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「ふるさとテレワーク」は地方を救うか!?第2回

邪魔なのは「本社」という格差概念

テレワークで加速!会津若松で急成長する「データ分析産業」

2016年03月04日 06時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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邪魔な「本社・支店」という格差概念

 まず課題として挙げたのは、古民家改修型サテライトオフィスのセキュリティ問題である。

 「古民家再生は聞こえもいいし、折角の田舎なのだから小綺麗なビルよりも趣きがあっていいのだが、セキュリティはボロボロ。我々のように情報を扱う企業だと、セキュリティ対策にコストがかかる」(中村氏)

 実際、古民家サテライトオフィスには「セキュリティが作動しました。直ちに退出してください」というシステムが導入されていた。さらに復数の企業が共用する場合は「内部の仕切り」にも気を配る必要があるし、スプリンクラーなどの消防法をクリアする必要もある。従って「古民家を再生する場合は、オフィス利用するための設備について最初から予算化しておくこと」と指摘している。

セキュリティ対策にコストがかかる

 ただ、どちらかというとそれは些細な問題だ。「ふるさとテレワークという考え方そのものの実現可能性はどうか?」という質問には、もう少し根が深そうな回答もあった。

 「地方創生という意味では、自治体もこれまでにない発想で、個性を出そうと努力しており、流れとして間違っていない。大成功と言ってもいいくらいだ。問題はこの流れにどれだけ企業が乗っかるか。例えば、本社機能の5%以上を地方に移した企業は3年間にわたって税制優遇が受けられる制度(改正地域再生法)もあるが、試算すると大企業でも9000万円ほどの優遇にしかならず、これが理由で企業が次々と動くとは思えない。そういうことじゃなくて、地方がどう創生するのかきちんと方針を描いて、企業に提示する必要があるだろう」(中村氏)

 また、日本企業の体質にも課題がある。

 「東北復興に取り組んでいるのは、ほとんどが外資系。もちろんコマツさんのように積極的な企業もあるが、日本企業は率先する姿勢(自立性)にまだまだ乏しい感がある。また、公務員にキャリア・ノンキャリアがあるように、企業にも本社・支社という概念があって、給与格差があったりもする。地方へ出向=左遷というイメージがあるようでは、地方への流れも本格化しないだろう」(同氏)

 中村氏は「ふるさとテレワークという考え方を推進するためには、労務制度や人事評価制度を変えていくことが必要だ」と話す。「本社・支社」という格差概念は日本全体で考えるべき課題だろう。会津若松市で「データ分析産業」が立ち上がるような明るい兆しがある中、この課題にどう取り組んでいけるか。「ふるさとテレワーク」を成功に導くための本質的な要素が、ここに1つ、隠されているような気がした。  

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