術本部 テクニカルオペレーショングループ 原田紘。ISP、ホスティング事業者などを経て、2012年11月に株式会社ブイキューブ入社。オンプレミス環境からSoftLayerをはじめとしたIaaSまで、悪戦苦闘しながらブイキューブサービスのインフラ業務全般に携わる。




日立横井:日立製作所 研究開発グループ テクノロジイノベーション統括本部 情報通信イノベーションセンタ 研究員 横井一仁。Bluemix上でWatsonが使えるように なったことを知り、昨年6月からBluemixを使い始めた。アイデアを素早く形にできるBluemixの開発手法を活用し、これまでに国内外の開発コン テストで受賞した経験を持つ。BMXUGの活動にも参加。知識と人脈が広がり、自分の成長に役立っているという。




オークファン大平:オークファン 技術統括部 大平かづみ。クラウドをつなぐをテーマに、AWS/Azure/SoftLayer/Bluemixなど分け隔てなくクラウドに接する。女性へのアプローチを増やすべく、SoftLayer女子部運営に属しつつ、Bluemix 女子部を立ち上げる。




ASCII大谷:TECH.ASCII.jpの担当記者 大谷イビサ。連載のホスト・執筆者。お酒で舌をなめらかにして、SoftLayer/Bluemixの話を聞こうとしている。相変わらず写真が荒くてすいません。


私たちがSoftLayer/Bluemixのユーザー会に参加した理由

ASCII大谷:まずはみなさんの自己紹介と、SoftLayerやBluemixのユーザーコミュニティに参加した理由を教えてください。まずはSoftLayerユーザー会の常田さん。

NI+C常田:日本情報通信というNTTとIBMの合弁会社でSEをしている常田です。3年前くらいはAWSをやっていたのですが、IBMがSoftLayerを買収したのを受け、そちらを始めました。最初は足がかりがなかったので、2014年の初旬にIBMの北瀬さんらといっしょにSoftLayerのユーザー会を立ち上げて、以降はコミュニティにどっぷりです。

ASCII大谷:IBMグループの方たちにとって、クラウドはやはり未知の領域だったんでしょうか?

NI+C常田:私もコテコテのIBMグループの人間ですが、今までは既存のお客様に対して、ブローシャー1枚渡して終わりという感じで、説明を省いていたような印象がありました。あうんの呼吸で買う方も「ふーん、パブリッククラウド始めたんだ」みたいな感じです。だから、そもそもSoftLayerってなにかをユーザーにわかってもらうという目的で作ったのがユーザー会です。

ASCII大谷:なるほど。次はBluemixユーザー会の原田さんです。

CTC原田:CTCクラウドイノベーションセンターの原田です。クラウドイノベーションセンターはAWSやAzure、Google、Bluemix、OpenStackなど進化の速い海外のクラウドを専任でやっている部隊。お客様が新しい技術を使って、新しいことをやろうというときに相談を受けるビジネスインキュベーションに近い部分をカバーしています。Bluemixユーザー会のリーダーをやっているのですが、あさっては弊社のイベントがあって、セッションの資料を泣きながら作っています。

ASCII大谷:いろんなクラウドを扱っているCTCさんから見て、Bluemixに携わるというのは、どういう理由があるんでしょうか?

CTC原田:新しいことをいろいろ試せるBluemixは他のクラウドにはない魅力があります。いち早く使いこなせば差別化につながるという判断ですね。

ASCII大谷:次はSoftLayerユーザー会のブイキューブ原田さん。Web会議サービスのブイキューブさんは、最近海外も積極的に展開しています。

ブイキューブ原田:うちは純粋なSoftLayerのユーザーで、規模的にはけっこうなユーザーらしいです。とはいえ、全方位外交で、AWSもAzureも使っています。

ASCII大谷:全方位外交ということですが、他と比べてどうですか。

ブイキューブ原田:Web上にナレッジが多いのは圧倒的にAWSです。それに比べて、SoftLayerの場合、日本語の情報って、クリエーションラインさんとか、常田さんのNI+Cさんしかない。かといって英語であるかというと、そういう訳でもない(笑)。ユーザー会で必要な情報を補っています。

