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『角川インターネット講座』(全15巻)応援企画 ― 第16回

「角川インターネット講座 THE SALON」特別企画

日本人が知らないネットの常識をKADOKAWA角川歴彦会長と村井純教授が語る

2016年02月25日 09時00分更新

文● 盛田 諒 編集●ASCII.jp

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角川インターネット講座の各巻監修者によるリアル講座「THE SALON」。その最終回には第1巻監修者であり、日本インターネットの父と称される村井純教授が登壇。また、後半では角川会長とIoTについて深く議論を交わした

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リアル講座「角川インターネット講座 THE SALON」に
角川会長と村井純教授が登壇

 ビッグデータ、IoT(Internet of Things)、人工知能──来るべき新たなテクノロジーが経済にどんな影響を与えるのか、日本はそこにどう対抗すべきなのか。この問題を自分の言葉で話せる経営者が、はたしてこの国にどれだけいるだろう。

 インターネットがテレビ・ラジオ・新聞・雑誌に代わるメディアとしての役割を果たしたのが情報経済の前哨戦とすれば、全産業が「通信化」する未来に待つのはまさに決死戦。「iPhone」というたった1つの発明に世界中のメーカーが苦しめられたように、あらゆる企業が新たな支配者と戦うようになる姿は想像にかたくない。

 そんな情報時代を生き抜くためには、通信技術にまつわる正確な知識が必須だが、残念ながら日本にはインターネットの基本的な歴史を体系的に学べる機会がない。昨年10月に無事完結した『角川インターネット講座』は、まさにその点を憂う角川歴彦会長が自ら発案したシリーズ書籍である。

 まつもとゆきひろ、川上量生、近藤淳也、東浩紀、三木谷浩史、土屋大洋(以上敬称略)ほか、アカデミー・経済界両面から専門家たちを監修に迎えた全15巻。編集協力は国内テクノロジー研究の雄である角川アスキー総合研究所。角川会長は「これだけの内容はほかの出版社には作れないはずだ」と胸を張る。

 刊行と並行する形で開催されていたリアル講座「角川インターネット講座 THE SALON」では、2月12日には講座最終回として、角川会長が「インターネットの父」の異名を持つ慶應義塾大学環境情報学部の村井純教授と語り合った。

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35万円が1円以下になった

 村井教授曰く、最近ビジネスになっているインターネットは「氷山の一角」にすぎないという。「インターネット構築をやったときは『明るいところ』があるとは思わず、ずっと深いところ(氷山の下)ばっかりをやってきた」

 村井教授が示した「氷山の下」とはWi-Fi(無線)、TCP/IP、WWW、API(アプリケーション)などの通信インフラ技術。国際電気通信連合などがこうした技術を標準化したことで、アップル、グーグルを初めとするIT企業が「氷山の上」で、アプリ、サービス、そして「データ」を使ったビジネスをできるようになった。

インターネットを氷山にたとえ、「見えている部分はごく一部である」と村井教授は語る

 おかげでウェブの基礎が構築され、インターネットが普及したのが1990年代。Windows 95の普及とともに「ヤフー1株1億円」のITバブルが訪れ、市況は沸いた。「かつて知り合いはインターネットのビジネスに関わって、たくさん給料をもらった。わたしだけが大学に残って、いまだに大学教授としての給料しかもらっていない」と村井教授は苦笑する。

 その後に訪れたのはセキュリティーの時代。きっかけは9.11だ。テロ対策などを名目として政府がインターネットに監視の目を光らせるようになった。インターネットが始まったばかりのころは想像もしていなかった未来だ。

 その後にスマートフォンがあらわれてからはまさに「氷山の上」の世界。インターネットを使うことが当たり前になり、ついにデバイスやセンサーといった「モノ」がインターネットにつながる時代が訪れようとしている。

通信技術の進化において大事なのは「コストダウン」

 たとえば人工知能なら1980年代に当時の通産省が立ち上げた「第五世代コンピューター」プロジェクト。「並列コンピューター」という巨大なコンピューター群開発に巨額を投じていたが、いまは当時をはるかに上回る性能を持つコンピューター基板(GPU)が、ゲームを遊ぶためのPCで動いている。

 センサーも同じだ。かつて村井教授はトラックを縦列状に連結させて自動運転の実験をしたことがあった。位置情報をとるため衛星情報を測定するGPSを使ったが、当時はモジュール1個で35万円。それはいまではスマートフォンほぼすべてがGPS機能を搭載しており、モジュール1個1円以下。じつに35万分の1以下になったわけだ。

 「実験段階の技術はものすごく高い。ところが普及するとタダになる」と村井教授は舌を巻く。そしてもうひとつ大事なのは技術を自由に実験するための「特区」だ。

写真はGPS実験当時の村井教授

 村井教授が振り返ったのは32年前。電電公社がNTTに変わる直前、OKI(沖電気工業)が開発したばかりの試作機を使って、音声をデジタルデータに変換する実験を行なった。まさに日本でもインターネットが産声を上げた歴史的瞬間だ。しかし、「当時は特区制度なんてなく、隠れてやっていた」という。

 新技術は開発だけで終わらない。特区での実験、協会による標準化、普及によるコストダウン、その技術の恩恵によって社会が変化し、権利も発生する。その変化を受け止めるべく、政府や企業が諸々の対応を余儀なくされる……。通信技術は大きく上記の流れで普及するもので、その大元には巨大な「氷山の下」が横たわっているのだ。

 そうした基礎をふまえた上、議論は角川会長をまじえて「IoT」時代の話に及ぶ。

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