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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第100回

雪だるまを作りながら、Facebookの新機能「リアクション」を考える

2016年01月20日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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では雪だるまの写真には、どんなリアクションが妥当か?

 個人的には、FacebookよりもInstagramの「いいね」を拡張した方が楽しめるのではないかと思います。ユーザーはすでにコメント欄に絵文字を多用することで、写真に対してノンバーバルなリアクションを返す、というコミュニケーションが成立しているように思います。

 Facebookにリアクションが合わないのではないか、と考える理由は、テキストの投稿やリンクのシェアにリアクションを返す時、何に対してのリアクションだかが分からないからです。

 たとえば筆者が雪だるまの写真をFacebookにアップしたとします。これに対して、「いいね」「超いいね」「すごいね」という反応は、ポジティブなモノとして受け止めることができます。

 ただ、「うけるね」「悲しいね」という反応は、その雪だるまのデキが悪くてうけたり悲しいと言われているのか、雪で通勤が大変だ、ということに対して悲しいと言われているのかは定かではありません。また、「ひどいね」という反応については、東京での降雪が面倒だという反応なのか、この程度の雪ではしゃぐなという反応なのか分かりません。

情報量の増減と、あいまいさの増減

 なんとなく雰囲気で察する程度のことはできても、送る方も受け取る方にも、明確な意思表示にはならない。これがリアクションの登場によって、より気を遣わなければならなくなりそうだという心配事でもあります。

 Twitterは言葉足らずで問題が起きやすく、ツイートの文字数制限でコミュニケーションの断絶が起きているとの懸念から、1万文字へ制限を緩和するのかどうか、という議論があります。情報量を増やすことで、情報そのものや意図が明確になるなら、プラスに働くかもしれません。

 一方Facebookのリアクションは、クリック1つ、タップ1つで返せる反応が多様になって、一見情報量が増えるように見えますが、その裏の意図を汲もうとすると、むしろ情報や意図はあいまいになっています。

 今まで通りの「いいね」を返すとしても、7種類のリアクションの中からあえて「いいね」を「選んだ」と受け取られれば、なぜ他のリアクションじゃないのか、という憶測を呼ぶことになり、一言でいえば面倒さは増大しているのです。

 とはいえ、国によって、文化によって、こうした言葉や反応がどのように受容され、また方言のように特殊な意味合いを帯びていくか、という点にも興味があります。ほかに欲しいリアクションの是非も含めて、考えてみると面白いでしょう。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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