このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

Apple Geeks 第175回

Macでホームフォルダ以外の領域を整理整頓するポイント

2016年02月26日 10時00分更新

文● 海上忍(@u_shinobu)、編集●ハイサイ比嘉

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Finderは頼れない、頼らない

 ひとつ言えることは、ホームフォルダ以外の領域を整理する場合は「Finderを頼れない」ということだ。Finderは/usr/varといったUNIX由来の領域を原則として不可視扱いしているため、表示に手間取る上にゴミ箱への移動をもってファイル削除とする仕様は整理整頓に適さない。システム領域の変更は管理者権限が必要になるため、処理のつどパスワードを要求されるからだ。

 いきおい、Terminalからコマンドを実行してファイル削除することになるが、シェルの入力補完(ファイル名の先頭数文字を入力して[TAB]キーを押すと残りが自動入力される機能)を使えば、Finderよりスピーディーに削除作業が進むはず。Finderに頼らないことが正解だ。

不可視領域をブラウジングしにくい、ファイル削除に手間がかかるなどの理由により、Finderは整理整頓用のツールには適さない

duコマンドでサイズをチェック

 Terminalでは、常に作業場所を意識してコマンドを実行する。ファイルを削除する場合は、「cd」コマンドを実行してそのファイルが保存されているフォルダに移動した上で、「ls」コマンドでファイルリストを表示して目星を付け、「rm」コマンドでファイル削除を実行するという流れが基本形だ。ログファイル(*.log)など、内容を確認できるファイルはこの方法で削除していいだろう。

 「du」コマンドもあわせて利用したい。オプションに「-sh」を付けて実行することにより、現在作業場所としている領域(カレントディレクトリ)のファイルサイズ合計値が分かる。これで大きな値が表示されれば、整理整頓によるディスクスペース回復効果が大きいと判断できる。

「du -sh」を実行したところ。/varだけで6.2GBものディスクスペースを占有していることが分かる

/var/folders」に注意

 UNIX系OSでは、各ディレクトリに大まかな役割が与えられている。OS Xもその例に漏れず、/usrディレクトリは滅多に書き換えが発生しないファイル(例:コマンド)、/varディレクトリは頻繁に書き換えられる可能性の高いファイル(例:ログ)が保存されている。

 その/usr/varを例にすれば、整理整頓の対象となるディレクトリは/varだということがわかるだろう。それに、「System Integrity Protection」が導入されたOS X Yosemiteでは、/usrディレクトリは管理者権限をもってしても領域内のファイルは削除できないため、そもそも対象外だ。

 最近のOS Xは、/var/foldersディレクトリ以下を各種アプリケーションのキャッシュ領域として利用する。ある程度UNIX系OSに通じていると、/var以下だから消しても問題ないだろうと考えてしまいがちだが、安易に削除しないほうがいい。

 なぜなら、ログアウトすれば消えるファイルあり、なんらかの事情で(不要にもかかわらず)ログアウトしても残るファイルあり、不要かどうかの見極めが難しいからだ。削除方法は後回しにするとして、まずは以下のとおりコマンドを実行してキャッシュ領域へ移動し、どの程度のディスク容量が消費されているか確認しよう。

「cd $TMPDIR」を実行したところ。アプリケーションはこの領域にキャッシュファイル/テンポラリファイルを保存する


$ cd $TMPDIR

安全かつ有効な解決策とは

 ファイルの整理整頓を開始する前に、とりあえずシステムを再起動しておこう。理由は単純、/var以下などに作成されたテンポラリファイルやスワップファイルが次回起動するときに削除されるから。システム再起動の前後で起動ディスクの使用量をチェックすれば、再起動後に空き容量が回復していることを確認できるはずだ。

 前述したキャッシュ領域(/var/folders)はアプリケーションが使用するため、いったんアプリケーションを終了させる必要がある。つまり、すべてのアプリケーションを終了させた状態でシステムを再起動すると、/var以下にある不要な一時ファイルをおよそ整理できるのだ。種明かしをすると肩透かしされた気持ちになるかもしれないが、/varディレクトリを整理整頓するもっとも安全かつ分かりやすい解決策といえる。

すべてのアプリケーションを終了してシステムを再起動しただけで、ディスク全体の4%(約5GB)もの空き領域が復活した


前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

ASCII.jp RSS2.0 配信中