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Windows Info 第60回

いまだ開発が続いているWindows 10 Mobileの現状を整理

2016年02月19日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII.jp

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Phone UpdateとWindows Updateで違いがある

 Windows 10 MobileとDesktopの大きな違いとしてWindows Updateがある。Windows 10 Mobileでは、実際には、Windows Updateではなく「Phone Update」という機能によりシステムを更新している。現在のところ、Desktop版のようにファイル単位でのアップデートができず、Phone Updateでシステム領域(PC風にいえばシステムパーティション)をまとめて更新している。

 現在のDesktop版向けの「Windows 10 バージョン1511の累積的な更新(Cumulative Update)」と同等なものが、Phone Updateに対して配布され、Phone Updateでは、これをシステム領域へ書き込む。

 この作業は、Windows 10 Mobile自体を完全に停止した状態で行う必要がある。というのもスマートフォンの場合、ストレージが小さく、作業用に利用できる領域があまり大きく取れないからだ。

 Microosft LumiaのFAQでは、Phone Updateでは1.5GBほどストレージに空き領域が必要とされている。また、アップデートには、場合によっては、無線部分のファームウェア(Radio softwareなどと呼ばれる)更新なども含まれるため、かならずOTA(Over The Air。無線通信でアップデートを入手してアップデートやインストールを行うこと)になる。ファイルとして無線部分のファームウェアへのアクセスを避けるためだ。

 ちなみに現在のWindows 10 mobileは、PCと接続してのアップデートは利用できない。現状では更新用のイメージをストレージに保存したら、Windows 10 Mobileを完全に止めて、ファイルを書き換えることしかできない。また、更新中はユーザーが利用できないことから、あまり高い頻度で更新を行うと使い勝手が悪くなってしまう。

 すでにWindows 10 Mobileを搭載した製品は出荷されてしまっているため、セキュリティ関連のアップデートはなるべく短時間で行なう必要がある。その妥協策として「累積アップデート」を作って配布している。実際のところ、TH2以降でWindows 10 Desktopに対して行われた「累積アップデート」では、ビルド番号の小数点以下の部分が上がっていったのだが、Windows 10 Mobileには、同じビルド番号にアップデートするInsider Preview 10586用の「累積アップデート」が配布されている。

Windows Insider Preview 10586.71にアップデートした製品。端末ではInsider Previewの表記はない

 もっともこれは過渡的な対応で、マイクロソフトの社内では、毎日のようにビルドが作られ、更新されていっていると考えられる。実際、Windows 10 DesktopのRS1のInsider Previewでは、ビルド番号の整数部が更新されている。すでに製品として世間に出回ってしまっているため、Preview版ではビルド全体の配布は停止し、開発中のコードをビルド10586に反映させ、セキュリティ上必要なアップデートを組み合わせて配布しているのだと思われる。

 このような対応になるのは、すでにWindows 10 DesktopとMobileが同一のコードベースになっているからで、Mobile用のビルドだけを更新していくわけにはいかないからだと思われる。なお、マイクロソフトのブログによれば、Windows 10 Mobile向けの10586.71では、「Windows Phone 8.1からのアップグレードを改善」や「セルラーデータ通信がオフの場合にアプリ内購入が動作するようになった」といった項目があり、当面、Windows 10 Mobileの開発は続く感じがある。

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