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社外ビジネスチャットの本命なるか Wantedly発メッセンジャーアプリSync正式リリース

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Facebookからの置き換えが狙い

Wantedlyの川崎禎紀CTO。1981年生まれ。東京大学理学部情報科学科を卒業後、同大学院にて情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻の修士課程を修了。ゴールドマンサックスを経て、2012年4月よりWantedlyの開発・運営にCTOとして参画。そのきっかけは、「(同じく)ゴールドマン出身の人(仲暁子代表)がカヤックの地下室から机1つで始めた恵比寿オフィスというのが気になり、(ウォンテッドリーの)“話を聞きに行く”ボタンを押して会いに行った」というもの。

「リリースした目的は、Facebookメッセンジャーの置き換えが大きい。一方で若い人はメッセンジャーアプリを使い慣れているが、プライベートなLINEなどとは使い分けを望む」と川崎CTO。

 メッセンジャーアプリは数多あるが、Sync最大の特徴は、非プライベートなグループでのコミュニケーションアプリの地位を狙っているところだ。

 ビジネスにおける利用であればチャットワークやSlackなどが最右翼だが、日本の場合、社外とのコミュニケーションでの決定的なアプリはまだない。FacebookやLINEなどは普及していても、万人が使っているわけでもなければ、どちらもプライベートな領域から始まったためビジネスでの利用を嫌う人もいる。

 国内のウェブやスタートアップなどの業界であれば、Facebookメッセンジャーでのやり取りは当たり前になっていて、筆者個人も利用しているが、ファイル共有などでの不便さは実際感じることが多い。とはいっても、社外とのやり取りで使いやすい代わりのサービスがないのも事実だ。

 実際の利用シーンとして狙いになるのも、ウェブ業界やフリーランス、さらには若いビジネスマンや学生団体とのこと。ステルスでの稼働期間では、すでに複数のスタートアップ企業や学生団体などで使われているようで、100人ぐらいの規模でプロジェクトごとにグループを作られ利用されていたという。「スマホがメインの世代に使いやすくしている。Officeファイルもスマホから閲覧できるようにしているし、Slackのようなメンションも用意している」(川崎CTO)

 Facebookメッセンジャーの置き換えを目指しているだけあって、反応速度にもこだわりを持っているようだ。速度と安定性こそが”メッセンジャーにおける機能”となると川崎CTO。「見た目や機能はほかのメッセンジャーと変わらないが、速度にはこだわっている、サーバーのレスポンス対応など、Facebookメッセンジャーと同等を目指した」という。

 また画像圧縮など、表には見えない速度へのこだわりもある。Syncでは、ユーザーやグループの一覧画面の裏側で最新のメッセージを同時にもってきており、メッセージ閲覧時の遅延を防ぐ工夫を行っている。メッセージを閲覧する際のロードはサーバーにリクエストを投げて戻ってくる作りが普通で、Facebookなどは閲覧の読み込みから少しだけ遅くなってしまう。テスト期間ではタイミングとデータ量の調整を行って、スムーズな閲覧への調整をしていたようだ。

長押しするとお辞儀が深くなる「お辞儀ボタン」は導入されず

開発チームは、iPhoneとAndroidとサーバーサイドと全部合わせて6名。ウェブからスマホまで同時にいろんなクライアントをつくっていく形とのこと。

「当初はお辞儀ボタンを”いいね!”の代わりに考えて、長押しするとお辞儀が深くなるとかのアイデアもあった。だが、『取引先や目上の人には使いにくい……』という意見もありなくなった」(川崎CTO)

 Syncが目指すのは外部とのやり取りだ。これまで社内だけで完結していた業務を、外部とのコラボレーション、社外の人脈もチームにしていく流れが重視されている。

「プロダクトの思想的なところにも通じるが、Wantedlyは人のつながりで人を探すサイト、プラットホームだった。ウェブサイトのURLを見ればわかるが、Wantedlyの募集IDは『Project00』となっている。会社ごとではなく、あくまでいろんな種類の勉強会やつながりをつなぎたい思いがある」

 SyncにはFacebookメッセンジャーやLINEに備わっているスタンプが実装されていないが、このような機能はあえて削った部分だという。

「あくまでメッセージにフォーカスしたいと思っている。機能はメンションやファイルだけ。ぜひWantedly既存ユーザーの一般企業などでも使ってもらいたい。そのためウェブ業界やスタートアップではない人にもリーチさせるつもり。3分の1は新規の会員を考えている」

(次ページ、社外コミュニケーションはグローバル展開も想定)

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