今回のことば
「リソースをより多くかけているのは鴻海精密工業の方である。ただ、これは優先交渉権を持つとか、優位性があるというわけではない。真摯に、精緻に、公平性、透明性を持って、内容を吟味している段階」(シャープ・高橋興三社長)
3500人の人員削減も、黒字化に黄色信号
シャープは、2015年度第3四半期連結業績発表の席上、同社・高橋興三社長が、経営再建に向けた支援先として、官民ファンドの産業革新機構と、台湾EMS(電子機器受託生産サービス)大手の鴻海精密工業の2社に絞り込んだ検討を行なっていることを明らかにする一方で、「現在、リソースをより多くかけているのは鴻海精密工業の方である」とし、鴻海側の支援策の検討を重視している姿勢を示した。
高橋社長は、「これまで複数社と検討してきたが、いまは産業革新機構および鴻海精密工業の2社に絞り込んだ検討を行なっている。今後1ヵ月をめどに、最終的な締結ができるように協議を進めていく」とした。さらに、「1ヵ月というのは、相手がシャープを精査し、その提案をシャープが検証する期間。決断力がないといわれるが、それについては、それぞれの人が持つ意見であり、反論はしない」などと述べた。
シャープは、2014年度に2223億円の最終赤字を計上。2015年5月には2017年度を最終年度とする中期経営計画を発表し、国内3500人規模の人員削減などを盛り込む一方、2015年度の通期連結業績見通しでは、800億円の営業黒字を目指していた。だが、上期に836億円の最終赤字を計上し、2015年10月に100億円の営業黒字に下方修正。さらに、今回の第3四半期決算では、通期見通しを据え置き、最終黒字の旗は降ろさなかったが、第3四半期累計の最終赤字は1083億円の赤字に膨れ上がっており、黒字化にイエローシグナルが灯っているのは明らかだ。
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