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楽器はメディア、だとするならNAMMで登場したシンセが音楽を変える可能性はある

今年発表のシンセは最高だし音楽の未来を考えざるを得ない

2016年02月13日 12時00分更新

文● 四本淑三

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 自宅から一歩も出ることなく、YouTubeに上がってくるデモやインタビュー動画を見聞きしつつ、たまにメールで事実関係を確認しながら展開されるNAMMショーレポも大詰めを迎えております。今回はシンセ。

 昨年は「アナログ大復刻祭」とでも言える状況で、上はモーグやオーバーハイム、下は、まあ下は、名前を出すと差し障りがあるのでご想像にお任せしますが、あちこちから怒られそうなことを具体的に思ったりしたけれど書けなかったものです。

 要するにシンセマニアというのはいつの時代も一定の人数しかいないという説があり、ならば限られたマーケットに対するアプローチとして紙ジャケリマスターボックスセット的なむしり取る展開になっても仕方はないが、新しいユーザーを育てないと高齢化とともにこのジャンルも終わるぞ、という感慨はグツグツときていたわけです。

 しかしながら、そうした昨年の状況は、ここ10年ほどの流れを回収する動きでもあったのかもしれません。今年の製品群を見ていると、一周回って各々の方向へ分岐を始めた感があります。つまり、すごくおもしろいです。

ヤマハの旗艦にFM音源復活「MONTAGE」

MONTAGE6

 ヤマハの「MONTAGE」シリーズは、同社の新たな旗艦シンセとして登場しました。NAMMショー期間中は「Coming soon」ということでしたが、先日国内で発表会があり、製品の詳細が発表されています。

 MONTAGEのシンセエンジンは、ヤマハのPCM音源としておなじみの「AWM2」に、8オペレーター/88アルゴリズムのFM音源「FM-X」を積んだ、128音ポリフォニックの超弩級ハイブリッド仕様。AWM2とFMを載んだハイブリッドシンセということでは、往年の「SY77」の再来とも言えます。プリセット波形は5GB、16トラックシーケンサー内蔵で、16パートのマルチティンバー音源としても使えます。

 ハードウェアシンセということで重点はコントロール系にあり、複数のソースやパラメーターを絡めた音の連続変化を実現するシステム「Motion Control」と、それを象徴するコントローラーたる「Super Knob」が要のようです。スクリーンは当然のようにタッチパネル式。この公式デモビデオを見ると、この新しい操作系の威力がうかがえます。

 いやー、これはヤバいですね。ライブのマスターキーボードにもってこいなのでは。MONTAGEには鍵盤の数と仕様の違いで3バリエーション。61鍵の「MONTAGE6」と76鍵の「MONTAGE7」にはFSX鍵盤、88鍵の「MONTAGE8」はピアノタイプのBH鍵盤。それぞれ5月2日発売予定で、国内価格はオープンプライス。ヤマハのUSサイトでは、それぞれ3499ドル、3999ドル、4499ドルという価格が付いているので、国内では40万円台からスタートというところでしょうか。

 昨年は「Reface DX」で久々に本家解釈のFMシンセを見せていただき、かなりグッと来て財布の紐が緩みかけたわけですが、今回は一転して大艦巨砲化したため、やや遠くへ行ってしまった感はあります。ですが、コルグも「volca FM」を出品していましたし、FM音源は21世紀になって復活を果たすのでしょうか。

MONTAGE7

MONTAGE8

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