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飯田橋クラウドクラブ(略称:イイクラ) ― 第19回

「リアルイイクラ2015年納会」のIT記者パネルは異論・反論の応酬!

ITmedia三木、ライター五味、ASCII大谷が本音で語った2015年のIT

2016年01月19日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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昨年の12月22日にKADOKAWAの市ヶ谷オフィスで開催された「リアルイイクラ2015年納会」の第一部では、アイティメディアの三木泉さん、フリーライターの五味明子さん、そしてASCIIの大谷イビサ(以下、オオタニ)という3人の記者が2015年のIT業界を振り返った。

OpenStackの導入でクラウドイネーブルを目指す

 今回、記者座談会にゲストとして登壇したのは、アイティメディア エグゼクティブエディターの三木泉さんと、ITmediaやImpress Watch、技術評論社、紙媒体の月刊「事業構想」などで健筆を振るうフリーライターの五味明子さんの2人だ。オオタニ含めて3人は、海外のイベントでいっしょになることが多く、会期中は朝から夜まで同じ釜の飯を食べる仲。「AWS re:Inventでは基調講演の会場にカメラ忘れた」(三木さん)といったトラブルも、記者同士の助け合いで解決することが多く、オオタニからのイイクラ納会の依頼も快諾をいただいたという経緯だ。

 オオタニは2015年振り返りのネタとして、特に読まれた二人の記事を挙げる。まず挙げたのは、社内システムを全面的にOpenStackに移行するという富士通のプロジェクトを追った以下の記事。その後同社が発表したFUJITSU Cloud Service K5にもつながった。

 ここでのインパクトは、基幹システムを含めて全ての既存の業務システムを、クラウド化する取り組みだということ。「OpenStackといえば、クラウドと同義で、『新しいアプリケーション』のプラットフォームとして考えられている。でも、富士通は基幹系まで含めて、すべてをクラウドネイティブなものに作り替え、そこでシステムインテグレーションのビジネスを展開すると言っている。例外なくすべてのアプリケーションがクラウド化する将来に、自社のITビジネスの将来を賭けているということだ」と三木さんは指摘する。

アイティメディア エグゼクティブエディターの三木泉さん

 一方、五味さんはブームとしてのOpenStackの波は終わったのではないかと語る。「OpenStackは日本である程度主導権が握れている分野なので、(グローバルでどうか考えるには)割り引いて考える必要がある。昨年、Gigaom Structureという米国の著名なクラウドイベントではOpenStackという用語を一言も聞かなかったのが印象的だった」(五味さん)。これに対して、三木さんは「OpenStackはサービスでも、ソリューションでもなく、技術であるため、主役にはならない。Gigaom StructureはそうそうたるITベンダーが出てくるイベントだけど、そこで話題にならなくてもまったく不思議じゃない」と反論する。

「Enablement」で日本のIT部門は変わるのか?

 続いてオオタニが読まれた記事として挙げたのは、マイクロソフトの「de:code 2015」でのトヨタCIOの講演。ともすれば現場部門の下請けになりがちなIT部門に所属しながら、ITイニシアティブを経営陣に訴え続けてきた友山CIOのメッセージは、IT部門の人たちの胸に響く。

 しかし、三木さんは「IT部門は一般的には経営変革のイニシアティブをとれないですよ。経営変革はやはり経営者の仕事」と冷や水を浴びせる。その上で、三木さんは「ただ、変化の芽を拾うことはできる。新しいこと、儲けるための施策は今後、事業部門から出てくる。だから、IT部門は事業部門の意向を、どの程度積極的にくみ取れるかが重要。単純にIT部門から事業部門に主導権が移るという話ではない」と語り、BMWによるOpenStack導入プロジェクトの記事を披露する。

 BMWのOpenStackプロジェクトは、社内に宣伝しているわけでもないのに、「なんだか面白いことやってるじゃないか」とユーザーが寄ってくるという。「これまでIT部門はクラウドサービスをシャドーITだと思ってきたかもしれないが、これを自らやってみる。または、事業部門によるクラウドサービスの利用に積極的に関与するということでもいいが、どちらにしてもそこから事業部門をIT面でどう支援できるかが見えやすくなってくる」と三木さんは指摘する。

 三木さんは2015年のキーワードとして「今までやれなかったことが、やれるようになる」を意味する「Enablement」を挙げる。三木さんは「クラウドサービスは典型的ですが、それ以外にもビジネスをする人たちのための様々なITツールが現実味を帯びてきた。たとえば、セルフサービスBIツールを使った現場でのデータ分析が可能になっている」と一例を挙げる。

 とはいえ、このEnablementについても、日米で大きな差が生じそうだ。米国での動向に詳しい五味さんは、「自分でSQLクエリを書いて分析までできるビジネスユーザが多い米国と、Excelで何でもやろうとする日本とでは3年くらい差があると思う。Excelがこれだけ流行っている国はほかにはないのでは?」と持論を展開。これに対して、三木さんは「これは日本の現場力の表れだと思っている。日本は現場のリテラシが高い。だから、セルフサービスBIは日本では流行ると思う」と意見を述べる。

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