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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第13回

LINE?Facebook?漏洩しない情報伝達 SNSのセキュリティのスペックとは?

2016年02月09日 17時00分更新

文● 前田知洋

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 LINEやFacebookのメッセンジャーなど、コミュニケーション・アプリによるスキャンダルが世間を騒がせています。特に、週刊誌が2度にわたって公開した、女性アイドルとミュージシャンの不倫疑惑のLINEのログ。内容も刺激的ですが、ユーザー…特にIT関係者は「なぜログが流出?」と原因究明が別トピックになるほどの注目度です。

 たしかに「明日はわが身」という心配もあるのかもしれませんが、アプリにセキュリティ上の欠陥があれば大変です。LINEを運営するLINE株式会社は、1月22日に「やり取りの内容が第三者に渡ることはありません」と公式にコメントするハメになりました。

 これは僕の実感なのですが、芸能界や政治の世界でも、若くて「友人知人と遊ぶの大好き!」という世代には、そんなコミュニケーションツールの使用者が多い気がします。逆に、社会的地位があってスキャンダルにリスキーなポジションの人々は、アカウントすら持ってません。

 とある番組の収録の合間に、出演者同士で、SNSの話題になったこともあります。想像の通り、芸能界では一般社会よりも利用者はやや低め。おそらく、所属事務所からの強い要望があるのかもしれませんが…。

 特に、誘うより誘われることが多い人は、誘いのハードルを上げるため(気軽に誘われないため)にアカウントを持ってないことがほとんど。毎晩、たくさん来る誘いを断るのも、またひと苦労なのでしょう。しかし、ある意味、スキャンダルの原因になりそうなリスクに対する賢い選択でもあります。使わなければ、ログが残らないわけですから…。

増えてきた、SNS経由のコミュニケーション

 どちらかというと、筆者も誘われるのが苦手なタイプ。世界中を駆け回ったせいか、休日は家に引きこもって猫と過ごしたり、家のメンテナンス(大工仕事)をするのが至福の時間。つい先日までは、武道の稽古にハマっていました。仕事とは違い、内向的な生活です。

 それでも、筆者のことを誘ってくれる友人もいるのですが、最近の誘いは電話ではなく、SNS経由のメッセージがほとんど。おそらく、メールや電話よりも気軽なイメージなのかもしれません。ただ、僕はSNSにしょっちゅうログインしているわけでもないので、うっかり誘いを見逃すこともよくあります。メッセンジャーでは、謝ってばかりです(汗)。

設定を頑張っても、漏れる可能性

 週刊誌で報道されるようなログ流出があると、ITニュースサイトでは「設定を見直そう」という記事が多く出ます。もちろん、設定をデフォルトのまま放置するのも危険ですが、設定を厳しく管理しても、絶対に漏れないわけではありません。寝ている間に指紋承認され、画面を(スクリーンショットではなく)別のデバイスで撮影されてしまえば同じこと。今回の騒動は、機種変した旧スマホをPCからバックアップしたことによる漏洩だと、筆者は邪推しています。

情報漏洩させない秘訣は、書かない、言わない、やらないこと

 古いジョーク、「絶対に嘘がバレない秘訣は、嘘をつかないこと」。もしかしたら、ジョークというよりも真理なのかもしれません。筆者の仕事のマジックでも「不思議な現象をできるだけ少なくする」がタネを明かされないポイントです。つまり、3つのウソよりも1つのウソなら、リスクは1/3になるからです。

 ハードウェアなどの設定を管理するより、本格的にソシアル・エンジニアリングに注意する時代になってきました。「アプリの設定がデフォルト」「パスワードが4桁」などを避けるのはもちろんですが、「携帯をテーブルなどに置きっぱなしにしない」「機種変更したら、旧機は破棄」など、人間の行動の隙やミスにつけこまれないようにする。そんな行動管理が、益々重要になってきました。携帯電話用金庫などが売れるようになるかも。

 恋愛など、感情の衝動を止めるのは難しいのかもしれません。しかし、ソシアル・エンジニアリングへの対抗策は、「書かない」「言わない」「やらない」が一番確実です。

「裸の写真を送って」と言われたら…

 英国のHUFFIESTに面白い記事を見つけました。

 チャット中、男性から「裸の写真を送ってくれない」と不謹慎なリクエスト。それに対して、女性の機転のきいた対処法です。下の画像は、日本語で筆者が再現したもの。

 なぜか、女性は、男性のリクエストに気軽に応じますが、なかなか画像がダウンロードされません。

 さらに、女性は、別の画像を送りますが、これもダウンロードできない。電波事情が悪いのでしょうか…。

 男性はガッカリして、明日にでも携帯を買い換えるかもしれません。タネを明かすと、女性が送ったのは「LOADING...」と書かれたカラの画像でした(笑)。まさに、英国らしいウィットに富んだアイディア。これもひとつのソシアル・エンジニアリングな対応かもしれません。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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