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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第103回

シリコンバレーを魅了するチームラボの未来のアート

2016年02月17日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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お気に入りの作品は、子ども向けのコーナーに

 チームラボの作品は、プログラムによって生成される、有機的なものの再現、という非常に心地よいパターンを帯びて、理路整然と展開されているところがあります。表示技術の可能性に敏感であり、しかし自分たちの表現手法を守る。美の追究に、戦略を感じる点に、ついついニヤリとさせられるのです。

 こうした大人の展示に加えて、「Future Parks」と呼ばれる別棟での展示は、思い切り子ども向けに振られた展示が楽しめました。ここでは、落ちてくるトンパ文字をタッチするとその文字が意味するものが大きく現れる「Story of the Time When Gods were Everywhere」は、イマジネーションが拡がる瞬間を分かりやすく認識できるような感覚でした。

Story of the Time When Gods were Everywhere

 また自分が書いた絵をスキャンして、壁一杯の画面の中に読み込ませることができる「Sketch Town」「Sketch Aquarium」は、デジタルのおもちゃを自分で作る楽しさと、他の友達と画面を共有して楽しめる点で、おもちゃが散乱している公園の砂場よりも平和で創造性の高い遊び場を作り出していました。

Sketch Townと、Sketch Aquariumに読み込ませるためのスキャナー

 こうした展示には、小さな子どもがいるテクノロジー企業の社長夫人の中には毎日通う人がいるほどの気に入りようだそうです。

 ギャラリーが少なかったテクノロジーの聖地に、大きなインパクトを与えつつあるチームラボ。展示は7月1日までで、ギャラリーにしては珍しい、チケット制という点も、“科学館へ遊びに行く”感覚を作り出しているように見えます。特に子どもを持つ親のために、会期中何回でも来られるパスを作ることも検討しているそうです。

 今後、テクノロジー企業を訪問したら、チームラボの作品が常設されている場面に巡り会うこともあるのではないか、と期待しています。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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