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マイクロソフト・トゥディ 第180回

34万4800円の製品に予約殺到!? 「Surface Book」は新旋風を巻き起こすのか

2016年02月11日 10時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉

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クリエイター、ハイアマチュア層をターゲットとする「Surface Book」

 これに対して、「究極の1台」というシンプルなメッセージを打ち出すSurface Bookは、さらに異なる市場がターゲットとなる。

 日本マイクロソフトが、Surface Bookでターゲットとしている市場のひとつが、クリエイターである。プロの写真家だけでなく、総額で100万円規模のカメラやレンズを持ち、写真を趣味とするハイアマチュア層もターゲットのひとつ。写真を撮影し、出先で編集をするといった用途に、Surface Bookを活用してもらう考えだ。

 さらに、CGクリエイターや、企業においてCADを利用するようなユーザーもターゲットになるという。「Surface bookでは、Surfaceシリーズで最も大きな13.5型のMicrosoft PixelSenseディスプレイを採用。画素数は、3000×2000ピクセル(約600万画素)と、Surfaceシリーズで最も高い解像度を実現し、画素密度は約267ppiを実現している。

 しかも、このMicrosoft PixelSenseディスプレイは、1800:1 のコントラスト比、そしてsRGBを100%カバーする色再現性を実現している。これまでのSurfaceシリーズでは、コントラスト比はうたってこなかったが、Surface Bookでは、デザイナーがターゲットとなるため、初めて明記した」という。

 さらに、出荷時にはキャリブレーションを行ない、鮮明に映し出すことを狙ったチューニングを施しているという。

 CPUとしてはインテルの第6世代Core i5とCore i7を採用。GPU搭載モデルでは、1GB GDDR5搭載のNVIDIA GeForce graphicsプロセッサを搭載している。「これは、マイクロソフトとNVIDIAが共同開発したカスタムGPUであり、GPUにはモデル名がない」という専用仕様だ。

 それでいて、最大12時間のバッテリー駆動を実現。モバイルユースにも適している。

 またユーザーの8割は、クラムシェル型の「ノートPC」として利用すると想定されているほか、「クリップボード」と呼ぶ本体(ディスプレー部)を取り外してタブレットとして使用する「ポータブル・クリップボード」、そして、ディスプレイを反対向きに取り付けて使う「クリエイティブ・キャンバス」が可能だ。

「クリップボード」と呼ぶ本体(ディスプレー部)を取り外してタブレットとして使用する「ポータブル・クリップボード」

ディスプレイを反対向きに取り付けて使う「クリエイティブ・キャンバス」

 タブレットとしての使用スタイルを「ポータブル・クリップボード」としているのは、マイクロソフトのこだわりのひとつだ。「ポータブル・クリップボード」では、A4サイズの本体にペンで入力するという使い方になるが、これはまさにアンケート用紙やメモなどを挟んでペンで書く際に下敷きとして利用する“クリップボード”と同じ。紙にペンで書くというスタイルの再現にこだわったことが、この名前につながっている。最新の「Surface ペン」は、1024段階の筆圧検知と低いレイテンシーを実現し、究極の書き心地を提供するという。

 ちなみに、Surface Book上でGPUを利用するソフトが動作中にクリップボードとキーボードを分離しようとすると、該当するプログラムを閉じるように通知する。そのプログラムを閉じない限り、クリップボードは外すことができないようコントロールしている。

クリップボードとキーボードの分離は、キーボード上のキーを押すことでも行なえる

Surface Book上でGPUを利用するソフトが動作中にクリップボードとキーボードを分離しようとすると、該当するプログラムを閉じるように通知する

 そして、新たなヒンジも特徴だ。大きな投資を行なったというこのヒンジ部は「Dynamic Fulcrum Hinge」(ダイナミックフルクロムヒンジ)と呼ばれ、ノートPCのように閉じたときには隙間ができるというユニークな構造。そして、もともと本体側にCPUとメモリーを搭載しているため、頭の方が重くなるという構造ながらも、片手でスムーズに開くのは驚きだ。

「Dynamic Fulcrum Hinge」(ダイナミックフルクロムヒンジ)。ノートPCのように閉じたときには隙間ができるというユニークな構造

 2 in 1ノートの多くは、これを解決するために、キーボード側を重くするという方法をとったり、多くの場合には、開く際にキーボード側を片手で押えながらディスプレー部を持ち上げるというスタイルになる。しかし、Surface Bookはそうしたことがない。ここにも新開発のヒンジの効果があるという。

最上位モデルの予約が最も多かった

 日本マイクロソフトでは、2月4日の発売まで予約販売を行なっていたが、「予約時点で、予想以上の売れ行きをみせた」という。なかでも、最上位モデルとなる第6世代Intel Core i7搭載/16 GBメモリー搭載のGPUモデルの売れ行きが圧倒的だったという。Officeを搭載したコンシューマ向けモデルながら、直販価格34万4800円(税別)という製品が最も売れているというのだから驚きだ。直販サイトのマイクロソフトストアでも、最上位モデルは一時的に売り切れになったという。

発売までに予約販売を行なっていたが、「予約時点で、予想以上の売れ行きをみせた」という。なかでも、最上位モデルの売れ行きが圧倒的だったという。直販価格34万4800円(税別)という製品が最も売れているというのだから驚きだ

 「建築関連の仕事をしている人が、パワフルなグラフィックパワーを持ち歩けるノートPCが欲しいという理由で購入していく、といった声を聞いている」という。

 Surface Bookを展示販売しているのは、全国で125店舗。Surface Bookシリーズ全体の取扱店の数に比べて、10分の1以下と店舗数に絞り込んだ販売手法としており、しっかりと説明した上で販売できる体制を整えている。

 最初の出足の状況は予想以上というのが、日本マイクロソフトの見解。では、次のステップとなる年度末需要や進入学需要を迎える今年春の商戦ではどんな売れ行きをみせるのか。そして、Surface Bookは、新たな旋風を巻き起こせるのだろうか。これからの動きが楽しみだ。


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