このページの本文へ

ネットギアでクラウド管理の無線LANを始めよう 第3回

Business Central Wireless Managerの使い勝手を見る

APのダウンも通信状態もすぐわかる無線LAN管理が便利すぎる

2016年01月20日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

管理サーバーや専用コントローラーなしで拠点に散らばったAPの設定や管理を行なえるBusiness Central Wireless Manager。前回はAPを編集部に設置し、機器をサービスに登録するところまでやってみたが、今回は実際にAPがダウンした模様やトラフィック測定などを見てみよう。

APのダウンがメールで通知される

 昨年末に試用を開始したBusiness Central Wireless Managerで、会社に設置してあるネットギアの企業向けAP「WNDAP660」の遠隔管理が可能になった。クラウド型AP管理で便利なのは、やはり専用サーバーを立てる必要がないこと。対応APをインターネットに接続すれば、自動的に自身を登録しに行くので、管理者はWebブラウザからBusiness Central Wireless Managerにアクセスし、管理対象となる場所(ロケーション)やネットワークなどを登録。あとはAPとのひも付けを行なえば遠隔での設定や動作の確認が可能になる。今回は1台のみで試しているが、拠点が数多い場合などは特に重宝するはずだ。

 昨年末の試用開始後に編集部も年末年始のお休みに入ったが、Business Central Wireless Managerであれば、自宅からでもAPの状態を知ることができる。しかも、APの通信が遮断した場合などはアカウントとして登録しておいたメールで通知が来る。実際、休み中にはAPのダウンがメールで通知され、しかも手元のSmartWatchにリアルタイムに届くというなんとも今風なアラート検知を体験できた。

APが正常に動作しているときのBusiness Central Wireless ManagerのHome画面

APがダウンするとCurrent Network Healthのグラフが赤く表示

 実際、Business Central Wireless Managerで確認すると、地図に掲載されている飯田橋拠点のアイコンやネットワークの健康状態を示すグラフ(Current Network Health)も赤くなっており、一目で障害がわかる。休み明け、会社に行ってみると、ツメが欠けたケーブルがハブから抜けていただけなのだが、いち早くトラブルを検出できるのはやはり便利だと思った。

グラフをクリックすると、Monitoringのメニューにジャンプし、最新の状態をチェックできる

設定から運用、保守まで無線LANのライフサイクルをカバー

 現状ではシンプルな死活監視程度しか使っていないが、Business Central Wireless Managerには複数APや多拠点で利用するのに便利な機能が用意されている。改めて機能について画面をチェックしていこう。

 まず「Configuration」のメニューでは、ネットワークやAPの詳細な設定や確認が行なえる。「Wireless Network」では認証や暗号化、共有鍵、MACアドレスフィルタリングのほか、セキュリティ、VLAN、利用する周波数帯(2.4/5GHz)、ユーザー認証用のWebページを表示するCaptive Portalの設定が行なえる。

無線LANの設定を行なう「Configuration」のメニュー。設定プロファイルを共有することが可能

 ここでは利用可能な時間をスケジュールごとに制限したり、複数のAPでチャネルを分けてクライアントの接続先APを負荷分散することも可能。スケジュール設定やCaptive Portal、RADIUSサーバー、ユーザーごとの利用制限、ユーザーグループなどのプロファイルは複数のネットワークで共有できるので、多くのAPをまとめて設定する場合は重宝するだろう。

 「Access Point」は設置されているビルやフロアに関連づけることができ、該当のAPを指定することでシリアルやファームウェアのバージョン、動作状態などを確認できる。AP追加や削除、再起動等もこのメニューから行なえる。

「Access Point」はアクセスポイントの物理的な管理やステータス確認を行なうためのメニュー

 「Monitoring」のメニューではAPの動作状況やアラーム、イベントログなどをグラフ表示してくれる。現在のネットワークの状態、アラームの数、トラフィックのトップ3など、さまざまなグラフが1画面に詰め込まれており、管理者はネットワークや障害の状態が一目でわかる。たとえば「Health」のメニューであれば、アラートの数がグラフ上に表示されるため、現在のみならず、過去のネットワークの通信状態を表示できる。また、「Usage」というメニューでは「Top Talker」というメニューでクライアントごとのトラフィックも把握できる。

「Monitoring」では通信状態やアラートなどが一望できる

「Usage」メニューの「Top Talker」でクライアントごとのトラフィックも把握できる

 「Inventory」はネットワークに割り当てられていないAPまで含めた資産管理メニュー。APを在庫として持っておき、必要に応じて拠点に配置するといった場合に便利だ。最後の「Account」はBusiness Central Wireless Managerのアカウント管理メニューで、ライセンスやユーザー情報のほか、ファームウェア更新の管理、設定のバックアップ&リストアなどもこのメニューで行なえる。さすが法人向けAPということで、現場のニーズにあった使い方ができそうだ。

「クラウド型だからできない」ことがない

 Business Central Wireless Managerのメリットは、機能がどんどん進化していくこと。年明けにアクセスしたところ、バージョンアップの旨が通知され、リリースノートが掲出されていた。ユーザーのニーズにあわせて今後も強化されることになるはずだ。

クラウド型なのでどんどんバージョンアップされる

 こうしたクラウド型無線LAN管理は、今後中小企業でも普及していくと思われるが、日本ではサービス自体がまだまだ少なく、あっても大規模な環境を前提としたサービスがメインだ。その点、1台のAPから手軽にスタートできるネットギアのBusiness Central Wireless Managerは導入もしやすく、機能的にも充実しており、「クラウド型」だからできないことがない。運用管理をIT部門主体でやりたい人にはうってつけのサービスと言える。企業での無線LANリプレースを考えているユーザーはぜひAPの導入とあわせて、Business Central Wireless Managerも検討していただきたい。

■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事