ASCII大谷:なるほど。そこらへんの苦労話はまた後ほど。では、日立からお越しの横井さんはBluemixの開発コンテストの常連さんです。

日立横井:日立製作所の横井です。本業はストレージ関連の研究ですが、昨年、開発コンテスト「Bluemix Challenge」の話を私の上司から聞き、Watsonに興味を持ち、使い始めたのがBluemixに関わったきっかけです。基本的には、会社とは離れた立場で、Bluemixに関わっています。

ASCII大谷:そして紅一点の大平さんは、SoftLayer/Bluemixの女子会を運営しています。

オークファン大平:よろしくお願いします!私が一番最初に関わったのはSoftLayerの女子部ですね。クラウドつながりでとりあえずLTやってくれとお願いされ、無料枠でSoftLayer使い始めたのがきっかけです。

ASCII大谷:なるほど。今はBluemixユーザー会もやってますね。

オークファン大平:その後、BluemixのLTも頼まれ、使っていったら好きになったので、Bluemix女子部立ちあげました。個人としては、AWSも、Azureも勉強しているので、マルチクラウドが好きという感じです。ぶっちゃけ、1人のエンジニアとしてみたら、いろいろ使えた方がいいに決まっているので。

ログインしたらいきなりグローバルが見えるSoftLayer

ASCII大谷:SoftLayerがそもそもどんなIaaSかという話を聞きたいのですが、ブイキューブの原田さんがSoftLayerに行き着いたのはどんな理由ですか?

ブイキューブ原田:うちはWeb会議サービスを提供しているので、ストリーミングが必須です。だからベアメタルのサーバーで、性能を出せるというのが大きいですね。あとはクラウド内のネットワークを無償で使えるのはメリット。うちにとっては、SoftLayer相性いいと思っています。

ASCII大谷:SoftLayerと言えば、ベアメタルですからね。

ブイキューブ原田:そうなんですよ。私はもともとレンタルサーバーの人間なので、ベアメタルのような物理サーバーはやりやすいんですよ。SoftLayerって、「ポッド」のインフラが生で見えるので、オンプレミスの知識で使えちゃう。ただ、個人的な意見としては、AWSと比べると、もう一歩抽象化してほしい。IaaSとしてのメリットが欲しいなあというのもあります。

NI+C常田:クラウドが2階、データセンターが1階だとしたら、SoftLayerは1.5階くらいのサービス(笑)。たとえば、SoftLayerって全世界のL2ネットワークを単純にVLAN切っているだけなので、ログインするとすべてのリージョンのネットワークとサーバーが見えます。管理コンソール上でもリージョンという概念がない。

ASCII大谷:AWS的な世界観からすると、リージョンの概念がないのはすごいですね。

NI+C常田:1つのネットワークに、グローバルのデータセンターが見えます。管理上もフラットなので、とても変わってます。だから世界展開しているサービスだと、データセンターを増設したら、いきなりIPで疎通が確保できるので、楽ちんです。

ASCII大谷:なるほど。AWSのように北米リージョンからサービススタートみたいな概念もないと。

NI+C常田:はい。サービスもワールドワイドで開始されて、それで以上。バックアップとる時も、バックアップ先のサーバーをデータセンターで立ち上げれば終わり。AWSのようにVPCを作って、ルーティングさせるといった操作には基本的にはならないんです。ルーティングするとしても、既存のサブネットのルーティングと同じ。L2レベルのハートビートも普通に通りますし、マルチキャストも通ります。

ブイキューブ原田::だからオンプレやってきたエンジニアは取っつきやすいんですよ。

NI+C常田:あとはネットワーク全体も仮想化されていないので、スループットが高い。ブイキューブさんのようにストリーミングなどは向いていると思います。

ASCII大谷:ほかのクラウドユーザーからすると違和感があるところありますか?

NI+C常田:VMwareとか普通に動きますので、SoftLayerはデータセンターとして借りることできます。でも、クラウドネイティブという感じではないですね。

ブイキューブ原田:確かにクラウドならではのレバレッジは効きにくい感じがします。

CTC原田:SoftLayerはCPUの上限カウントとかあるんですか?

