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日本IBMとソフトバンクが共同展開、国内の「コグニティブビジネス」推進目指す

国内採用事例も次々に、日本語対応の「IBM Watson」提供開始

2016年02月19日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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ソフトバンク自身も6つのWatson活用社内プロジェクトを進行中

 日本IBMとソフトバンクでは昨年(2015年)2月、日本市場におけるWatsonの開発と市場展開について戦略的提携を開始し、その後1年間をかけてサービス開発とセールスを共同で展開してきた。

IBM Watsonに関するこれまでのロードマップ。日本IBMでは昨年7月にワトソン事業部を設立した

 日本IBM 代表取締役社長のポール与那嶺氏は「今回の発表タイミングは『パーフェクト』ではないか」と語り、Watsonビジネス拡大への自信を覗かせた。 ビジネスにおけるデータ活用が日本企業の大きな課題となっており、膨大なデータを理解/推論/推薦/学習する「コグニティブコンピューティング」の能力が必要とされているからだ。

 実際に、両社はすでに150件を超える大手顧客からの引き合いを受けており、うち十数社では事業可能性アセスメント(CVA:Cognitive Value Assesment)も開始している段階だという。ソフトバンク 代表取締役社長兼CEOの宮内謙氏も、「わたしもIT営業の経験は長いが、これだけ引き合いが来るのは初めてだ」と期待を語る。

すでに国内で150社以上がWatson導入を検討しているという

 宮内氏は、IBMと共にWatosonの取り組みを進めてきたこの1年間を「あっという間だったが、こんなにワクワクする1年はなかった」と振り返った。今年1月には人型ロボット「Pepper」向けWatsonも発表されているが、適用領域は当然、Pepperだけではない。

 ソフトバンク自身でも、すでに6件の社内向けプロジェクトがスタートしているという。発表会ではその1つとして、法人営業スタッフやショップ店員などを支援する「ソフトバンクブレーン」が紹介された。

 「当社の取り扱い商品/プラン数は2500以上に及び、それぞれの社内問い合わせ先もバラバラ。ソフトバンクブレーンでは、Watsonが社内の膨大なナレッジやドキュメントを学習し、自然言語で質問すれば回答候補を提示する」(ソフトバンク 専務取締役 法人事業統括 統括担当 榛葉淳氏)

「ソフトバンクブレーン」を通じて、将来的には顧客提案のナレッジ共有、社内申請フローの効率化なども実現していく計画(写真はコンセプトビデオより)

グローバルではすでに100社以上の実績、パートナーも400社以上

 米IBMでWatsonビジネス開発担当SVを務めるマイク・ローディン氏は、グローバルでのWatsonビジネスは「オンスケジュールで(予定どおりに)成長している」と語った。API数は30以上に増え、すでに36カ国、29業界の100社以上がWatsonを活用しており、8万人以上の開発者がWatsonにかかわっているという。

グローバルでのWatsonの実績。すでに100社以上の顧客と、400社以上のエコシステムパートナーを持つという

 ローディン氏は、データ生成量の増大によってあらゆる国、あらゆる産業で「情報革命」が起きている一方で、もはや人間のみではデータの増大に追いつけず、データから情報を、情報から知識を得るための自動化された「情報サプライチェーン」として、Watsonプラットフォームが必要とされていることを説明した。

Watsonによって、膨大なデータから情報を取り出し、さらにそれを知識化する自動化された「情報サプライチェーン」を実現できる、とローディン氏

 なお日本IBM 与那嶺氏は、IBMが展開するコグニティブコンピューティング関連のサービス/製品について、「Watsonはあくまで第一弾」だと述べた。今後さらに、コグニティブ関連のソリューション、ツールを発信していくとしている。

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