NI+C常田:ないですね。CPUとかも他のクラウドのようにvCPUをいくつ割り当てるではなく、何メガヘルツ単位で買う形。なので、分割シェアではなく、オーバーコミットもないです。逆に占有率が高いので、場合によってはけっこう安くなります。

最新技術のスピード感が魅力なBluemix

ASCII大谷:一方、BluemixはPaaSの代表格ですね。人工知能のWatsonやIoTプラットフォームのIoT FoundationなどIBMの最新技術がてんこもりなほか、IBMやサードパーティのソフトウェアが数多く用意されています。ユーザーから見てBluemixってどこが魅力ですか?

CTC原田:一番の魅力はスピード感だと思っています。旬な技術がいち早く取り入れることができ、無償範囲も多いので、いろいろ試せます。新しい技術を組み合わせて、ハッカソンで新しいモノを作るのに向いているのがBluemixですね。なにしろ、最近はサーバーを作るのが面倒くさくて、AWSでもElastic Beanstalkとか使っちゃいますから。

オークファン大平:Elastic Beanstalkはイマイチ使いづらい印象があるんですが、どうですか?

CTC原田:Bluemixに慣れた後は苦じゃなくなりました。加えてサーバーに直接入れるので、困った時には入ってしまえる。Bluemixはそれができない代わりに、Cloud Foundryベースなので、慣れている人には便利です。

オークファン大平:個人的には開発者向けの「DevOpsサービス」の「Web IDE」がすごく便利。Macと、Windowsを両方使っているし、自宅でも、会社でもブラウザから使えるので一押しです。

日立横井:Bluemixは、Web IDEをもっと売り込まないのですか? 正直「Eclipse」使っていたら開発者にとってはなにも変わらないですけど、Web IDEはブラウザとインターネット環境があれば、いつでもどこでも開発できるので、すごい便利だと思います。

オークファン大平:ちょっとしたデバッグもできるし、重宝しています。

CTC原田:確かにWeb IDE便利ですよね。でも、デプロイはCloudFoundryのCFコマンド派と、Git派で分かれそうですね。チーム開発だとGitになるんですけどね。あとはBluemixに限定するわけではないですが、Node-REDはずいぶん熱いですね。

ASCII大谷:不勉強で恐縮なんですが、Node-REDってなんですか?

日立横井:Javaのようにエディタでコード書くのではなく、GUIで処理をつないでいくだけで簡単にプログラム が作れる開発環境です。複雑な処理をカプセル化した処理ノード同士を線でつないでいきます。もともとIoT向けに作られたもののようですが、今は Watson APIとかも呼び出せるので、いろいろ作ることができますよ。

CTC原田:その意味ではAPI連携ツールのように使われますね。米国ではIoT Hubが旬なんですが、それと同一のサービスです。クラウドのストレージにデータを流し込んで、APIを連携させることで、いろんな処理ができます。あと、ユーザーが独自のノードを作って、公開することもできます。気がついたらライブラリが増えてたりしているので、いろいろくっつけて発想が拡がります。

NI+C常田:Node-REDはイベントドリブンなんで、インプットの条件が反応すると動く。デーモンを作らなくても、処理が並列で流れてくれます。待ち受けして処理するというIoT向けのデーモンプログラムが簡単に作れます。

CTC原田:もともとIBMの社内ハッカソンで生まれたもので、Bluemixではパッケージ版が提供されています。node.jsベースで動くOSSなので、インストールすればMacとかでも、AWS上でも、ラズパイでも簡単に動かせます。

日立横井:昨日ラズパイを利用して作ったのは、音声ファイルを入力にして、WatsonのSpeech to TextというAPIを呼び出すもの。「熱い(Hot)」という言葉が含まれていたら、ラズパイのリレーをオンにして、扇風機を回すというのを作りました。

一同:おおーっ!!かっこいい。

日立横井:先日Node-REDでよく使われるパターンも10個作って公開しました。Qiitaに投稿して、勉強会でも紹介しています。

CTC原田:横井さんはBluemixのブログコンテストでも2連覇ですからね。

 SoftLayer/Bluemix編、次回に続く

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